山崎聡一郎『こども六法』を娘と読んでいる。 夕食が終わり、こたつでぼくがゆったりとしていると、保育園のころに「絵本を読んでほしい」と言ってきたときのようなのと同じニュアンスで、高1の娘が本を持ってやってくるのだ。 別に「勉強しよう!」とかそ…
奥付には「2024年2月24日」発行とある。 ねじ式 紅い花 漫画アクション版 つげ義春カラー作品集 作者:つげ 義春 双葉社 Amazon 本書は、1969年に刊行された「漫画アクション」誌に加え、「ゲンセンカン主人」(アクションコミックス)「ガロ増刊号・つげ義春…
リモート読書会で読んだ。 食の実験場アメリカ-ファーストフード帝国のゆくえ (中公新書 2540) 作者:鈴木 透 中央公論新社 Amazon サブタイトルが「ファーストフード帝国のゆくえ」なので、ははあ、アメリカ=ファストフード帝国批判なんだろうなと思って読…
スターリンの娘、スヴェトラーナ・スターリナあるいはスヴェトラーナ・アリルーエワの生涯を知ったとき、その激しさと寂しさに、複雑な思いがこみ上げてくる。 スターリンの娘(上):「クレムリンの皇女」スヴェトラーナの生涯 作者:ローズマリー・サリヴァン …
共産党を「相談相手」にしている民青(日本民主青年同盟)が出している新聞(機関紙)に「民青新聞」がある。その2024年2月12日号を興味深く読んだ。 というのは、「ASEAN(東南アジア諸国連合)は『反共の砦』として出発したのではなかった」という歴史観が…
政治家や役人が使う言葉の異常さ・奇妙さは、日々SNSで指摘され、ネタにされている。中には「ご飯論法」のように、公式の答弁としての基礎を破壊してしまうような重大性を抱えている言葉の使い方さえある。 本書はイアン・アーシーという、一見すると「ずい…
40代女性のコミックエッセイである。表題の通りだ。 本作では、京阪神の各所に出かけて食べ歩きをしている。 ゆるり より道ひとり旅 (文春e-book) 作者:おづまりこ 文藝春秋 Amazon この作者については、つれあいの方がよく知っていた。彼女がネットでよく見…
東南アジア関連の本を読んでいて、“インドネシアは一番民主的な国”という評価をみた。 ぼくの記憶の中に「インドネシアでは共産党員が200万人くらい虐殺されていたと思うけど…」という断片が浮かび上がる。 むろん、それは「昔」の話のはずだから、そのまま…
元旦の「しんぶん赤旗」を読んでいたら、志位和夫の東南アジア訪問についてのインタビューが載っていた。 www.jcp.or.jp 日本共産党は安全保障の枠組みとして、「地域協力」を押し出している。同党の綱領では、なかでも東南アジア諸国連合(ASEAN)を「とく…
昨日の記事を書いた後、粋なホテル・宿じゃなくて、ビジホに泊まるようなマンガはないだろうかと思って探したら、ちゃんとある。 独身アラサーOLあやかのぼっち宿泊記 (コミックエッセイ) 作者:水島 みき KADOKAWA Amazon ただしビジホといっても、本当に超…
ホテルに泊まるのは好きだ。 別に旅先でなくてもいい。 家から近くにあるホテル(・旅館)であっても泊まりたい。まだそういうことをやったことはないけど。 我が家(マンション)の中に、快適に寝そべって、しかも独りで静かに(静謐に)いられる空間が、微…
今年は人生で最悪の年だった。仕事でも家庭でも。 もちろん、来年はそんなことがないようにしたいのだが、「『最悪だった』なんてのんきにブログに書けていた頃はよかったな〜」などという具合に「最悪」を更新することもないわけじゃない。 何をしていても…
『このマンガがすごい! 2024』の「オンナ編」選者としてアンケートで回答しました。 このマンガがすごい! 2024 宝島社 Amazon ぼくが選ぼうかどうか迷って結局選ばなかった作品の一つを挙げておくと『いつか死ぬなら絵を売ってから』。 これがオンナ編18位…
