新聞記事

政治家としての大局観・歴史観

「読売」はウクライナ戦争について識者に意見を聞いているのだが、今日(2024年4月17日付)載っていた横手慎二のインタビューが面白かった。 www.yomiuri.co.jp 横手の本については以前感想を書いたことがある。 kamiyakenkyujo.hatenablog.com 横手のインタ…

ハラスメント被害者を「厄介者」扱いする組織

しんぶん赤旗1月22日付 しんぶん赤旗1月22日付に「自衛隊セクハラ 深刻さ告発」「現役隊員の国賠訴訟」という記事が載った。 航空自衛隊那覇基地でベテラン隊員から受けたセクハラに対して組織が不利益防止措置などをとらなかったとして、昨年2月に国を相手…

ASEANは「反共の砦」だったか? 民青新聞を読んで

共産党を「相談相手」にしている民青(日本民主青年同盟)が出している新聞(機関紙)に「民青新聞」がある。その2024年2月12日号を興味深く読んだ。 というのは、「ASEAN(東南アジア諸国連合)は『反共の砦』として出発したのではなかった」という歴史観が…

「ごん狐」におけるごんの行動や気持ちがなぜ地域に伝わっているのか

新美南吉はぼくの生まれた愛知県の出身である。「ごん狐」があまりにも有名だ。 ごんぎつね (日本の童話名作選) 作者:南吉, 新美 偕成社 Amazon さて、そんな「ごん狐」について、昨日(2023年8月21日)付の「しんぶん赤旗」で、教育実践の報告記事があった…

日米韓首脳会議の合意文書の中に解決の答えがある

日本共産党の志位和夫委員長の談話が、産経新聞の記事で切り取られて紹介され、ネットの一部で叩かれている。 b.hatena.ne.jp 志位談話の全文は次のリンクを見てほしい。 www.jcp.or.jp 軍事ブロック強化、核威嚇、先制攻撃への組込みは正しくない 中国が台…

Zip Zap Zopってなんだ?

今日付の「しんぶん赤旗」を読んでいたら、アメリカの俳優・脚本家組合がストライキをしている記事があった。 それに添えられている写真(記事は赤旗編集部のもので、おそらくこの写真だけロイター配信)で、参加者が「I bet Bob Iger doesn’t even know how…

地方や民間の取り組みは国の政治を変える上でどんな役割を果たすのか

地方議会、地方自治体、あるいは民間の一つひとつの取り組みは、国の政治を変える上で、どんな役割を果たすのか。 そんなことを考える上で、同性婚をめぐる判決について、6月14日付「しんぶん赤旗」に掲載された鈴木賢・明治大学法学部教授インタビューは興…

「変わる徳川家康像」の赤旗記事

今日付の「しんぶん赤旗」に「変わる徳川家康像 『大河』考証者らの最新研究」という記事(清水博記者)が出ていた。ぼくら、いやぼくが知っている古い徳川家康像がどう刷新されているかという研究について、市民レベルにかみくだいた解説本を要領よく紹介し…

浅尾大輔「立春大吉」第1部第1章・第2章

浅尾大輔「立春大吉」は、奥三河の山村で透析・入院・救急医療を守ろうとする住民運動を描いた「しんぶん赤旗」日刊紙の連載小説である。 これは期待。「しんぶん赤旗」の次の連載小説は浅尾大輔「立春大吉」。「愛知の小さな町に暮らす高齢者らが、入院・透…

民主青年新聞で「水木しげる生誕100周年」特集でコメントしました

5月16日付の民主青年新聞で「水木しげる生誕100周年」特集があり水木しげるのマンガについてコメントしています。 水木の3冊のマンガもお勧めしました。 リアルということについて 当の水木自身は、「戦争コミック」と対比して「戦争想像コミック」というも…

「カエルの大岩」は天然記念物なの?

伊藤野枝のふるさとは福岡市西区今宿である。 ぼくも福岡市在住者として近くを通ることがある。 その今宿の海岸に「カエルの大岩」があるという西日本新聞のこの記事。 www.nishinippon.co.jp 有料記事なのでネットからは読めないと思うが…。 旧国道202号を…

部落問題は解決したか、他の人権問題でも活かせるか:「地域と人権」4月15日号を読む

今年は全国水平社創立100周年である。 人権連(全国地域人権運動総連合)は機関紙誌でくり返しこの特集を組んでいる。人権連は全解連(全国部落解放運動連合会)が発展的改組したものだ。 2022年4月15日の同団体機関紙「地域と人権」では、100周年記念事業の…

日本共産党の自衛隊論を整理する

この記事。 news.yahoo.co.jp ついている「はてブ」のブコメが、まあなんと言おうか…。 b.hatena.ne.jp なーんて冷笑している場合じゃない。こういうブコメがつくのも、共産党が国民に広く自分の立場をこれまで知らせてこなかったという「問題」でもあるのだ…

国際的大義を失う:吉田裕インタビューを読む

「しんぶん赤旗」12月6日付の1面で吉田裕のインタビュー。 非常に興味深く読んだ。 日本が戦争にのめり込んで行った時、それが世界的大義を獲得できずに、その逆に、侵略戦争になっていった大きな流れが示されている。 吉田は、当時国際社会で確立された二…

消費税減税政権だ

これはすごい、と素直に思う。 歴史的な合意だ。 www.jiji.com 衆院選後に立民中心の政権が樹立された場合の共産との関わり方について、枝野氏は「消費税減税」や「安全保障法制の違憲部分の廃止」など、民間団体「市民連合」と合意した政策の実現に限定した…

英語の授業が変わった?

