2003-01-01から1年間の記事一覧
愛知出身なのだが、「ああ、名古屋のかたですか」などと言われると、腹が立つ。 名古屋じゃない。尾張ではない。三河の出なのだ。と、心の中で小さく訂正する。 親戚が名古屋にいるが、話をするほどに、言葉がちがう。日本全体からみれば、やはり名古屋も中…
ぼくが参加している社会人ばかりの自主ゼミ(ひとり学生さんがいるが)で、ポール・ケネディの『大国の興亡』を読むことになった。というか、それはサブテキストで、メインは、石坂・船山・宮野・諸田の『新版西洋経済史』(有斐閣双書)なのだが。つい最近…
「藤間はこの報告で、『民族的なほこりを全民族に知らせて、わが民族が自信をもつ』ために、記紀神話に登場するヤマトタケルを『民族の英雄』として再評価することを唱えたのである」 ここに登場する「藤間」とは、どのような政治的立場の人か、あなたは想像…
佐倉高校の新聞部の星之スミレを主人公とし、その友人琴子、後輩の上小路、先輩の「部長」などとの日常(非日常)を描く。1話完結形式。 作者は黒田硫黄の友人だときくけど、黒田硫黄が大学の寮的空気を濃厚にまとわせて登場してきたのにたいして、小原愼司…
登場人物の服装にどれくらい気をつけているか、ということは、女性漫画家によってずいぶんちがうと、つれあいから教えられたことがある。 もともと、男性系アニメに出てくる女性の服装とか髪型があまりにも浮き世離れしていて、街でこんな格好をしている若い…
ぼくは少年漫画は長い間ひかえてきた。しかし、小学生のあいだに碁ブームを巻き起こしている漫画として、この『ヒカルの碁』だけは一度読んでみようと常々思っていた。が、なかなか手がのびなかった。 ヒカルの碁 全23巻完結セット (ジャンプ・コミックス) …
『紙婚式』のオビにはこうある。 紙婚式 (Feelコミックス) 作者:山本 文緒,海埜 ゆうこ 発売日: 2003/10/08 メディア: コミック 「結婚しました。だけど…… 結婚は幸せばかりではなく、 辛いことばかりでも、ない。 ずれながらも交錯する、6組の夫婦それぞれ…
(第7巻までしか読んでいないという前提ですが) 学生のとき、小関智弘のルポ『春は鉄までが匂った』を読もうとして、挫折した。しかもかなりとっかかりの部分である。あのとき、思想とか世界観とか、いわば「形而上」のものに心を奪われていて、現実の物質…
榛野なな恵『Papa told me』にたいして、関川夏央は、妻を亡くした文筆業の父と娘、という人物配置に次のようなコメントをくわえている。 Papa told me 1 (マーガレットコミックスDIGITAL) 作者:榛野なな恵 発売日: 2016/12/01 メディア: Kindle版 「娘は、…
ぼくの高校時代の友人に、好きな女の子に校庭で「好きだー」と大声で叫んだやつがいた。 ぼくは、この感性を、「キモい」といって遠ざけるほど冷笑的に見ることはできないし、かといって「それこそ正しい青春だ」と過度の思い入れを託すこともできない。その…
ここでとりあげた「リアリズムの宿」というのは、主人公の言い分を借りれば、主人公は鄙びた秘湯をたずねたりする旅行が好きなのですが、そこにその土地の“生活の臭い”がしてしまうことをたいへんきらっていて、その生活の臭いを「リアリズム」と主人公独特…
最初に小泉真理をみたのは、「フィール・ヤング」誌上で短編を読んだときだった。 友人の紹介で交際をはじめることになった、革命的にぼんやりした2人が、「会えばヤる」というだけの生活をしているうちに妊娠してしまい、結婚することになった。が、どうも…
藤子・F・不二雄のSFに、性欲と食欲の社会的取扱が逆転した社会になる、という話がある。食堂で食欲が公然とした社会的サービスとして支えられるように性欲が公然のもとなり、食欲の充足が羞恥をもって社会的に取り扱われる。 気楽に殺ろうよ: 藤子・F・不…
「他人の不幸は蜜の味」ということばの親せきみたいなもんで、他人の悪口を言うのが快感だという感情がある。ぼくの友人グループのなかである一人(Aとしよう)の悪口を言ったりすることがあって、Aがいかにダラしないやつか、それが倫理的にみていかに悪…
(ネタバレがあります) ピエタ 1 (マーガレットコミックスDIGITAL) 作者:榛野なな恵 集英社 Amazon 榛野なな恵にとって、世界は、彼岸と此岸に分裂している。 平凡と普通を強制する帝国と、そこからはずれた人たちの共同体である。 『Papa told me』ではそ…
2003年感想記述=短評で書いたことを転記 ギャラリーフェイク(1) (ビッグコミックス) 作者: 細野不二彦 出版社/メーカー: 小学館 発売日: 2012/09/25 メディア: Kindle版 クリック: 9回 この商品を含むブログ (7件) を見る 『ギャラリー・フェイク』の三…
クールパイン (FEEL COMICS) 作者: 南Q太 出版社/メーカー: 祥伝社 発売日: 2014/02/14 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 主人公の女子高生が、先輩の家に遊びにいって、なかば強引にヤられてしまい、その後も、ちぐはぐな先輩とのついあいを…
