書評

『韓国の小学校歴史教科書』を読了してぼんやり思うこと

また、前の記事の続き。 きょうは、『韓国の小学校歴史教科書』(明石書店)を読み終わった。 韓国の小学校歴史教科書 (世界の教科書シリーズ) 作者: 三橋広夫 出版社/メーカー: 明石書店 発売日: 2007/10/02 メディア: 単行本 クリック: 1回 この商品を含む…

澄川嘉彦・五十嵐大介『馬と生きる』/「たくさんのふしぎ」2019年11月号

つれあいの母、すなわち義母が契約をして、現在小6の娘に「月刊たくさんのふしぎ」を毎月送ってくる。小学1年生くらいまでは「こどものとも」だった。 これらは福音館書店が毎月発行している雑誌で、「こどものとも」はいわば定期絵本であり、「たくさんの…

『まんが朝鮮の歴史』『韓国の小学校歴史教科書』

日韓関係がアレだというのに、韓国(朝鮮半島)の歴史のこと、なんも知らんなあ……と気づいた。 少し勉強を、と思ったものの、知らない地名や人物が次々出てくるともういけない。 こういうときは、自分が日本史でそうだったように、学習マンガでまず「物語&…

ナディア・ムラド『THE LAST GIRL』

「イスラム国に囚われ、闘い続ける女性の物語」というサブタイトルの通りで、性暴力のすさまじい実態が告発されている。書名は「この世界で私のような体験をする女性は、私が最後であってほしい」という意味である。著者は昨年ノーベル平和賞を受賞した。 TH…

上西充子『呪いの言葉の解きかた』

昨年ぼくは「ご飯論法」の命名者の一人として流行語大賞をいただいた。「朝ごはんを食べましたか?」という問いに、米飯は食べていないがパンは食べたという事実を隠して「ご飯は食べておりません」と答弁する……このタイプのごまかしを安倍政権がやっている…

スターリンは意気消沈していたのか問題

大木毅『独ソ戦』には独ソ開戦時のスターリンの様子については何も書かれていない。 kamiyakenkyujo.hatenablog.com 独ソ開戦時に“スターリンが意気消沈していた”説について、不破哲三は『スターリン秘史』で批判をしようと企てていた。 スターリン秘史?巨悪…

大木毅『独ソ戦 絶滅戦争の惨禍』

専門家でもない、当該問題のシロートであるぼくは何を期待してこの本を手にしたのか。 独ソ戦 絶滅戦争の惨禍 (岩波新書) 作者: 大木毅 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2019/07/20 メディア: 新書 この商品を含むブログを見る シロートであるぼくが本書…

山本章子『日米地位協定』

この参院選でも日米地位協定は争点 日米地位協定って、実は今回の参院選挙でほとんどの政党が重点公約にかかげてるんだよな。 自民党 米国政府と連携して事件・事故防止を徹底し、日米地位協定はあるべき姿を目指します。 https://jimin.jp-east-2.storage.a…

デービッド・アトキンソン『新・生産性立国論』

著者アトキンソンによれば、人口減少の日本では生産性を上げる以外に未来がなく、著者はそのための3つの政策を提唱している。 デービッド・アトキンソン 新・生産性立国論 作者: デービッドアトキンソン 出版社/メーカー: 東洋経済新報社 発売日: 2018/02/2…

『家系図を作ろう!』

ぼくも家系図を作るのにハマっている。 note.mu ぼくが参考にしたのはこの本。『家系図を作ろう!』。 家系図を作ろう エイムック 出版社/メーカー: エイ出版社 発売日: 2015/12/02 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 120ページほどでイラス…

『響』と『月と六ペンス』

天才的な高校生の小説家を描いたマンガ、『響』について、つれあいは「たかが高校生に芥川賞はともかく直木賞を取れるような文章が書けるはずがない」「しかも本人に社会性がなく、経験もない。世事に疎そうだし」という批判をした。 響?小説家になる方法?(…

「人権=思いやり」という洪水のような「教育」

人権は道徳ではない、っていう、あの話だけどね。 fairs-fair.org 特にこの記事のこの部分。 谷口さんは「人権は道徳ではありません」と話す。 「人権啓発として『みんなで仲良くしましょう』というキャンペーンをよく見ます。これは裏返すと『仲良くできな…

永井義男『江戸の糞尿学』

なぜか連休中に、自分の娘の参加する少年団のキャンプで、江戸時代について話すことになった。 子どもたちが観た劇に江戸時代の屑屋が出てくるので、江戸時代がどんな時代で、どんなリサイクル社会だったかを子どもたちに伝えたいというのが団の意向なのであ…

西口想『なぜオフィスでラブなのか』

タイトルを問題意識にして、11の小説とマンガからそれを考えていくという手法。 本書に興味を持ったのはタイトルからだったが、本書第5章にある綿矢りさ『手のひらの京』を題材にした記述を読んでいた時に、弁護士の牟田和恵が書いた新書『部長、その恋愛…

中原淳+パーソナル総合研究所『残業学 明日からどう働くか、どう働いてもらうのか?』

残業の削減を「データとエビデンスに基づく分析」(本書p.7)によって「具体的な解決策を提案」(同前)ことを売りとする。 残業学 明日からどう働くか、どう働いてもらうのか? (光文社新書) 作者: 中原淳,パーソル総合研究所 出版社/メーカー: 光文社 発売…

