「しんぶん赤旗」日曜版で「未来少年コナン」について書きました

 「しんぶん赤旗」日曜版(8月9・16日合併号)で「未来少年コナン」デジタルリマスター版について1000字ほどで書いています。

 1000字、というのは一定分量を与えられていることになりますが、このアニメについて、あるいは宮崎駿について新しいことを述べつつ、編集側からの要請を踏まえて書くというのはなかなか難しいなと思いながら書かせてもらいました。

 まず「デジタルリマスター版」という点についてですが、そこを掘り下げる気は無いけどいいですかと編集の方に確認したところ、それは構わないという了解をいただきました。なので再放送をしているという簡潔な事実と、どんな感じで毎週それを見ているか書きました。個人的なことを書いたことになりますが、それによって1978年当時の子どもの時の感覚と2020年の現在の感覚の重なりを普遍的に描こうと思いました。

 

 編集の方からは、宮崎アニメにおける「未来少年コナン」の位置づけ、スタジオジブリ結成前のアニメ界の状況等々もふまえながら、書いてほしいとのことだったので、前者は初監督(当時は「演出」とされた)という意義を簡単に書いた上で、後者は「宇宙戦艦ヤマト」に代表されるような、アニメが「青年のもの」になりつつあった中で、「子どものもの」としての位置付けをし直す作品として描きました。

 そこから、実は1970年代の子ども文化運動の文脈で登場してきたことを、以下の記事の観点で描きました。

kamiyakenkyujo.hatenablog.com

 

 その上で子どもの視点で見るときの楽しさを以下の記事を踏まえて書きました。

kamiyakenkyujo.hatenablog.com

 そして、子どもの作品として「都市と農村」「文明と自然」「階級支配」などの社会的なテーマが織り込まれており、それが大きな魅力なのですが、全部長々と紹介するわけにはいきません。

 上記のような論点や事実を書いた上で、端的にその魅力を伝えなければならないので、どこを取り上げるか迷ったのですが、やはり第1話で登場するモンスリーがおじいに言うセリフだろうと思いました。

 並みの作品なら、おじいが武器をふりまわすモンスリーら行政局職員に対して「お前たちはまだこんなことをやっているのか」と戦争批判をするところでとどまってしまうでしょうが、それに対して、モンスリーが大人の責任を突きつけるところが凄い。そのセリフを割と長めに紹介しました。

 あのセリフは聞くだけで、戦争の責任というものをどう考えるのか、胸に迫るものです。「赤旗」読者であればすぐにわかってくれるだろうと思って書きました。