あずまんが大王 (1) (Dengeki comics EX) 作者: あずまきよひこ 出版社/メーカー: メディアワークス 発売日: 2000/02 メディア: コミック 購入: 6人 クリック: 260回 この商品を含むブログ (292件) を見る ぼくが有事法制批判のまんがを公表したとき、2chで…
プーのリクオと、高校を中退したハル、リクオの片思いのシナコとのだらだらした恋愛・交流。 イエスタデイをうたって 1 (ヤングジャンプコミックス) 作者: 冬目景 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 1999/03/19 メディア: コミック 購入: 7人 クリック: 119回…
記憶の技法 (flowers コミックス) 作者: 吉野朔実 出版社/メーカー: 小学館 発売日: 2015/08/14 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 子どものころ、誰もいない家に帰ると怖かった。 田舎で農家だったせいもあろうが、だだっ広い家が静まりかえる…
恋愛ディストーション(1) (サンデーGXコミックス) 作者: 犬上すくね 出版社/メーカー: 小学館 発売日: 2013/06/18 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 稚野鳥子をOLの妄想だと書いたり、花田祐美をOL版『BOYS BE…』だと書いたりしたが、…
Strawberry shortcakes (フィールコミックスGOLD) 作者: 魚喃キリコ 出版社/メーカー: 祥伝社 発売日: 2002/12/01 メディア: コミック 購入: 8人 クリック: 68回 この商品を含むブログ (278件) を見る ぼくは、あんまり好きな漫画家じゃなかった。ていうか食…
ゑひもせす (ちくま文庫) 作者: 杉浦日向子 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 1990/08/01 メディア: 文庫 購入: 1人 クリック: 8回 この商品を含むブログ (23件) を見る このなかの「吉良供養」が圧巻。反忠臣蔵のマンガだ。 昨年は討ち入り300年とかで…
コスメの魔法(1) (Kissコミックス) 作者: あいかわももこ 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2012/11/12 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 30点とかつけてるくせに、5冊も買いました。すみません。 デパートの化粧売り場の主人公・高樹…
ドラえもん (15) (てんとう虫コミックス) 作者: 藤子・F・不二雄 出版社/メーカー: 小学館 発売日: 1978/06/27 メディア: コミック 購入: 2人 クリック: 30回 この商品を含むブログ (9件) を見る ドラえもんの道具のなかで、もっともぼくが興奮したものが、…
ヤサシイワタシ(1) (アフタヌーンコミックス) 作者: ひぐちアサ 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2014/08/29 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 異常なマンガ。フツーの話なのに、読んでいるうちに、からめとられて抜けだせなくなる。ほん…
これによって歴史観を形成した中学生っていうのは、数知れないんじゃないか。ぼくもその一人だけど。 そういう意味ではいまの中堅~若手男性世代の教養ともいえる。あまりにも有名なので、ストーリーも紹介しない。中学生のぼくは、のちに、この人が魔法使い…
百物語 (新潮文庫) 作者: 杉浦日向子 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 1995/11/30 メディア: 文庫 購入: 14人 クリック: 56回 この商品を含むブログ (99件) を見る 「すべての年齢、すべての階層に文句なしに面白いと思ってもらえるマンガはなにか」と問わ…
墜落機のボイスレコーダーはいつ聞いても恐ろしい。 なかでも、「危機」の時間が長かった123便のボイスレコーダーは、記憶に焼き付いてしまうほどだ。 ぼくがはじめてそれを見たのは当時の新聞だったが、最近改めて読む機会があったのは、山崎豊子『沈まぬ太…
『釣りキチ三平』でおなじみの矢口高雄が、動物文学の巨匠の原作をマンガ化。 野性伝説 羆風・飴色角と三本指 作:戸川幸夫 画:矢口高雄 (ヤマケイ文庫) 作者:戸川 幸夫,矢口 高雄 発売日: 2018/06/02 メディア: 文庫 いま20代後半から30代くらいの世代の…