2010-01-01から1年間の記事一覧

立ち読みはやっぱりいいんじゃないか

本屋で立ち読みしていいでしょ、というか、俺は本なんか買わない、どうしても読みたい本は時間かけて立ち読みしちゃう、という人(J_ogawa)のことが話題になっている。Togetter - 立ち読みって何が悪いの? http://togetter.com/li/46420 始まりから13:06あ…

ささやななえ・椎名篤子『凍りついた瞳』

ここに移転する前のぼくのサイトの、わりと初めの方に本書の名前が出てくる。このマンガを最初に読んだのは今から15年も前のことだ。児童虐待の統計は1990年前後からようやく始まったことからもわかるように、15年前といえば、ようやく児童虐待というものが…

川崎二三彦『児童虐待―現場からの提言』

児童虐待の問題を調べていくと、児童相談所の役割や権限についてわかりやすい解説がないことに気づく。児童相談所というのは児童虐待だけを扱っているのか? そもそも国の機関なの? 市町村の機関なの? などという初歩的な質問に始まり、新聞などでよく見る…

児童虐待問題でのネット上の論争を読んで

3歳の娘がいる身にとって、児童虐待事件の報道はただちにそれを自分の娘に起きたこととして置き換えさせてしまうものである。つれあいはどれもつらくて読めないようで、記事について話題にしているだけで本当に涙ぐんでいる。 大阪の2児餓死事件は、一人が…

子供を叱る若い母親に「お母さん、それは無理です」と言いたいお父さんに言いたい、「無理じゃないです」

この記事を読んで。子供を叱る若い母親に言いたい、「お母さん、それは無理です」 JBpress(日本ビジネスプレス) http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/4149 お盆前に反論記事を書きかけたのだが、間に合わずに帰省してしまった。ゆえにすっかり気の抜けた記…

ヤマシタトモコ『HER』

20代後半から30前後くらいの独身男性の悩みや喜びといったものを描いたマンガにはそろそろ共感を示せなくなってきたかもしれない。しかし、女性のそれは相変わらず楽しく読める。「そりゃあ、お前がそういうオンナとヤリたいからじぇねーの」という失礼にも…

『難解な本を読む技術』

挫折したあの本も、この本も、きっとこれを読めば秘伝的な技術が会得できるにちがないない! と思わしめるタイトルだ。何しろ『難解な本を読む技術』というのであるから。 しかし、そのような秘伝的テクニックが本書を読んでも得られるわけではない。 本書で…

柳原望『高杉さん家のおべんとう』

ぼくはいま3歳の娘の保護者である。 つい先日まで娘は0歳の「赤ちゃん」であったのだが、今ではすっかり「子ども」だ。やがて「少女」という段階に発展していくはず(次にいきなり「少年」とか「老人」とかになったらびっくりである)。 まあ、自分の娘に…

ドラえもんの革命、マルクスの革命

以前、ソフトバンククリエイティブのメールマガジン「ビジネススタンダードニュース」(ビジスタニュース)に書いた「ドラえもんの革命、マルクスの革命」が同編集部のアーカイブ用ブログにアップされました。 http://bisista.blogto.jp/archives/1329252.ht…

一番好きなマンガは?

「一番好きなマンガは何ですか」という問いに答えるのは至難である。 それは「私におすすめのマンガはありませんか」という質問だからだと読み替えていたせいだ。前にも書いたことがあるけど、聞いた相手の都合や趣味を慮ると「あなたがどんな趣味趣向をお持…

石川雅之『もやしもん』9巻 浅川芳裕『日本は世界5位の農業大国』

主人公は菌が見える! 農大マンガ『もやしもん』が字だらけ、解説づくめであることについては、いずれ論じるかもしれないが、今日は9巻で書かれている食料自給率論争について。 常識を覆す爽快感としての自給率政策批判 食料自給率は低い、これを向上させね…

結局大企業の税負担は重いのか軽いのか

城繁幸が共産党にかみついている。共産党という名の貧困ビジネス - Joe's Labohttp://blog.goo.ne.jp/jyoshige/e/141640c37beb7daf90fab2f6f00329c7 もともと共産党がソニーとか住友化学といった大企業の実際の法人税負担を問題にしたのは、消費税論議があっ…

松田道雄『育児の百科』(下)

『ONE PIECE』については、コメント、SBMのコメント、ツイッター、トラックバックでの意見はだいたい目を通したけど、すでに書いた2つのエントリで基本は言い尽くしているので補足はしない。 『ONE PIECE』への批判は批判なんだけど、自分の感性が動かされ…

再び、尾田栄一郎『ONE PIECE』

『ONE PIECE』について書いたらSBMやコメントがどっときた。こ、これが炎上というやつですか。お前ら、ホント『ONE PIECE』好きなのなw このブログのコメントもSBMのコメントも、あとツイッターでのコメントもいろいろ見させてもらった。まあ、もうあんまし…

「週刊アスキー」と「ザ・スニーカー」にマンガ評を書きました

「週刊アスキー」の2010年7月6日号でマンガ評を書きました。「私のハマった3冊」のコーナーで、不倫マンガ3点を紹介しました。そこにも書いたんですが、一夫一婦制家族のもとで、夫婦にだけセックスが許され、そこに性的感情を維持し続ける、というモラ…

