新聞記事

松代大本営と『スターリン秘史』と終末期の戦争指導

知り合いの招きで長野を訪れ、その人の案内で松代大本営跡に行く機会があった。 松代大本営跡(象山地下壕、イ地区) 市民グループが資料館までつくって計画の全容を示す地図を張り出していた。 その中に「賢所」という記述があった。 松代大本営追悼碑を守…

「排外主義とのたたかい」に部落運動の歴史からどんな教訓が得られるか

2月のドイツ総選挙で、左翼党が躍進した。 左翼党議員であるハイディ・ライヒネックが、極右との協定を結ばないとしてきた戦後ドイツの伝統を大政党であるメルツの党(キリスト教民主同盟)が破ったことを厳しく批判した国会での演説がSNS(Tiktok)で大反響…

子ども自身による議会への請願

20日付「しんぶん赤旗」の「奈良市 鼓阪小学校統廃合計画 児童が市議会に反対の請願」という見出しが目を引いた。 東大寺や正倉院のある奈良市の小学校の統廃合計画に対して、子ども自身が3人、市議会に請願をしたというのである。3人のうち1人は「親が代…

『しょせん他人事ですから』7・8

裁判に関わるようになったので、身近に弁護士の方と接する機会が多い。 つい弁護士もののマンガなんかを読んでしまう。 しょせん他人事ですから ~とある弁護士の本音の仕事~ 1 (黒蜜コミックス) 作者:左藤真通,富士屋カツヒト,清水陽平 白泉社 Amazon 本作…

今井雅子「涙のエスニックおせち」

脚本家・今井雅子が「しんぶん赤旗」でエッセイを連載している。 今日付の今井のエッセイは「涙のエスニックおせち」。「十年あまり前の大晦日、夫の実家で鍋を囲んでいた」という状況を描いている。 冒頭に、義母と自分の会話を描く。 義母と自分の関係がド…

田村智子の描く共産主義の企業形態と「おひさま進歩エネルギー」

24年12月22日付「しんぶん赤旗」に共産党の田村智子委員長の共産主義についての講演が載っている。 www.jcp.or.jp この中で 田村氏は、“もうけ競争”の利潤第一主義から自由になるには、生産手段の社会化が必要だとし、その形は多様だとのべました。 田村氏は…

「私学を含めた高校までの完全無償化はできるの?」

日本共産党議長の志位和夫が教育について語っている。 www.jcp.or.jp この志位のスピーチでは、共産党の大学入試論・高校入試論も触れてある。前からの政策ではあるが、知らない人は驚くかもしれない。 志位氏は、世界に例のない、基本的に全員に受験を課す…

8月15日午後8時の戦死

西日本新聞は「うちにも戦争があった あなたの家族の軌跡」シリーズが掲載されている。8月16日付同紙夕刊では「終戦あと1日早ければ 記者の大伯父 旧満州で地雷の犠牲 秘めた無念 祖母切々」として1945年8月15日における満州での戦死の記事が掲載されていた…

「楽待」の自治会問題記事にコメントが載りました

不動産投資新聞「楽待」で2024年5月25日付、編集部執筆の「謎の組織『自治会』、加入強制が退去の原因に…大家vs自治会のトラブル勃発 加入は義務じゃない、それでも「自治会」トラブルが減らない理由は」という記事で、取材を受けて、ぼくのコメントが載って…

頼清徳の演説の評価

台湾の新総統・頼清徳の就任演説。 長くはないので全文を読んでしまった。 www.yomiuri.co.jp 日本の新聞はどう評価しているのかなと思っていたが、 (1)「現状維持」 (2)中国との対立を意識してかなり踏み込んだ表現をした という二手の解釈に分かれた…

「台湾住民の民意尊重」と「一つの中国」原則

5月20日に台湾新総統の就任演説への注目 5月20日に台湾の新総統(頼清徳)の就任演説がある。 そこで何が語られるかが注目されている。 中台関係の緊張が高まるかもしれないからだ。 頼氏の当選阻止を狙い、「トラブルメーカー」などと名指しし、警戒して…

政治家としての大局観・歴史観

「読売」はウクライナ戦争について識者に意見を聞いているのだが、今日(2024年4月17日付)載っていた横手慎二のインタビューが面白かった。 www.yomiuri.co.jp 横手の本については以前感想を書いたことがある。 kamiyakenkyujo.hatenablog.com 横手のインタ…

ハラスメント被害者を「厄介者」扱いする組織

しんぶん赤旗1月22日付 しんぶん赤旗1月22日付に「自衛隊セクハラ 深刻さ告発」「現役隊員の国賠訴訟」という記事が載った。 航空自衛隊那覇基地でベテラン隊員から受けたセクハラに対して組織が不利益防止措置などをとらなかったとして、昨年2月に国を相手…

ASEANは「反共の砦」だったか? 民青新聞を読んで

共産党を「相談相手」にしている民青(日本民主青年同盟)が出している新聞(機関紙)に「民青新聞」がある。その2024年2月12日号を興味深く読んだ。 というのは、「ASEAN(東南アジア諸国連合)は『反共の砦』として出発したのではなかった」という歴史観が…

「ごん狐」におけるごんの行動や気持ちがなぜ地域に伝わっているのか

新美南吉はぼくの生まれた愛知県の出身である。「ごん狐」があまりにも有名だ。 ごんぎつね (日本の童話名作選) 作者:南吉, 新美 偕成社 Amazon さて、そんな「ごん狐」について、昨日(2023年8月21日)付の「しんぶん赤旗」で、教育実践の報告記事があった…

日米韓首脳会議の合意文書の中に解決の答えがある

日本共産党の志位和夫委員長の談話が、産経新聞の記事で切り取られて紹介され、ネットの一部で叩かれている。 b.hatena.ne.jp 志位談話の全文は次のリンクを見てほしい。 www.jcp.or.jp 軍事ブロック強化、核威嚇、先制攻撃への組込みは正しくない 中国が台…

Zip Zap Zopってなんだ?

