2011-01-01から1年間の記事一覧

沢田健太『大学キャリアセンターのぶっちゃけ話』

誰のために書かれた本か この本は一体だれに向けて書かれているのか。言い換えれば、誰を読者として想定しているのか。 就活本というのは山のようにあるけども、多くは学生の側の自己啓発を促す「対策本」だ。そうでないものは、採用側=企業のホンネを書い…

宇仁田ゆみ『うさぎドロップ』

※ネタバレがありますので注意してください。 2011年12月5日付の「民医連新聞」のコーナー「この一冊を読んでみた」で宇仁田ゆみ『うさぎドロップ』(祥伝社)を紹介した。 『うさぎドロップ』は、祖父の葬儀にいった30の独身男・ダイキチが、祖父の子であ…

仕事が遅いとは期限内にできるかどうかという問題

「仕事が遅い人の共通項」という記事に注目が集まった。仕事が遅い人の共通項 | Decent Point 要約すれば、仕事が遅い人は、 素直でない、言われたとおりにやることができない すぐにやれない。今すべきことが分かっていない 人に聞くことができない。状況を…

薬師院仁志『社会主義の誤解を解く』

2011年11月23日付の朝日新聞に、日本共産党の委員長である志位和夫が東大教授の宇野重規にインタビューされている記事が載っていた。資本主義の限界ということで、マルクスを志位に語らせている。 宇野は、 私は19世紀の政治思想史が専門なので、コミュニズ…

『中国からの引揚げ 少年たちの記憶』

『引揚展』にかかわった関係で、中国引揚げ漫画家の会編『中国からの引揚げ 少年たちの記憶』を読む機会があった。中国からの引揚げ体験をもつ漫画家たちが当時の体験を1コマずつのマンガに描き、それに本人や聞き取りをした人間(石子順)の注釈が加わって…

「漫画展」をやります

もちろんぼくが描いたマンガではありませんw サブタイトルは「中国からの引き揚げ〜少年たちの記憶」。全国を巡回しているのでもうご存知の方もいると思いますが、中国からの引き揚げ体験をもつ漫画家たちが中国での生活から引き揚げ、「内地」での生活をマ…

逢坂みえこ『たまちゃんハウス』

週刊アスキーで紹介した落語マンガ 「週刊アスキー」9月27日号の「私のハマった3冊」で落語マンガ3冊を紹介しました。ウェブでこのコーナーは紹介されていくという話ですので、紹介しても構わないんじゃないかなーと思い、遠慮なく3冊をバラします。(追…

川村湊『原発と原爆 「核」の戦後精神史』

3月の原発事故から8月の原爆投下前後の時期を経て、「原発と原爆」をめぐるテーマがずいぶんとさかんに論じられた。 バルセロナでの村上春樹のスピーチで、日本人はそもそもすべての核を捨てるべきだったと主張されたあと、この主張はぼくの周辺の左翼に実…

井上純一『中国嫁日記』

週刊「プレイボーイ」の2011年9月19日号の「この漫画がパネェ!!」のコーナーで井上純一『中国嫁日記』のレビューを書いた。 『中国嫁日記』は、40代のオタク男・井上が20代の美人(と思われる)中国人女性・月(ゆえ)と結婚し、その結婚生活を4コマ漫画…

中西新太郎『〈生きづらさ〉の時代の保育哲学』

「ちいさいなかま」の「子育て日記」に書きました 保育雑誌「ちいさいなかま」の「子育て日記」という3ページほどのリレー連載があるのですが、2011年12月号のそのコーナーに「紙屋高雪」名義で一文を寄せさせてもらいました。 ぼくとつれあいが交際し、次…

又野尚『ママ友のオキテ。』

「民医連新聞」で『不妊治療、やめました。』を書評 「民医連新聞」の2011年10月3日付で堀田あきお&かよ『不妊治療、やめました。〜ふたり暮らしを決めた日』(ぶんか社)の書評を書きました。タイトルのとおり、不妊治療をあきらめた結末が待っています。…

西垣千春『老後の生活破綻 身近に潜むリスクと解決策』

町内会長をしているので、自治会ニュースに自分の携帯の電話番号を載せる。そうすると、いろんな人から電話もかかってくる。 昨日かかってきたのは、「家にドロボウが入ったから来てほしい」という初老の女性からだった。行ってみるとどうも様子がおかしい。…

川上弘美・谷口ジロー『センセイの鞄』

「しんぶん赤旗」の連載「こんなマンガもあるんですか」の3回目(2011年9月23日付)で西炯子『娚の一生』をとりあげ、「枯れ専」のことを書いた。 そのとき、つれあいからツッコミがあったのは、「主人公のつぐみ(35歳)が恋をする海江田は51歳で、『年の…

九電がチェルノブイリパンフを撤去したが…

前のエントリで九州電力がいまだに「日本でチェルノブイリのような事故は起こり得ません」とするパンフレットを配っていると書いた。 「日本でチェルノブイリのような事故は起こり得ません」 - 紙屋研究所 んで、「しんぶん赤旗」が後追いの取材をしたのが今…

「日本でチェルノブイリのような事故は起こり得ません」

9月22日(2011年)に九州電力への要請行動があったので参加した。主催は「市民が主人公の福岡市をめざす市民の会」である。玄海原子力発電所の1号機の廃炉や、2・3号機の再稼働の中止など5項目を求めたものだ。 ぼくは常々、九州電力が発行している「原…

