マンガ

『君は放課後インソムニア』と『花野井くんと恋の病』

※ネタバレがあります。 『君は放課後インソムニア』 オジロマコト『君は放課後インソムニア』は、不眠症(インソムニア)の男子高校生・中見丸太(なかみ・がんた)が、今は誰も使っていない学校の天体観測ドームで、やはり不眠症で同じクラスの女子高生・曲…

渡辺ペコ『1122』を議論して夫婦で対立した日

リモート読書会は渡辺ペコ『1122』だった。(以下、一部ネタバレがあります) kamiyakenkyujo.hatenablog.com kamiyakenkyujo.hatenablog.com つれあいも参加している少人数での読書会なので、そこでこの「公認不倫」マンガを取り上げるというのはまこと…

「社会を明るくする運動」の宿題作文のこと

中1の娘の短い夏休みの宿題の一つが「社会を明るくする運動」作文である。学校が配布した課題一覧表には「1年生は全員取り組むこと。2・3年生は自由」とされている。選択課題でなく必須なのである。 「社会を明るくする運動」の概要がプリントに書いてあ…

渡辺ペコ『1122』7

渡辺ペコ『1122』が終わった。 1122(7) (モーニングコミックス) 作者:渡辺ペコ 発売日: 2020/07/20 メディア: Kindle版 続きを心待ちにしていた作品の一つであった。 本作は、子どもを持たず、セックスレスになった夫婦を描いている。夫は妻公認の不…

鍋倉夫『リボーンの棋士』

『リボーンの棋士』は奨励会の年齢期限に間に合わず退会になった主人公が再びプロを目指す物語である。 リボーンの棋士(1) (ビッグコミックス) 作者:鍋倉夫 発売日: 2018/10/05 メディア: Kindle版 「九州漫画読み会ONLINE」で取り上げられた作品だったけ…

ふせでぃ『明日、世界が滅びるかもなので、本日は帰りません。』

(以下、ネタバレがあります) 明日、世界が滅びるかもなので、本日は帰りません。 (文春e-book) 作者:ふせでぃ 発売日: 2020/07/08 メディア: Kindle版 派遣で働く28歳のアキの物語。 彼女は自分なりの幸せをつかめないまま、労働においては派遣、生活にお…

宮部サチ『友達100人切れるかな』1

ぼくはこれまでの人生の中で絶交した「友人」が2人ほどいる。 そのうちの1人は会うたびにぼくを激しくいらだたせたり、挑発するようなことを言ってくる人で、会った後あまりに悔しくて独りで号泣したこともある。 つれあいにそのことを話したら、せんべい…

『文学女子に食べられる』の感想・続き

(性的な話題が以下書かれています) 『文学女子に食べられる』についてもう少し書いておきたい。 ↓の記事の続きである。 kamiyakenkyujo.hatenablog.com 後輩(女性)が先輩(男性)を誘い、後輩の部屋でベッドに並んで座り語り合う構図、「お耳…… 舐めます…

サークルひまわりのたね『文学少女に食べられる』

(性的な話題が書いてある記事です) サークルひまわりのたね『文学少女に食べられる』『文学少女に食べられる2』を読む。 文学サークルに属する男女二人はどちらも大人しく、サークル部屋で本を読んでいるだけなのだが、2人で飲みに行くことになり、耳を…

飯田ヨネ『ケムリが目にしみる』

26歳、中堅IT企業で事務職をする葉山かすみは「正しいこと」を欲している。 「正しいこと」……? 葉山にとって「正しいこと」とは「普通」のことであり、つまり多数の人たちが従っている枠組みである。ここでは「正しいこと」はなんと多数派の空気を読むこと…

『映像研には手を出すな!』について「EX大衆」で書きました

雑誌「EX大衆」2020年5月号で『映像研には手を出すな!』について「本作が『部活モノ、女子高生モノ』である必然」について書いています。 この号で『映像研には手を出すな!』について「本作が『部活モノ、女子高生モノ』である必然」について書いています…

室井大資・岩明均『レイリ』

(ネタバレがあります) 武田家滅亡の甲府を舞台にして、家族を惨殺された少女レイリが武田の部将に剣豪として育てられ、武田最後の嫡子・武田信勝の「影武者」となっていく物語である。 レイリ 1 (少年チャンピオン・コミックス エクストラ) 作者:室井大資…

いつまちゃん『来世ではちゃんとします』

小さな映像プロダクションで働く、性をこじらせた4人の物語である。それぞれは職場では恋愛関係にならずに、それぞれのプライベートでの性関係が4コマで描かれる。 最近愛蔵版が出たので、今さらながら読んだ。 来世ではちゃんとします 1 (ヤングジャンプコ…

松田奈緒子『重版出来!』14

マンガ編集、マンガの執筆、そしてマンガに関わる人の物語となっている、松田奈緒子『重版出来!』の14巻で注目したのは、書店をクビになった書店員・河舞子がまわりの協力を得ながら「ひとり書店」を立ち上げる話だ。 重版出来!(14) (ビッグコミック…

藤緒あい『先生、あたし誰にも言いません』

表紙とタイトルを見て買う。当然エロいことを期待するわけである。 先生、あたし誰にも言いません【電子単行本】 1 (プリンセス・コミックス) 作者:藤緒あい 発売日: 2019/01/16 メディア: Kindle版 そして1巻。女子高生が青年男性教師にセックスしてほし…

