これはすごい、と素直に思う。
歴史的な合意だ。
衆院選後に立民中心の政権が樹立された場合の共産との関わり方について、枝野氏は「消費税減税」や「安全保障法制の違憲部分の廃止」など、民間団体「市民連合」と合意した政策の実現に限定した閣外からの協力を提案。志位氏は「全面的に賛同する」と応じた。衆院選での選挙協力を強化していくことでも合意した。(強調は引用者)
「市民連合」との野党共通政策が合意された9月8日の段階では、政権合意も、選挙協力合意もなく、単に各党がそれぞれ「市民連合」と確認しただけのものでしかなかった。志位和夫はこれを称して「この合意によって市民と野党の共闘の政策的な旗印が立派に立った」と言祝いだものの、逆に言えばただの「旗印」だった。極端なことを言えば、各党がそれぞれてんでバラバラに競い合ったとしても、この政策部分ではどの党も努力しているというほどのものであり、いわば「野党各党の公約の最大公約数」を意味するにすぎなかった。
それがここにきて共産・立憲という政党間の政権合意、選挙協力合意へと明確な形をとり、共同で国民に責任を持つ約束へと変わったのである。
他でもない、冒頭の時事通信の記事でも注目されているように、この政権は消費税減税を明確に打ち出すことになる。
いわば「消費税減税政権」である。
所得、法人、資産の税制、および社会保険料負担を見直し、消費税減税を行い、富裕層の負担を強化するなど公平な税制を実現し、また低所得層や中間層への再分配を強化する。(野党共通政策より)
この点では野党共通政策に加わらなかった国民民主も同じ旗印である。
野党はそろって、堂々とこの旗を立てて、自民・公明と対決できる。
ぼくは常々、安倍内閣をはじめ自民・公明政権の支持率が高かったのは、魅力的なオルタナティブがないせいだと言ってきて、早く野党が連合政権の合意をつくるべきだと述べてきた。
だから、政権を追及する重要性は理解するものの、政権合意がなければこの状況は根本的に打開できないと考え、合意をつくる方向で訴えもしてきたし、自身のささやかな政治活動でも努力をしてきた。
それがついにこのような形で実ったわけである。
画期的であるし、慶賀にたえないというしかない。
全くもって素晴らしい。
もちろん、こうした合意ができたから、明日からすぐ風向きが変わるというものでもあるまい。これからの地道な努力で「うん、どうもこちらの方がいいみたいだし、政権が取れそうな現実味があるぞ」と思ってもらわなければならないのだが。
しかし、貴重な一歩を踏み出したということである。政権合意があるのとないのとでは天と地ほどの開きがある。政権合意はできたのである。
歴史上なかなか例を見ない民主主義の挑戦
政策項目を限定しての閣外協力ということだから、
- 共産党は閣僚にはならない。
- 共産が協力するのも野党共通政策部分だけ。
- それ以外の点は立憲民主がつくる政権としての決定には関与できない。
- だが、共産党として責任を持つ野党共通政策の実現を実行する装置として、立憲民主がつくる政権はその成立に協力する。
ということになるのだろう。すごく機械的に言えば。
国民投票法改定案とか、コロナ特措法改定案とか、そういうものでは立憲民主と共産の対応は割れた。例えば共産党にとってみれば「それはマズイよ」というようなものは手が出せないし、通ってしまうわけである。
しかし、野党共通政策は実は幅広い。
例えば、コロナ特措法を改定して罰則を設ける、というようなもの(もう通ってしまっているわけだが)は全く共産党は閣外でモノが言えないかというとそうでもない。
野党共通政策には、
- 従来の医療費削減政策を転換し、医療・公衆衛生の整備を迅速に進める。
- 〔中略〕
- コロナ禍による倒産、失業などの打撃を受けた人や企業を救うため、万全の財政支援を行う。
という条文がある。
“罰則導入は、こういう条項に反するではないか”という介入をすることはできる。
ただ、明文でないから弱いわけだが。
…とまあそういうやりとりが考えられる。
どうせなら、国民民主も共産と同じように「限定的な閣外協力」をやってみてはどうだろうか。
こう考えてみると、「限定的な閣外協力」というやり方は、なかなか味のある、そして日本の歴史上はなかなか例を見ない民主主義の挑戦だということになる。
どっちにしたって、「消費税は当分いじらない」と公言する「岸田政権」と「消費税減税、賛成か反対か」で大いに勝負したらいい。実に楽しみだ。*1