こやまゆかり『バラ色の聖戦』

今日(2011年9月30日付)、「しんぶん赤旗」に「こんなマンガもあるんですか」の最終回が載りました。計4回。短いですねー。この間、編集部にやらせ……反響のメールなども届いていたようですが、「よし。4回という方針をやめ、1面に5年連載だ!」という…

「赤旗」連載第2回は『青い花』を例に百合マンガ

本日(2011年9月16日)付で「こんなマンガもあるんですか」の第2回が掲載。BLと百合マンガを論じるために、志村貴子『青い花』(太田出版)をとりあげています。 ざっくりと1300字で論じるために、腐女子のみなさんからは怒られそうな単純化した論理…

安斎育郎インタビュー「食品汚染 どう向き合うか」

2011年9月9日付朝日新聞に安斎育郎インタビュー。「食品汚染 どう向き合うか」。非常によいインタビュー。 基本的には、安斎育郎『増補改訂版 家族で語る食卓の放射能汚染』 - 紙屋研究所 で紹介したとおりの話。気にする立場と気にしない立場をお互いに尊…

赤旗で短期連載しますよ

みなさーん、「しんぶん赤旗」でのぼくの連載が始まりましたよ。「こんなマンガもあるんですか」という連載タイトルで、2011年9月9日付から数回だけの短期連載ですが、必読ですよ。必読。 前回5年続いた連載が終わって3年で復帰ですよ。 すごいですね。 …

賢くないニュース読解法/議論の苦手な人って何だ

ライフハック系のホットエントリを見かけると、よーしパパこんなエントリやっつけちゃうぞ、と思って鼻息荒く出かけていくのだが、ぼくの方が何かしら説得されて帰ってくるのがオチだった。ところが、この記事はなかなかにひどい。久々に説得されることが一…

ドラえもんと原子炉

ドラえもんの動力源が原子炉であることは3歳の女のおじいさんでも知っている国民的常識だが、だからといって反原発の立場からドラえもんを憎むのは現状水準の科学に縛られた愚かな感情である。22世紀ではE=mc^2に則って、どら焼きなどの質量をエネルギーに…

週刊プレイボーイに『彼女のひとりぐらし』評を載せました

ずいぶん前になっちゃいましたけど、8月22日号の週刊プレイボーイに、玉置勉強の『彼女のひとりぐらし』のレビューを書きました。 玉置勉強については、『彼女のひとりぐらし』だけでなく、『恋人プレイ』について少し前に書きました。http://d.hatena.ne…

レベッカ・ソルニット『災害ユートピア』

宮城で思い出した本書 宮城県塩竈市・多賀城市に被災地支援に行ったとき、ぼくのサイトの「ファン」だという人(まあまあそんなに騒ぐんじゃないよ君たち…)に会った。その人は保育園に子どもを通わせているので、地震・津波が起きた当日がどんな様子だった…

安斎育郎『増補改訂版 家族で語る食卓の放射能汚染』

学習会でとまどう人びと 福島原発の事故以来、左翼組織の中で、なぜかドシロウトのぼくが原発や放射線被害の問題の学習会のチューターをつとめることがある。もちろん専門家ではないので問題の骨格を知るための入門という位置づけだ。 その学習会の場で、ICR…

「コクリコ坂から」感想

お盆で帰省したのをこれ幸いと、娘を寝かせ、母に添い寝を頼み夫婦で「コクリコ坂から」を観に、車で1時間半ほどの深夜ドライブをしてオールナイト映画館にたどりつく。 終わった後、帰りの車の中で夫婦で感想交流をした。 もうね、メル大好き 「コクリコ坂…

「平成百姓サムライ」

ナチュラルアート・佐々木慧・田中雅紀「平成百姓サムライ」 http://www.naturalart.co.jp/business/manga.html 農業や農家を描いた漫画というのはあるけども、農業をビジネスととらえた漫画ってないものだろうかと思っていたら、ネット上にあった。農業のも…

週刊プレイボーイに『銀の匙』の書評を書きました

週刊プレイボーイの2011年8月1日号「この漫画がパネェ!!」に荒川弘『銀の匙 Silver Spoon』(小学館)の書評を書きました。 荒川自身の酪農・農業高校体験が反映されている作品です。彼女の『百姓貴族』(新書館)とかぶるテーマですが、そこに「目的を…

シバキヨ『明日、夫が逮捕されちゃう!?』

この本ではじめて、行政書士と弁護士の間に「縄張り争い」があるということを知った。 この本の魅力はどこにあるのか この本は実話系の漫画だ。行政書士である主人公(シバタ・タカヒロ)が大阪弁護士会から「非弁活動」(弁護士でもないのに弁護士にあたる…

民医連新聞で『宇宙兄弟』の書評を書きました

2011年8月1日付の「民医連新聞」の「マンガ評論家紙屋さんの『この一冊を読んでみた』」のコーナーで、小山宙哉『宇宙兄弟』(講談社)の書評を書きました。 『宇宙兄弟』の魅力のコアにあるものっていうのは、『銀河英雄伝説』のヤン・ウェンリーが何とな…

『この世界の片隅に』ドラマ化への不安

きょう(2011年8月3日)付の「しんぶん赤旗」にこうの史代のインタビューが載っていた。被災地で感じたことなどをしゃべっている。 最近、『この世界の片隅に』は新装され、書店に並んでいる。5日にテレビドラマとして日テレ系で放映される(すず役は北川…