本棚整理はつらいよ

 本棚の整理をすすめている。

 前のエントリを書いたのであるが、本の整理をすすめるうちに、さらに新たに湧いてきた雑感をいくつか。

  • その本を持っていた時間が長ければ長いほど、妙な愛着がわいてしまい、あまり価値のなさそうな本であっても放出しがたくなる。とりわけ長年持ってきた岩波文庫などはそれを手放すことに強烈な罪悪感をおぼえてしまう。
  • 再読しそうだ、というのは残すさいの重要基準。ウンチク系、ネームがやたら長いもの、ストーリーの起伏が命のような作品、展開が遅いものなどは再読しないことが多い。いくら「名作」の誉れが高くても、再読しないものは捨てるべし。
  • 人が家を訪ねてきたとき、書棚を見ることをつい想定してしまう。「おっ、この作品をそろえているとは、通だね」とかいう評価を期待。しかし現実は家に他人が来ることなど稀だし、来てもそんなことは九分九厘思わない。そんな基準で本を残しているのは完全にアホである。メジャーすぎる作品とかを本棚に並べるのを排除しちゃったりとか、逆に『夏蟲』とか『少女マテリアル』を隠したりとかw 他人が見ることを想定するな! 自分の欲望にだけ忠実に並べろ!
  • 「漫画喫茶などで手に入りやすい物は捨てる」という方針を立てたが、修正することにした。手に入りやすかろうがにくかろうが、再読する機会が高いものは、手元におくことにした。
  • 書評などで高い評価で紹介したものは捨てがたい。言論責任のようなものを感じてしまうから。しかし、その後の展開でつまらなくなっていくものはあるのだ。そういうものは思い切って捨てねばらない。
  • 「このシリーズは買い続けてきたから」も曲者である。引き返せなくなった公共事業の気持ちを今味わっている。思い切って中止を。

おいピータン!!(12) (ワイドKC キス)

  • 『おいピータン!!』とか『団地ともお』は名作だし読み返す機会が多いのだが、こうした1エピソードが独立しているものは、全巻そろえておく必要があるのかは疑問。
  • 長い巻数のマンガで、全体にはもはや再読するほどの興味は失ったが、一つの巻の、あるエピソードだけはあまりにエロいので、くり返し読んでしまうという作品がある。それはその巻だけ残し、あとは手放すことにした。
  • 「残すもの」「暫定的に残すもの(押し入れに入れるもの)」「捨てるもの」という3つのカテゴリーに分けて始めたものの、「残すもの」を入れる本棚、「暫定的に残すもの」をいれる押し入れがあまりに狭いキャパシティーであることに気づいた。「残すもの」「暫定的に残すもの」がどうしても膨大になるのである。そこでいったんその3分類をしたあとで、「残すもの」でまず本棚を埋めていくと、「残すもの」から本当に残すものはごくわずかになる。大半は本棚には残れない、という覚悟を決めないといけないことが初めてそこでわかる。結局「残すもの」で本棚に入れなかった分が「暫定的に残すもの」へと転落し、「暫定的に残すもの」に初めから分けられていた本は大半が「捨てるもの」へと転落した。
  • マンガ本のなかで自分が気に入っているものが、A5判のものであることが多く、本棚でなかなかスペースがとれないことに気づいた。
  • 家全体は次のように分けた。
    • A「新刊暫定棚」
    • B「殿堂入り」
    • C「保留箱」
    • D「押し入れ暫定」
  • まず買ってきたものはAに入れる。わりと短期間にいっぱいになる。いっぱいになった時点で仕分けをおこない、基本は捨てるのである。
  • 問題は、あまりにもいい本だ、というふうになった場合であるが、そのときは、Bの「殿堂入り」を果たすのである。しかし、Bの「殿堂入り」の棚は満杯である。どうするか? 基本は新入りの殿堂入り組の作品よりも価値の低い作品をBから追放せざるをえない。捨てるのである。
  • しかし、どのBの作品も捨てるにはどうしても忍びない、というようなことが起こりうる。そのためには、「保留箱」にいれて一定期間気持ちを静める。それでしばらくして捨てる決心がついたら捨てるのである。
  • しかしなおも捨てる決意がつかないときがある。そのようなときは、Dの「押し入れ暫定」へ移し、1年間くらいして捨てることにする。「1年見なかったではないか」と自分に言い聞かせるのである。
  • このシステムは、「捨てきれない」という気持ちにいくつかのバッファーを設けて、留保させるしくみを多段階つくっていることである。
  • 心配なのは、過去に「生活の雑貨」でこうしたシステムをつくって失敗していることである。説明しがたいのだが、たとえば小さな手鏡とか、クシとか、友人からもらった置物のみやげとか、うちわとか、当面使わない新品の財布とかいうようなものだ。これを暫定的に放り込む箱をつくったのだが、その箱自体が捨てられなくなってしまったのである。敗因は、分類して本格的に収納するスペースをつくらなかったし、つくれなかったことである。分類自体も時間がかかるので面倒くさくなったのである。そうなると行き場がなくなる。結論としてはそれは思い切って捨てるか、面倒でも細かく分類して本格的に収納するスペースを設けねばならなかったのであろう。したがって「思い切って捨てる」という覚悟と、「本格的収納スペース」を設けること、「分類に時間をかけない」という3点をクリアすれば、本については同じ過ちは起さないはずだと思うのだが。
  • 上記のA〜Dのうち、Dの押し入れは実に使いづらい。段ボールに入れて奥底に収納するので、そんなものをいちいち開封したり引き出したりするのは相当な決意がいる。だから、これを利用することは日常的には「ない」と考えた方がよさそうである。A・B・Cのスペースの間を日常的には使うように考えた方がいいだろう。

 ホコリがたくさん出ているせいであろう。変な咳が出るようになってしまった。娘にも悪影響がでるかもしれないので早く片づけろとつれあいがうるさい。今後はマスクをしながらすすめるしかない。