マンガ

『まんが朝鮮の歴史』を読み終えて

前の記事の続き。『まんが朝鮮の歴史』を読み終える。 巻末に「全16巻」とあるので、これで終わりのはずだけど、16巻のタイトルが「日本の軍国主義体制と独立の準備」なんだよね。 だけど、常識的に考えて、それで終わる? だいたい、16巻の裏表紙、こんなだ…

『まんが朝鮮の歴史』『韓国の小学校歴史教科書』

日韓関係がアレだというのに、韓国(朝鮮半島)の歴史のこと、なんも知らんなあ……と気づいた。 少し勉強を、と思ったものの、知らない地名や人物が次々出てくるともういけない。 こういうときは、自分が日本史でそうだったように、学習マンガでまず「物語&…

日野雄飛『理想と恋』

ある仏教書を読んでいると、次のような章・節タイトルに出会った。 「生命を生かしているもの」 「だれに生かされているのか」 仏教の本を読んでいて、このタイトル。 誰がどう考えてもこの章には、「宗教」じみた、「説教」くさい話が書かれているのだろう…

雁須磨子『名前をつけて保存しますか?』

ぼくは今PTAに入っていない。少し前に退会したのだ。PTAは任意加入が原則なので、それを規約で定めたり、加入届で確認したりしてほしかったのだが、その要望がかなわないので脱けることにしたのである。 誤解のないように言っておけば、喧嘩別れしたわけでは…

ちばてつや『ひねもすのたり日記』

前にも書いたかもしれないが、まもなく傘寿を迎える父の生い立ちの聞き取りをしている。これが滅法面白い。 あまりにたくさんのエピソードがあってどれも興味深い話ばかりなのだ。 戦後の食糧事情から、自分がどのように農家をやめ商人になっていったかとい…

萩原あさ美『娘の友達』1巻

必死に出世街道を走っていたサラリーマンであると同時に、不登校になりかけた高校生の娘をもつシングルファーザーでもある主人公・市川晃介が、喫茶店でバイトをしていた娘の友達・如月古都と知り合い、二人きりのカラオケで抱きしめられたり、職場放棄して…

拙著『マンガの「超」リアリズム』が大東文化大学の一般入試に

拙著『マンガの「超」リアリズム』(花伝社)の『この世界の片隅に』評が大東文化大学の2019年度一般入試「国語」の問題文として出題されました。私の町内会系新書はこれまでも入試・模試などに使われたことがありましたが、マンガ評からは初めてです。 http…

有間しのぶ『その女、ジルバ』

「しんぶん赤旗」日曜版2019年7月28日号で今年連載している、もしくは刊行が完結した「戦争マンガ」を書評した。 以下の4作。 有間しのぶ『その女、ジルバ』 山田参助『あれよ星屑』 伊図透『銃座のウルナ』 小梅けいと『戦争は女の顔をしていない』(スヴ…

オカヤイヅミ『ものするひと』

あるテレビ番組に出演したとき、自分の肩書きを「作家」と紹介されたことがある。 事前に「肩書きは何にしましょうか?」と問われ、著作の名前を挙げて「『……を書いた紙屋高雪』ではどうでしょう」と提案したのだが、相手は「ご著書は紹介するんですけどね……

ヤマシタトモコ『違国日記』

祖父母・父母・兄弟の6人で暮らしていた田舎の実家を「暮らしにくい」と思ったことはその当時なかったが、家を出て一人暮らしを続け、やがて家族を持つ身となってみて、今あの実家に戻りたいかといえば、やはりもう戻って生活する気はない。つうか、もうで…

大島智子『セッちゃん』

誰とでも寝る「女の子」を主人公にした大島智子『セッちゃん』。 以下ネタバレがある。 本作を読んだとき、すぐに思い浮かべたのは、岡崎京子の『リバーズ・エッジ』だった。 そのことは他の人にもそうらしく、例えば、下記のインタビュー記事では、インタビ…

西餅『僕はまだ野球を知らない』4

勝敗の明暗を残酷な形で示すスポーツというものは、どうしても「格下」と相手を見る意識が生まれるものなんだろう。 僕はまだ野球を知らない(4) (モーニング KC) 作者: 西餅 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2019/04/23 メディア: コミック この商品を含む…

FLOWERCHILD『イブのおくすり』

このマンガを何度も読み返してしまうのは、興奮する中身だったから。しみじみ、今自分は百合にエロしか求めていないなと思った。 イブのおくすり (ヤングキングコミックス) 作者: FLOWERCHILD 出版社/メーカー: 少年画報社 発売日: 2019/05/10 メディア: Kin…

黒木智子のどこがいいのか

『私がモテないのはどう考えてお前らが悪い!』の主人公・黒木智子はずっと一人ぼっち(「ぼっち」)であることをネタにしてきたマンガ作品だが、ここへきて奇妙な形で次々と友人ができはじめる展開になっている。その様は「コミュニケーションの牢獄」である…

『響』と『月と六ペンス』

天才的な高校生の小説家を描いたマンガ、『響』について、つれあいは「たかが高校生に芥川賞はともかく直木賞を取れるような文章が書けるはずがない」「しかも本人に社会性がなく、経験もない。世事に疎そうだし」という批判をした。 響?小説家になる方法?(…

