2017-11-01から1ヶ月間の記事一覧

小山田容子『そのとき、あなたは実家を片づけられますか?』

先日の記事で『母は汚屋敷住人』を紹介したけど、まあたいていの家はそこまでではない。 むしろ今日紹介する『そのとき、あなたは実家を片づけられますか?』(扶桑社)のように、実家の老親の家の片付けをどうしよう…的レベルの悩みの方が、数としては多い…

紅林直・佐藤賢一『かの名はポンパドール』

“大洪水よ、わが亡きあとに来たれ!”これがすべての資本家および資本家国民のスローガンである。それゆえ、資本は、社会によって強制されるのでなければ、労働者の健康と寿命にたいし、なんらの顧慮も払わない。(マルクス『資本論』第1部第8章、新日本新…

三浦佑之『金印偽造事件 「漢委奴國王」のまぼろし』

志賀島で発見された国宝・「漢委奴國王」の金印に偽造説が昔からあったということ自体を知らなかった。郷土史好きの同僚が「金印は亀井南冥が偽造した」と言っているのを聞いて、そんな説があるのかと最近知った。 そんなおりに本書に出会ったので読んだわけ…

高嶋あがさ『母は汚屋敷住人』

知り合いからいわゆる「ゴミ屋敷」の相談を受けたのだが、自分でもあまり有効な手立てがアドバイスできず、市議会議員に聞いてもあまりうまく処理できないケースだったので、けっきょくほとんどまともにかかわることができなかった。 こういうのを「支援困難…

小林エリコ『この地獄を生きるのだ うつ病、生活保護。死ねなかった私が「再生」するまで。』

小説のようだった。 というのは、第一に、文章が面白かったからである。「文の芸」だ。次々にページを繰ってしまった。 第二に、エッセイとルポの中間という意味で。「中間だから小説」ってどうなの、と言われると困るけど、エッセイほど主観に任せていない…

「あ」さんの問題提起で時短論を一部修正する

前々回と前回のエントリで不破哲三の時短論について疑問を書いてきた。 それぞれの記事について、コメントがついている。 うち「あ」さんが提起されているぼくへの批判(「紙屋は誤読しているのではないか」という批判)についてぼくもよく考えて再度コメン…

時短論補足

※この23日付および24日付の記事については一部疑問が解消し、修正をした。併せて読んでほしい。 http://d.hatena.ne.jp/kamiyakenkyujo/20171125/1511658305 前回の記事「抜本的時短のために『みんなが生産活動に従事する』ことは必要か?」は、それ自体とし…

抜本的時短のために「みんなが生産活動に従事する」ことは必要か?

※この23日付および24日付の記事については一部疑問が解消し、修正をした。併せて読んでほしい。 http://d.hatena.ne.jp/kamiyakenkyujo/20171125/1511658305 生産手段の社会化とは何か、を考える前に、生産手段の社会化が労働時間の抜本的な短縮をもたらすと…

『オーイ! とんぼ』

『オーイ! とんぼ』は売れているようだが、ゴルフ好き以外であまり話題になっていないように見える。気のせいだろうか。 ぼくは全然ゴルフをやらないし、技術もルールも醍醐味もろくに知らない。マンガとしても、金井たつお『ホールインワン』を読んでけっ…

『シリコンバレー式 よい休息』

そんなふうに思っていない人は多いけど、共産主義の目的は時短による自由時間の増大である。 「はあ?」「えーっ!?」って思うかもしんない。 労働時間の短縮で自由時間を増やして人間が全面発達する――という展望をマルクスは人間の解放だと見ていた。 だか…

子どもが1人で遊びに行くようになったのは小4からだった

前にこういう記事を書いた。 子どもを1人で遊ばせるのは何歳からか AERA11.2.21感想 http://d.hatena.ne.jp/kamiyakenkyujo/20110220/1298227438 この記事を書いたのは、今から6年前か……。 自分の子ども時代と比較して、一体自分の子ども(娘)は、何歳か…

『君たちはどう生きるか』

民主青年新聞(2017年 11月 20日付)に吉野源三郎『君たちはどう生きるか』のマンガ版(マンガ:羽賀翔一)についてのコメントを寄せました。 戦前(1937年)に子どもに向けて書かれた本で、「コペル君」というあだ名の主人公が叔父さんとノートを使って交流…

島本和彦『アオイホノオ』18巻

マンガ家・島本和彦の自伝的要素を取り入れたっぽいマンガ『アオイホノオ』は、いよいよ18巻である。 新人であるホノオモユルが、雁屋哲の近未来型忍者アクションものの原作を受け持つことになったものの、その第1話のスゴすぎる原稿をもらって途方にくれて…