太田垣章子『家賃滞納という貧困』

司法書士として家賃滞納の処理にあたってきた筆者が、18のケースを紹介している。 家賃滞納という貧困 (ポプラ新書) 作者: 太田垣章子 出版社/メーカー: ポプラ社 発売日: 2019/02/08 メディア: 新書 この商品を含むブログを見る 230ページの本なのに200ペー…

前田正子『無子高齢化 出生数ゼロの恐怖』

少子化は社会を維持できなくなる大変な問題だ、という前提さえ共有するなら、あとはどう対策(解決策)を考えるか、という話になる。 本書・前田正子『無子高齢化 出生数ゼロの恐怖』(岩波書店)にはタイトルの通り現状を告発する部分がかなりあるが、では…

和田文夫・大西美穂『たのしい編集』

編集・DTP・校正・装幀についてのエッセイ。出版や書籍の将来についても書いている。 たのしい編集 本づくりの基礎技術─編集、DTP、校正、装幀 作者: 和田文夫,大西美穂 出版社/メーカー: ガイア・オペレーションズ 発売日: 2014/01/14 メディア: 単行本(ソ…

石原俊『硫黄島 国策に翻弄された130年』

ぼくが選挙に出た際に自分の戸籍を眺めていたら自分の出生場所に違和感(というほど大げさなものではなく「あれ?」程度のものだが)があったので、親に尋ねたら、高須克弥が現理事長を務める病院で自分が生まれたことを知った。 その高須克弥であるが、ぼく…

増本康平『老いと記憶 加齢で得るもの、失うもの』

ぼくのような一般人には「歳をとる→記憶が衰える→物忘れが激しくなる→頭を使わなくなる→認知症になる」というような図式と不安がある。 それにこうするために脳トレだ、という風潮もある。 本書はそのような図式に対する批判であり、一般人への啓蒙だといっ…

北村雄一『生きた化石 摩訶ふしぎ図鑑』

生物がずっと姿を変えないとはどういうことかを考えていて、この本を読む。 生きた化石 摩訶ふしぎ図鑑 (「生きもの摩訶ふしぎ図鑑」シリーズ) 作者: 北村雄一 出版社/メーカー: 保育社 発売日: 2017/06/26 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 「…

宮崎賢太郎『潜伏キリシタンは何を信じていたのか』

潜伏キリシタンは、潜伏しているうちにその教義の本質がわからなくなって、民間信仰などと融合してしまったのではないか、というのが本書の趣旨である。というかそもそもキリスト教への改宗自体が領主の方針変更であったに過ぎず、住民はよくわかっていなか…

ロバート・ライト『なぜ今、仏教なのか 科学の知見で解く精神世界』

仏教は、湧き上がる不安や欲望――つまり「煩悩」をどうコントロールするのかという無神論の精神管理技術じゃねーのか、ということをブログでもくり返し書いてきたんだけど、 http://d.hatena.ne.jp/kamiyakenkyujo/20151025/1445776901 http://d.hatena.ne.jp…

田村一夫『公務員が議会対応で困ったら読む本』

誰が読むんだこんな本…。 といいつつ、買って読んで面白がっているのはぼくである。 地方議会で答弁するのは、首長(知事とか市長)だけじゃないの? と思う人もいるかもしれない。「いや市長だけじゃなくて担当の役人が答弁しているのをなんか見たことある…

今野晴貴『会社員のための「使える」労働法』

類書はたくさんある。 だから、正直「今さらまたこのタイプの本か」というような気持ちで手にとった。 だが、つい終わりまで読んでしまった。そして読み終わると思いを新たにしたことがある。 知らなかった知識もある 一つは、そうは言ってもやっぱり知らな…

一瀬文秀『潮谷義子聞き書き 命を愛する』

憲法には 地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。 とある。この「地方自治の本旨」とは何か。憲法学者の小林直樹は この言葉は、日本国憲法のなかで、最も不明瞭で把えにくい概念のひとつ(小林『憲法講義…

萱野稔人『社会のしくみが手に取るようにわかる哲学入門』

「サイゾー」で萱野が連載していたものをまとめた本。 ときどきの社会事象を、わかりやすく大もとから解説する。 「わかりやすく大もとから」というのが、池上彰的なそれではなく、哲学的にやろうという態度。 というのは、初心者の疑問というものはそもそも…

長谷川摂子『子どもたちと絵本』・せなけいこ『ねないこだれだ』

「マンガをどう語りたいか」という問題についていえば、ぼくはまず文体や語り口へのあこがれから入っている。 よくこのブログで書いているように「関川夏央のように書きてえ」というのが出発点なんだけど、子どもを育てて絵本をいっしょに読むうちに、長谷川…

熊代亨『「若者」をやめて「大人」を始める』

これは俺のことが書いてある本じゃないのか? と思った。 「若者」のやめどきを見失い、いつまでもオタクライフの「最前線」にいるようなつもりになって、そのステージから降りられず、とはいえ実態としてはとっくにそんな第一線からはおいてけぼりをくって…

五味洋治『朝鮮戦争は、なぜ終わらないのか』

ちょうど一年前くらいに書いた記事の通りで、今ぼくが自分の中で一番大きな心配をしているのが米朝の衝突である。そのことはこの1年間変わらなかった。*1http://d.hatena.ne.jp/kamiyakenkyujo/20170417/1492360721 九州に住んでいる、そして日米安保条約下…