日高トモキチ『ダーウィンの覗き穴〔マンガ版〕―虫たちの性生活がすごいんです』

原作はメノ・スヒルトハウゼンの同名書。*1そのマンガ版である。 ダーウィンの覗き穴〔マンガ版〕──虫たちの性生活がすごいんです 作者: 日高トモキチ 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2019/04/03 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る ダーウィ…

ナナシ『イジらないで、長瀞さん』

「スクールカースト」とまでは言わないけども、文化圏が違うクラスの女子、特にギャル的な女子から、相当にからかわれながらちょっかいを出されて「構われる」、つまりそのからかいは、実は自分への好意じゃないのか……?っていう話の作りかたは、ぼくの中学…

石黒正数『天国大魔境』1・2

石黒正数『天国大魔境』は何か大きなカタストロフがあった後の日本を描いている。これから解かれるべき謎(の一つ?)が2巻でようやく設定されたが、まだ設定全体さえ見えてこない。 だから評価もしようがないが、かと言って物語の切片、絵、セリフが楽しめ…

川村拓『事情を知らない転校生がグイグイくる。』

小学校のクラスで「死神」とあだ名をつけられいじめられている西村さんを、「死神」なんて「クールでかっこいい」と思って「グイグイ」好意を寄せてくる転校生・高田くん。 事情を知らない転校生がグイグイくる。(1) (ガンガンコミックスJOKER) 作者: 川村拓…

『NANA』は「多様性ある家族像を根底から否定する前近代的な家族観」か?

「しんぶん赤旗」で中川裕美が「少女マンガとジェンダー」という連載をしている。毎回楽しみにしている。 2月15日付は、第7回。ゼロ年代のマンガとして矢沢あい『NANA』が取り上げられている。 すでにツイッターで簡単な感想を書いた。 赤旗15日付、中川裕…

たみふる『付き合ってあげてもいいかな』1

大学の軽音サークルに入った「みわ」と「冴子」という女性2人がつきあう話である。 付き合ってあげてもいいかな(1) (裏サンデー女子部) 作者: たみふる 出版社/メーカー: 小学館 発売日: 2019/01/11 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 同性…

山口つばさ『ブルー・ピリオド』

『このマンガがすごい!2019』で2018年(2017年9月〜2018年9月)のマンガのベスト5を回答した(オンナ編)。 「オンナ編」しか選んでいないので、では「オトコ編」でトップを選ぶとしたらどうなるか。(実は1つだけアンケート回答しているのだが、それは…

『ポプテピピック』を一言で紹介できんかった

テレビにインタビューされる機会があり、「何を読んでいるんですか?」と言われ、ちょうど電子書籍で『ポプテピピック』を読んでいる最中だった。 「それはどんなマンガですか?」と問われ、返答に窮した。 喘ぐようにやっと絞り出した一言が「……シュールな…

ティリー・ウォルデン『スピン』

この作品を読もうと思ったのは、(2018年)4月15日付の読売で、朝井リョウが書評をしていたからだった。 スピン 作者: ティリー・ウォルデン,有澤真庭 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2018/02/24 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含む…

MAAM、サンドロビッチ・ヤバ子『ダンベル何キロ持てる?』

昨年の10月に筋トレを始めて、約1年になる。 この記事を書いてから10ヶ月だ。 http://d.hatena.ne.jp/kamiyakenkyujo/20171218/1513606602 インフルエンザの時以外、週に1日だけ休みをおいて、ほとんど毎日欠かさずやっている。もちろん、その時書いたよう…

大久保ニュー『15歳、プロ彼女 元アイドルが暴露する芸能界の闇』

大久保ニューのマンガを久しぶりに読む。というか、待っていた。2000年代初頭に『薔薇色のみっちゃん』や『ニュー・ワールド』を読んで「もっと読みたい!」と思いながら、店頭でなかなか出会えず、正直なところ、次第に忘れて行ってしまったのだ。 本作は、…

山本直樹『分校の人たち』 「ユリイカ」での『レッド』論にも触れて

「ユリイカ」2018年9月臨時増刊号「総特集=山本直樹」で「猟奇からエロを経て人間的なものへ――『レッド』小論」を書いた。 連合赤軍事件は、事件そのものとしてサブカル的な「面白さ」を持っている。 だから『レッド』論ではなく連合赤軍事件論になってしま…

『はだしのゲン』は核均衡論の味方か

マンガ評論家である呉智英氏が「週刊ポスト」(2018年8月14・27日号)のインタビューでぼくの近著『マンガの「超」リアリズム』(花伝社)にふれ、ぼくについて言及してくれています。 ……実は核アレルギーに代表される感情的反核論の世界的広がりこそが核均…

不倫マンガあと5つ紹介

「週刊プレイボーイ」(2018年6月18日号)で「不倫マンガ」を紹介したことは、Twitterでお知らせしたけど、そのときに他に5つほど作品を紹介したんだが、のらなかった。つうか、他の人とカブった(そして編集部の「不倫」の定義にも合わないものがあった)…

チェ・ギュソク『沸点 ソウル・オン・ザ・ストリート』

高校時代を思い出した 韓国で軍事独裁から民主政権が初めて誕生したのは1988年の盧泰愚のときであった。そのころぼくは高校生で、すでに左翼運動にかかわっていた。だからテレビから流れてくるデモの映像とそれによって政権が変わったという話を聞いて、「う…