マンガ

ぽんとごたんだ『桐谷さん ちょっそれ食うんすか!? 』3巻

まだ年賀状をやめていないのだが、おそらく受け取る方はすでに「年賀状仕舞い」をしているだろう人が多く、こちらが出した後に、ポツンと返ってくることがある。そういう場合、今年出した年賀状への“反応”などが書いてあって、それはそれで楽しみではある(…

たらちねジョン『海が走るエンドロール』4

村上春樹『女のいない男たち』も結局メモをアップしただけになったんだけど、マンガの感想も何かまとまらない。まとまらないうちに、熱量が下がっていって、アップする機会を失ってしまう。そういうのってもったいないと思う。 断片でもいいから上げておこう…

『マンガでやさしくわかるアサーション』(『違国日記』10にも触れて)

ある市議の応援演説をした公民館で、帰り際に貸出図書をパラパラと眺めていた。その時に見つけた本である。読みふけってしまった。 面白そうだったので借りたかったのだが、その公民館に来られるのがいつになるかわからず、購入した次第。 マンガでやさしく…

映画・マンガ「かがみの孤城」

映画「かがみの孤城」を観て、そのあとに同名マンガを読む。原作小説はまだ読んでいない。(以下、ちょいネタバレあります) かがみの孤城 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL) 作者:辻村深月,武富智 集英社 Amazon マンガでは、集まった7人の事情、初めは…

 『このマンガがすごい! 2023』で回答しました

『このマンガがすごい! 2023』(宝島社)で今年も「総勢45名 各界のマンガ好きが選ぶ このマンガがすごい! オンナ編」に回答させていただきました。 このマンガがすごい! 2023 宝島社 Amazon 去年はぼくが選んだ5作品は1つとして20位にランクインしませ…

エーリッヒ・フロム『愛するということ』

リモート読書会でエーリッヒ・フロム『愛するということ』を読む。 愛するということ 作者:エーリッヒ・フロム 紀伊國屋書店 Amazon 知らない人は、さてこれは一体どういう本なのだ、と思うかもしれない。 何を求める人が読む本で、それは端的にどういう内容…

『ブルーピリオド』に影響されて個展を観にいって「すずめの戸締まり」も観る

知り合いに、絵の個展に誘われた。 本当にその日は用事があったので行けなかったが、後日一人で見にいった。 個展なぞというものに行ったことはない。だから通常では「行きません」と言うか、いろいろ口実をつけて行かないはずのものである。 なぜ行ったのか…

『現代思想』2022年12月号に寄稿しました

『現代思想』2022年12月号の「特集=就職氷河期世代/ロスジェネの現在」で「変容期の新たな生き方を模索しようとした実験性――『ロスジェネ』マンガのスケッチ」を寄稿しました。 www.seidosha.co.jp 現代思想 2022年12月号 特集=就職氷河期世代/ロスジェ…

山口つばさ『ブルーピリオド』13

いやあ、どうなっちゃうんだろうねと思いながら読み始めた13巻だった。 ブルーピリオド(13) (アフタヌーンコミックス) 作者:山口つばさ 講談社 Amazon そんでフジキリオにアジられて、まんまと買っちゃっただろ、『美術の物語』…。9350円もしたわ。 美術…

アキヤマヒデキ『ボクらはみんな生きてゆく!』4。

川でウナギをとる話が興味深かった。 ウナギは絶滅危惧種ではないのか、という問題があるが、その問題はちょっとおいておく。ぼくが興味を持ったのは、筆者(アキヤマヒデキ)の知識と実践力についてなのだ。 『ボクらはみんな生きてゆく!』は都会から田舎…

水谷緑『私だけ年を取っているみたいだ。』

サブタイトルにあるように「ヤングケアラーの再生日記」である。 私だけ年を取っているみたいだ。 ヤングケアラーの再生日記 (文春e-book) 作者:水谷 緑 文藝春秋 Amazon ヤングケアラーをご存じない人はもう少ないとは思うが一応定義しておけば、 介護や病…

松田舞『ひかるイン・ザ・ライト!』4

『ひかるイン・ザ・ライト!』が終わってしまった! なんということだろう。 いやー、すばらしいマンガだった。手放しで絶賛したい。 ひかるイン・ザ・ライト! : 4 (アクションコミックス) 作者:松田舞 双葉社 Amazon マンガとして何が素晴らしかったのか…

岡田索雲『ようきなやつら』

短編集である。 ようきなやつら (webアクションコミックス) 作者:岡田索雲 双葉社 Amazon この中の『追燈』は、関東大震災における朝鮮人虐殺を描いた短編だ。 「あとがき」で岡田自身が 関東大震災の発生から今年で99年になりますが、その際、起きた朝鮮人…

松田舞『ひかるイン・ザ・ライト!』3

中学生がオーディションを受けアイドルをめざす物語、松田舞『ひかるイン・ザ・ライト!』は、ぼくの最近のお気に入りである。 なんども見返す。 それは好きなコマが多いからである。 主人公と同じ地元で年上の友人であり、かつアイドル経験者でもある西川蘭…

いしいひさいち『ROCA』

ネットで話題になっている、いしいひさいち『ROCA 吉川ロカ ストーリーライブ』を読む。朝日新聞を購読していたときにごく一部を読んだ記憶がある。 高校生だった吉川ロカがポルトガルの国民歌謡「ファド」の歌い手として、世界に発見されていくまでを、いし…