河原和音『素敵な彼氏』5巻

河原和音『素敵な彼氏』5巻は、ずっとラブラブだった。 たいてい少女マンガにはいつもしょうもない危機がやってきて、二人を試すんだけど、ずっとラブラブ。ラブラブ展開、すっごく好き。 もちろん、あるよ。ずっとラブラブマンガって。 たとえば志摩時緒と…

斉藤章佳『男が痴漢になる理由』

これまでの人生において、ぼくの知り合いの中で、痴漢で逮捕されて職を失った人が2人いる。 一人は、電車で女子高生に痴漢をして逮捕された。 もう一人は、女性のスカートの中を盗撮して逮捕された。 どちらも大卒えせ文系インテリみたいな感じの人で、そう…

社会主義について

このブログでときどき社会主義について、本を読んで思ったことを書きたい。 ここでいう「社会主義」というのは主に、ポスト資本主義としての社会体制、「社会主義体制」「社会主義社会」のことだ。 そんなことを書きたいと思った一番のきっかけは、AI(人工…

池上遼一・史村翔『BEGIN』他

青年マンガ誌「ビッグコミックスペリオール」の最新号(No.753)を読んでいたら、池上遼一・史村翔『BEGIN』で、「社会・政治評論家にして、ジャーナリストの一面も持つ論客」、評論家鳥谷哲也(とりたに・てつや)が、この物語の主人公格の一人・神津快(こ…

テレビで「シン・ゴジラ」を観ながら

さっき「シン・ゴジラ」をテレビでやっていたので、娘と見る。 昨年一家で映画を観たときの感想を記事として書いた。 http://d.hatena.ne.jp/kamiyakenkyujo/20160819/1471537816 この一文に対して、日本民主主義文学会代々木支部の同人誌「クラルテ」第8号…

都留民子『失業しても幸せでいられる国 フランスが教えてくれること』

外国の視点から日本を叩く、という近代史の初めからあったやり方の問題はまあ承知しているつもりだし、この本で「フランス社会についていささか美化」「フランスは天国ではありません。それどころか問題は山のようにあります」(本書p.106)とエクスキューズ…

山川直輝・朝基まさし『マイホームヒーロー』1

座間の事件がある時にこういう話もなんだけど、人を殺したらバレないようにできるのか、ということをつれあいと考えたことがある。いや、別に殺してないけど。殺す予定もないけど。 そのとき話題になったのは、殺人の痕跡を消すというよりも、例えば自分がパ…

おまΩこ『リアル風俗嬢日記 彼氏の命令でヘルス始めました』

ファッションヘルス(店舗型の個室で性サービスを行う風俗営業。性交=本番は禁止…って建て前はどこでも禁止だけど)に勤めるアラサー女性のコミックエッセイである。 告発や哀調でもなく、過剰な快楽や欲望の強調でもなく、セックスワークをする労働者とし…

儀式について

卒業式とか入学式とかの意義を少しも疑ったことはなかったぼくは、高校時代に、ある高校教師(樋渡直哉)が書いた次の文章に触れて衝撃を受けた。 私はお祭りは好きだが式は嫌いだ。祭りが日常と非日常という絶対的矛盾の自己同一化現象であるとすれば、式は…

山代巴編『この世界の片隅で』

当然この書名から思い出すのは『この世界の片隅に』であるが、一字違い。こちらは『この世界の片隅で』である。 全然違うジャンルの話を書いているならともかく、山代巴編の本書『片隅で』は、被爆した広島についてのルポであり、『片隅に』とあまりにも近接…

ビルギット・ヴァイエ『マッドジャーマンズ ドイツ移民物語』

「社会主義」国であった東ドイツに、モザンビークから大量の移民が来ていたという事実をぼくは知らなかった。 モザンビークはアフリカの南東にある国だが、1970年代にマルクス主義をかかげるモザンビーク解放戦線(フレリモ)がポルトガルからの独立戦争を戦…

高浜寛『エマは星の夢を見る』

30〜40代くらいの疲れた知的な女性のグラフィックを見るのが好きだ。 ということをこのブログでもぼくはたびたび表明してきたが、本作『エマは星の夢を見る』もそのひとつだ。レストランを格付けするミシュランの調査員に憧れ、見事にその職を射止める。 調…

重田澄男『資本主義を見つけたのは誰か』

不破哲三は「資本主義」という言葉は「マルクスが命名」したとくり返し書いている。*1 その際不破は『資本論』冒頭の「資本主義的生産様式が支配している…」という和訳を一つの根拠にあげている。 しかし、マルクスが生前の自身の公刊物の中で「資本主義」Ka…