今日付の「しんぶん赤旗」を読んでいたら、アメリカの俳優・脚本家組合がストライキをしている記事があった。 それに添えられている写真(記事は赤旗編集部のもので、おそらくこの写真だけロイター配信)で、参加者が「I bet Bob Iger doesn’t even know how…

地方や民間の取り組みは国の政治を変える上でどんな役割を果たすのか

地方議会、地方自治体、あるいは民間の一つひとつの取り組みは、国の政治を変える上で、どんな役割を果たすのか。 そんなことを考える上で、同性婚をめぐる判決について、6月14日付「しんぶん赤旗」に掲載された鈴木賢・明治大学法学部教授インタビューは興…

「変わる徳川家康像」の赤旗記事

今日付の「しんぶん赤旗」に「変わる徳川家康像 『大河』考証者らの最新研究」という記事(清水博記者)が出ていた。ぼくら、いやぼくが知っている古い徳川家康像がどう刷新されているかという研究について、市民レベルにかみくだいた解説本を要領よく紹介し…

浅尾大輔「立春大吉」第1部第1章・第2章

浅尾大輔「立春大吉」は、奥三河の山村で透析・入院・救急医療を守ろうとする住民運動を描いた「しんぶん赤旗」日刊紙の連載小説である。 これは期待。「しんぶん赤旗」の次の連載小説は浅尾大輔「立春大吉」。「愛知の小さな町に暮らす高齢者らが、入院・透…

民主青年新聞で「水木しげる生誕100周年」特集でコメントしました

5月16日付の民主青年新聞で「水木しげる生誕100周年」特集があり水木しげるのマンガについてコメントしています。 水木の3冊のマンガもお勧めしました。 リアルということについて 当の水木自身は、「戦争コミック」と対比して「戦争想像コミック」というも…

「カエルの大岩」は天然記念物なの?

伊藤野枝のふるさとは福岡市西区今宿である。 ぼくも福岡市在住者として近くを通ることがある。 その今宿の海岸に「カエルの大岩」があるという西日本新聞のこの記事。 www.nishinippon.co.jp 有料記事なのでネットからは読めないと思うが…。 旧国道202号を…

部落問題は解決したか、他の人権問題でも活かせるか:「地域と人権」4月15日号を読む

今年は全国水平社創立100周年である。 人権連(全国地域人権運動総連合)は機関紙誌でくり返しこの特集を組んでいる。人権連は全解連(全国部落解放運動連合会)が発展的改組したものだ。 2022年4月15日の同団体機関紙「地域と人権」では、100周年記念事業の…

日本共産党の自衛隊論を整理する

この記事。 news.yahoo.co.jp ついている「はてブ」のブコメが、まあなんと言おうか…。 b.hatena.ne.jp なーんて冷笑している場合じゃない。こういうブコメがつくのも、共産党が国民に広く自分の立場をこれまで知らせてこなかったという「問題」でもあるのだ…

国際的大義を失う:吉田裕インタビューを読む

「しんぶん赤旗」12月6日付の1面で吉田裕のインタビュー。 非常に興味深く読んだ。 日本が戦争にのめり込んで行った時、それが世界的大義を獲得できずに、その逆に、侵略戦争になっていった大きな流れが示されている。 吉田は、当時国際社会で確立された二…

消費税減税政権だ

これはすごい、と素直に思う。 歴史的な合意だ。 www.jiji.com 衆院選後に立民中心の政権が樹立された場合の共産との関わり方について、枝野氏は「消費税減税」や「安全保障法制の違憲部分の廃止」など、民間団体「市民連合」と合意した政策の実現に限定した…

英語の授業が変わった?

日経新聞2021年9月28日付の「受験考」の欄に「ついていけず悩む生徒」という題名で次のような記事があった。 中学の英語についていけなくなった中2のA子が塾で中1段階の文法の基礎から丁寧にやり直してどうにか持ち直してきた矢先、中3になって再び状況…

党内の自由な議論を根拠に処分されるべきではない

立憲民主党の本多平直議員の問題。 https://digital.asahi.com/articles/ASP7F3JHWP7FUTFK008.html 本多氏は5月、刑法で性行為が一律禁止される年齢(性交同意年齢)を現行の「13歳未満」から引き上げることを議論する党の「性犯罪刑法改正に関するワーキン…

街づくりの失敗が死傷者を生む可能性

千葉県で酒に酔ったと疑われる運転のトラックが子どもの列につっこんで、死傷者が出たこの事件で、次のようなニュースが出た。 news.yahoo.co.jp この6日付の千葉日報の記事にはこうある。 八街市は、全域が都市計画法による区域区分がされていない、いわゆ…

「推古さんは男性の中継ぎではない」記事を読む

「しんぶん赤旗」日曜版7月4日号の義江明子(帝京大名誉教授、古代史)への取材記事を読む。“推古は男性天皇の中つぎで、蘇我馬子と聖徳太子が主に政治を担った。”というイメージを、「女性が徹底して排除された明治時代」をはじめとする「近代以降の偏見」…