『マルクス「資本論」に脱成長のヒントを学ぶ』

最近でた『資本論』入門書シリーズの2つ目。 斎藤幸平+NHK「100分de名著」制作班監修『マンガでわかる! 100分de名著 マルクス「資本論」に脱成長のヒントを学ぶ』(宝島社)である。 マンガは前山三都里。「編集協力」は山神次郎、「取材・文」は乙野隆彦…

的場昭弘監修『マンガでわかる資本論』

ある出版社の出している『資本論』を手に入れようと大手書店の経済書のコーナーに立ち入ったら、しばらく見ないうちにずいぶんいろんな『資本論』入門書が出ているじゃないか…!? というわけでその中から3冊ほど感想を書いてみたい。 最初は的場昭弘監修『マ…

性風俗事業者への給付金についての共産党の態度から考える

コロナ禍での持続化給付金などの対象から性風俗事業者を排除したのは、憲法違反だとして、デリヘルの事業者(会社)が国などに支払いを求めた裁判の件。東京地裁は合憲判決を出した。 www.tokyo-np.co.jp 訴状・書面、そして判決文は、以下にある。 \東京地…

川崎昌平『売れないマンガ家の貧しくない生活』、木村イマ『シュガーレス・シュガー』1

ネットで川崎昌平『売れないマンガ家の貧しくない生活』を読んでいるつれあいは、マンガ家の妻の視点でマンガ家自身がマンガ家のことを描くというこの作品の奇妙さを口にしていた。 売れないマンガ家の貧しくない生活 (コミックエッセイ) 作者:川崎 昌平 KAD…

山口つばさ『ブルーピリオド』12

左翼運動、というか理想を掲げる社会運動にハマる理由の一つは、「たまり場」じゃないか、と1980年代に青春を過ごしたオールド左翼のぼくとしては力説したいところである(以下、年寄りの昔話っぽくなるのだが、そこはご勘弁願いたい)。 大学のサークルボッ…

民主青年新聞で「水木しげる生誕100周年」特集でコメントしました

5月16日付の民主青年新聞で「水木しげる生誕100周年」特集があり水木しげるのマンガについてコメントしています。 水木の3冊のマンガもお勧めしました。 リアルということについて 当の水木自身は、「戦争コミック」と対比して「戦争想像コミック」というも…

坂月さかな『星旅少年』1

星から星を調査目的で旅をする(星旅人〔ほしたびびと〕の)主人公(?)の物語である。 星旅少年1 作者:坂月さかな パイ インターナショナル Amazon 主人公はPGT(プラネタリウム・ゴースト・トラベル)という旅行会社の社員で、同社の文化保存局の一員だ。…

磯谷友紀『ながたんと青と』

最近よく読むマンガは、磯谷友紀『ながたんと青と いちかの料理帖』であろうか。 ながたんと青と-いちかの料理帖-(1) (Kissコミックス) 作者:磯谷友紀 講談社 Amazon 戦争から6年たった、日本の「独立」のころの京都の老舗料亭の話……と書くだけで…

志村貴子『おとなになっても』6巻、西村賢太『小銭をかぞえる』ほか

もうこの文章を書いたのも10年近く前か、と思いながら読み返す。 kamiyakenkyujo.hatenablog.com そこで「疎外」について書いている。 自分が書いたもの・描いたものが、自分から離れ、自分に対してよそよそしくなり、やがて自分に対立するようになる。 『ど…

森鷗外『山椒大夫・高瀬舟』、関川夏央・谷口ジロー『秋の舞姫』

森鷗外は高校の教科書にあった『舞姫』のイメージが強かった。 ゆえにぼくの中では森鷗外といえば「留学先で懇ろになった女性を捨てたひどい男」みたいな雑なイメージしかなかった。 ところが、今回リモート読書会で森鴎外を扱うことになって新潮文庫の短編…

新人研修を司会して思い出す『BLUE GIANT』

ずいぶん前に、ある紙媒体から依頼されたエッセイのうち、ボツにしたものを、最近の体験も交えて手を入れなおした。それをアップしてみる。 --------------- 選挙に出るという稀有な体験をした際の話である。 人前で演説をする。ぼくのファンがいるときは、…

「マンガ論争 24」で対談&木戸衛一「ドイツ総選挙をどう見るか」

「マンガ論争 24」で荻野幸太郎さんと対談した。 manronweb.com 左翼が表現の自由と表現規制についてどうしているのか、どうすべきなのかがテーマだったが、もっと言えば、表現の自由の問題と、ジェンダー平等の課題をどう両立させるのか、という問題だと感…

『このマンガがすごい! 2022』で回答&『明日、私は誰かのカノジョ』

『このマンガがすごい! 2022』(宝島社)で今年も「総勢43名 各界のマンガ好きが選ぶ このマンガがすごい! オンナ編」に回答させていただいた。 このマンガがすごい! 2022 このマンガがすごい! 宝島社 Amazon 今回はぼくが選んだものは1つも20位に入らな…

ワタナベ・コウ『漫画 伊藤千代子の青春』

戦前の官憲による弾圧で命を落とした共産党の若い活動家たちのことを知ったのは、1990年ごろだったと思う。その一人に伊藤千代子がいた。あの当時、伊藤千代子について書いた「赤旗」の記事やら簡単な伝記的紹介を読んだと思ったのだが、ほとんど忘れていた…

共産党はマンガ・アニメの規制にカジを切ったのか

日本共産党がアニメやマンガの表現規制に「方向転換」したのではないかと、ネットの一部で話題になっている。 togetter.com 共産党は今回の総選挙政策で 「児童ポルノ規制」を名目にしたマンガ・アニメなどへの法的規制の動きに反対します。 と明確に言って…