『もし部下が発達障害だったら』『綿谷さんの友だち』

佐藤恵美『もし部下が発達障害だったら』(ディスカヴァー携書)の冒頭に、いかにも上司がいいそうなセリフが掲げてある。 「おまえ、なぜ何度言っても同じミスを繰り返してばかりなんだ? 発達障害なんじゃないか? 病院に行って調べてもらってこい」(佐藤…

高松美咲『スキップとローファー』

ぼくは地元の自治体の高校には行かず、電車で片道1時間半もかけるような、となりの大きな市の進学校に行ったので、自分と同じ中学から来ている生徒は同学年に1人もいなかった。 そこで生まれて初めて「誰も知り合いがいない」という状態を体験した。 生まれ…

『このマンガがすごい! 2020』に「オンナ編」のアンケート選者として参加

『このマンガがすごい! 2020』(宝島社)に「オンナ編」のアンケート選者として参加しています。 ebookjapan.yahoo.co.jp konomanga.jp ぼくとしては、自分の選んだものがオンナ編の3位にランクインしたのと、特別に選んだオトコ編の作品が、7位で入って…

ハルノ晴『あなたがしてくれなくても』

『あなたがしてくれなくても』はセックスレスを扱う作品だ。 あなたがしてくれなくても : 1 (アクションコミックス) 作者:ハルノ晴 出版社/メーカー: 双葉社 発売日: 2018/03/28 メディア: Kindle版 ぼくがこういう作品になぜか読む前から望んでしまう・期…

『女ともだち』と『82年生まれ、キム・ジヨン』

共産党が主催するジェンダー問題の学習会に参加した。講師は共産党中央委員会 政策委員会事務局次長・坂井希である。 www.jcp-kyoto.jp (上記の京都の講演会ではないが、各地で行われている同趣旨の講演に参加した) 会場では「年配者の多い党支部では、ど…

こうの史代『ギガタウン』

娘の保育園時代のクラスで毎年集まりを持っているのだが、小学校を卒業する今年で終わりとなる。 そこで記念として、カップに絵を描こうということになった。 最近は専用のマーカーがあって、電子レンジで温めるだけで絵が固定してしまう便利なものがある。 …

『宇崎ちゃんは遊びたい!』献血ポスター問題を考える

『宇崎ちゃんは遊びたい!』を使った献血ポスターとそれをめぐっての太田啓子弁護士のコメント・行動が炎上しているな。 togetter.com 太田は詳しくは述べていないようだが、要するに宇崎ちゃんの「巨乳」強調のイラストが「無神経」であり「公共の場での環…

『まんが朝鮮の歴史』を読み終えて

前の記事の続き。『まんが朝鮮の歴史』を読み終える。 巻末に「全16巻」とあるので、これで終わりのはずだけど、16巻のタイトルが「日本の軍国主義体制と独立の準備」なんだよね。 だけど、常識的に考えて、それで終わる? だいたい、16巻の裏表紙、こんなだ…

『まんが朝鮮の歴史』『韓国の小学校歴史教科書』

日韓関係がアレだというのに、韓国(朝鮮半島)の歴史のこと、なんも知らんなあ……と気づいた。 少し勉強を、と思ったものの、知らない地名や人物が次々出てくるともういけない。 こういうときは、自分が日本史でそうだったように、学習マンガでまず「物語&…

日野雄飛『理想と恋』

ある仏教書を読んでいると、次のような章・節タイトルに出会った。 「生命を生かしているもの」 「だれに生かされているのか」 仏教の本を読んでいて、このタイトル。 誰がどう考えてもこの章には、「宗教」じみた、「説教」くさい話が書かれているのだろう…

雁須磨子『名前をつけて保存しますか?』

ぼくは今PTAに入っていない。少し前に退会したのだ。PTAは任意加入が原則なので、それを規約で定めたり、加入届で確認したりしてほしかったのだが、その要望がかなわないので脱けることにしたのである。 誤解のないように言っておけば、喧嘩別れしたわけでは…

ちばてつや『ひねもすのたり日記』

前にも書いたかもしれないが、まもなく傘寿を迎える父の生い立ちの聞き取りをしている。これが滅法面白い。 あまりにたくさんのエピソードがあってどれも興味深い話ばかりなのだ。 戦後の食糧事情から、自分がどのように農家をやめ商人になっていったかとい…

萩原あさ美『娘の友達』1巻

必死に出世街道を走っていたサラリーマンであると同時に、不登校になりかけた高校生の娘をもつシングルファーザーでもある主人公・市川晃介が、喫茶店でバイトをしていた娘の友達・如月古都と知り合い、二人きりのカラオケで抱きしめられたり、職場放棄して…

拙著『マンガの「超」リアリズム』が大東文化大学の一般入試に

拙著『マンガの「超」リアリズム』(花伝社)の『この世界の片隅に』評が大東文化大学の2019年度一般入試「国語」の問題文として出題されました。私の町内会系新書はこれまでも入試・模試などに使われたことがありましたが、マンガ評からは初めてです。 http…

有間しのぶ『その女、ジルバ』

「しんぶん赤旗」日曜版2019年7月28日号で今年連載している、もしくは刊行が完結した「戦争マンガ」を書評した。 以下の4作。 有間しのぶ『その女、ジルバ』 山田参助『あれよ星屑』 伊図透『銃座のウルナ』 小梅けいと『戦争は女の顔をしていない』(スヴ…