日経新聞2021年9月28日付の「受験考」の欄に「ついていけず悩む生徒」という題名で次のような記事があった。 中学の英語についていけなくなった中2のA子が塾で中1段階の文法の基礎から丁寧にやり直してどうにか持ち直してきた矢先、中3になって再び状況…

党内の自由な議論を根拠に処分されるべきではない

立憲民主党の本多平直議員の問題。 https://digital.asahi.com/articles/ASP7F3JHWP7FUTFK008.html 本多氏は5月、刑法で性行為が一律禁止される年齢(性交同意年齢)を現行の「13歳未満」から引き上げることを議論する党の「性犯罪刑法改正に関するワーキン…

街づくりの失敗が死傷者を生む可能性

千葉県で酒に酔ったと疑われる運転のトラックが子どもの列につっこんで、死傷者が出たこの事件で、次のようなニュースが出た。 news.yahoo.co.jp この6日付の千葉日報の記事にはこうある。 八街市は、全域が都市計画法による区域区分がされていない、いわゆ…

「推古さんは男性の中継ぎではない」記事を読む

「しんぶん赤旗」日曜版7月4日号の義江明子(帝京大名誉教授、古代史)への取材記事を読む。“推古は男性天皇の中つぎで、蘇我馬子と聖徳太子が主に政治を担った。”というイメージを、「女性が徹底して排除された明治時代」をはじめとする「近代以降の偏見」…

「交通事故負傷者は実際には減ってない」問題が国会で質問

交通事故負傷者は実際には減ってないのではないか、という「しんぶん赤旗」の記事を読んでその感想を書いた。*1 kamiyakenkyujo.hatenablog.com その後、共産党の塩川鉄也衆院議員がこの問題を国会で取り上げて質問した(6月4日、衆院内閣委員会)。今日の「…

交通事故は本当は減っていない?

2021年5月17日付「しんぶん赤旗」には、青野渉弁護士が4月17日に行った講演「交通犯罪の裁判の現状と問題点」の要旨が紹介されている。 その中で、警察が人身事故を人身事故として扱わないために、統計上、倍ほどの差が出ているという驚くべき話が載っている…

斎藤幸平のSDGs論を西日本新聞の対談で読む

16日付の西日本新聞で斎藤幸平が江守正多(国立環境研究所・地球システム領域副領域長)と対談していた。 斎藤幸平は、『人新世の資本論』の冒頭で SDGsはアリバイ作りのようなものであり、目下の危機から目を背けさせる効果しかない。 とはっきり述べ、 SDG…

結びつけられない

玉虫で装飾された馬具が福岡県内(古賀市)の古墳の出土品から確認されたという記事を読んだ。 www.nishinippon.co.jp 「玉虫装飾」という見出しに何の感興ももよおさずに、ぼーっとした頭で記事を読み始めた。「国内で玉虫装飾の馬具が確認されたのは初めて…

救援新聞インタビュー「検察は、何故有罪に固執するのか」

国民救援会の機関紙「救援新聞」2020年11月5日号で、「検察は、何故有罪に固執するのか」として、検事の経験のある市川寛(弁護士)が、笹倉香奈(甲南大学法学部教授)のインタビューに答え、その一部が紹介されている。 大変興味深く読んだ。 わからない人…

やきそばかおるの「ラジオの歩き方」や沙村広明『波よ聞いてくれ』など

「しんぶん赤旗」に、やきそばかおるの「ラジオの歩き方」が連載されている。21日付でその「第28歩」が掲載された。9月に来襲した台風10号で、風変わりな宮崎放送における台風情報報道を紹介していた。 ぼくはこの宮崎放送のラジオを聴いていないので、やき…

自公政権の高支持率は野党が連立政権としての協議に入らないからではないか

安倍前首相の考えるレガシーは経済 20日付の読売に安倍前首相のインタビューが載った。 www.yomiuri.co.jp そこで彼は自分の政権のレガシーはなんだと思うか聞かれ、こう述べている。 後世に「安倍政権の時は良かった」と生活実感として言ってもらえれば、一…

「しんぶん赤旗」日曜版で「未来少年コナン」について書きました

「しんぶん赤旗」日曜版(8月9・16日合併号)で「未来少年コナン」デジタルリマスター版について1000字ほどで書いています。 1000字、というのは一定分量を与えられていることになりますが、このアニメについて、あるいは宮崎駿について新しいことを述べつつ…

「ペストで農業労働者の賃金が高騰した」っていうけど農奴なの? 労働者なの?

「パンデミックは世界を変えるきっかけになる」という命題があって、ペストが中世を大きく変えた話は、いろんな人がしているよね。 ペストがヨーロッパ社会に与えた影響は、少なくとも三つあった。第一に、労働力の急激な減少が賃金の上昇をもたらした。農民…

「ラディカルであるとは、ものごとを根本からつかむことである」(マルクス)について

ある左翼組織の会議に出ていたら、報告者がマルクスの有名な章句を引用していた。報告が文書になっており、引用は次の通り。 物質的な力は物質的な力によってたおされなければならない。しかし理論もそれが大衆をつかむやいなや物質的な力となる。理論が大衆…

学校再開で親はどうすべきか 横湯園子インタビューを読む

「しんぶん赤旗」日曜版(2020年6月28日号)に、臨床心理士の横湯園子・中央大学元教授のインタビューが載っていた(「学校再開で子どもは 保護者はどうする」)。 コロナでの長い休みを経て不安定な娘(中1)の現状とぼくら親の対応をまさに言い当てている…