尾田栄一郎『ONE PIECE』

『ONE PIECE』は言うまでもなく最も売れているマンガである。まわりに「何のマンガが好き?」と聞いてもたいていのやつは『ONE PIECE』と答える。 そもそもぼくは『ONE PIECE』と相性がよくない。人気マンガというので数年前に読み始めたのだが、途中で挫折…

消費税の逆進性と所得課税の非累進性

消費税の逆進性 消費税は逆進的ではない - 池田信夫 : アゴラ http://agora-web.jp/archives/1035708.html 中身はそう長いものではないので、リンク先をみてほしいのですが、タイトルがすべてを物語っています。なぜか。その根拠は、池田センセイが書いてお…

「ちいさいなかま」

ぼくは、保育園で「ちいさいなかま」という雑誌をとっている。全国保育団体連絡会(全保連)が編集している雑誌で、保育士と父母にむけて月刊で出されている。 http://www.hoiku-zenhoren.org/ この雑誌がいい。 ぼくがこの雑誌の一番気に入っているところは…

「ママ友」義務臭の正体

ママ友をつくるのが苦手な人よ、お前もか - kobeniの日記 http://d.hatena.ne.jp/kobeni_08/20100608/1276004566 子育てという共通項だけでは簡単に「友だち」になれないし、保育園などでは親しくなる時間が少ないから難しいよ、だからコミュニケーションが…

ブルボン小林『マンガホニャララ』

本屋で偶然手にとったのだが、最後まであっという間に読んでしまった。 関係ないけど、ジュンク堂福岡店は、こういう本までシュリンクするなよ。マンガじゃねーじゃん。しかも、中を確認したいので指を入れて見ようとしたら「本が傷みます!」と激怒された。…

藤原カムイ『ROOTS』

藤原カムイという作家にはずいぶん早くから出会ったのだが、一度も好きになれないで来た。お前になんか好きになってもらわなくて結構、という藤原の声が聞こえてきそうだが。出会った当時としては、絵柄がスタイリッシュだったので目を見張ったものだったが…

「けいおん!」と少年・少女マンガの情報量・テンポ

ちなみに、ぼくの前にアップされていたのは円堂都司昭「『けいおん!』に勝てない日本のロック」でした。 http://bisista.blogto.jp/archives/1299201.htmlまったく偶然なんですが、ここ数日、「けいおん!」の1期目をずっと視ていました。 円堂は、 90年代…

「ビジスタニュース」のブログに前に書いた「マンガから聞こえるナショナリズム」がアップされました

こちらです。『ぼくらの』を通じてナショナリズムを考えるという作業をやっています。『ぼくらの』は大変嫌いなマンガだったのですが(「嫌い」なだけで「ダメ」なマンガとは言ってません)、なぜ嫌いなのかをあれこれ考えてみて、書いたものです。

「オルタ」10年3-4月号に書きました

大企業の内部留保を活用する問題について、「オルタ」誌2010年3-4月号に書きました。共産党の志位和夫の申し入れに対して、鳩山首相が「内部留保への課税も検討したい」と応じたことについて書いています。内部留保を活用する方法についてあれこれ書いている…

清水真木『これが「教養」だ』

「社会」と「私」の分裂 「社会問題」とよばれるものが、自分とは関係のない、縁遠いものとして受け取られ、「家庭」や「仕事」といった自分の生活にかかわるところだけにしかリアルさ、というか瑣末な生活実感しか感じられない、という分裂がある。それどこ…

本棚整理はつらいよ

本棚の整理をすすめている。 前のエントリを書いたのであるが、本の整理をすすめるうちに、さらに新たに湧いてきた雑感をいくつか。 その本を持っていた時間が長ければ長いほど、妙な愛着がわいてしまい、あまり価値のなさそうな本であっても放出しがたくな…

石黒正数『響子と父さん』

親のアホさが目につく20代前半まで ぼくの場合、反抗期めいたものは高校時代になってやってきた。ずいぶん遅いと思われるかもしれない。 左翼活動を始めたので真っ向から父親や祖父などと衝突するようになったからである。 家に置いといた反核運動の署名用紙…

ウィリアム・ビー作 たなかなおと訳 『だから?』

親がアウトドア派ではないせいか、娘にもそれが伝染しつつあるようで、公園ではあまり長い時間集中して遊ぶような気配はない。まあ動物じゃないんだから、魚を水に放したらすいすいと自由に泳ぐ、という具合に、公園に放したらキャッキャッと遊ぶというもの…

ひぐちアサ『おおきく振りかぶって』vol.14

※以下のエントリにはネタバレがあります 野球、ではなく、野球マンガにとって「点差」は自然な差ではない。当たり前だが。それはドラマツルギーに徹底的に奉仕するもので、たとえばギリギリの点差を使ってデッドヒートを演じさせようとしたり、圧倒的な点差…

メーデーで思ったこと

政治風刺の出し物をした団体がいくつかあったのですが、オバマの評価が「日本に米軍基地を押しつけ続け、核廃絶の欺瞞を口にする反動政治家」みたいな評価と、「核廃絶を打ち出したリスペクトすべき政治家」という両極にブレていて面白かった。 政治風刺劇が…