佐原実波『ガクサン』で予備校講師参考書の面白さが主人公の一人から語られる。 そこで世界史で「ざっくり歴史を要約してくれる」ような面白い講義があるのではないかと本屋でいろいろ立ち読みしてみると、『青木裕司 世界史B講義の実況中継3』が実にぼくの…
リモート読書会で更科功『若い読者に贈る美しい生物学講義』を読む。 若い読者に贈る美しい生物学講義――感動する生命のはなし 作者:更科 功 ダイヤモンド社 Amazon この本は、生物学に興味を持ってもらいたくて書いた本である。タイトルには「若い読者に」と…
高校生のわが子は、もうすぐ期末試験である。 1学期はちょっとがんばっていたが、2学期の中間は全然勉強せず、テストの結果も順位も落ちていた。物理学(「物理基礎」)の出来が悪かった。 「俺の高校時代とおんなじだなあ」と思った。 もうね。斜面に止ま…
日本共産党の理論誌「前衛」の2023年6月号、7月号、8月号で上中下にわたる大型論文が載った。 滋賀大学名誉教授である大和田敢太の「ハラスメント根絶のために——実効力ある包括的なハラスメント規制の原点」という論文である。 ぼくはハラスメントに苦しみ、…
米田優峻 『高校数学の基礎が150分でわかる本』を読む。 【フルカラー図解】 高校数学の基礎が150分でわかる本 作者:米田 優峻 ダイヤモンド社 Amazon 表題通りか、ストップウォッチで計って読んでみたよ! その結果どうだったか? まあ、あわてるな。 まず…
世界史を学んだのは高校のとき。 それ以来、本を読んでつまみ食いのようにして学んできた。 たとえばポール・ケネディ『大国の興亡』、ユヴァル・ノア・ハラリ『サピエンス全史』、『マクニール世界史講義』、グレゴリー・クラーク『10万年の世界経済史』の…
以前、全日本民主医療機関連合会(民医連)にかかわるところで、職員の方にお話をさせてもらったことがある。 そのときに、自分の講演をする前に、職員のみなさんのがグループごとに分かれて、いわゆる困難事例についてディスカッションをしているのを聞かせ…
日本の農業をどうしたらいいんだろうか。 福岡市でもちょうど高齢化した農家が世代交代の時期となり、田んぼがどんどん消えて宅地に変わっていっている。自分の近く、目の前でそうした現実を見せつけられる。素朴な素人感覚で申し訳ないが、そういう事態が進…
「長い休み」はまだ終わらない。いつ終わるともしれない。なんの見通しもなく、いつ終わるのか聞いてもその返事さえない。 kamiyakenkyujo.hatenablog.com なんのための時間なのかさえ、具体的に示されない。 治療と投薬へ追い込まれ、ぼくの精神が蝕まれて…
瀧波ユカリ『わたしたちは無痛恋愛がしたい』はサブタイトルが「鍵垢女子と星屑男子とフェミおじさん」であるように、鍵垢で自分のホンネをつぶやく女性の主人公(鍵垢女子)、その主人公を都合のいいときにヤレる相手としてのみ見て、見栄えや体裁だけを気…
石母田正を知らない人のために、言っておけば、有名なマルクス主義歴史学者である。 石母田正:暗黒のなかで眼をみひらき (ミネルヴァ日本評伝選) 作者:磯前順一 ミネルヴァ書房 Amazon 以前に小熊英二の本の感想の中で彼について触れたことがある。 kamiyak…
首都圏青年ユニオンのニュースレター2023年9月号の(vol.271)の感想です。 いつも面白く読んでいることは、このブログでもたびたび書いてきましたが、 皆さんのニュースレターへの感想やご意見をお待ちしています と終わりのページに書いてあったのに気づき…
社会主義は遠い将来の話なのか 左翼の集まりで社会主義や共産主義の話をすると「自分たちが死んだ後の遠い将来のこと」という目をされる。 日本共産党は最近の綱領改定で、高度な生産力、経済の社会的規制・管理のしくみ、国民の生活と権利を守るルールなど…
前から小さく気になっていたことであるが、例えば「樋井川」という河川を英語で表現するさいには「Hii-River」なのか「Hiigawa-River」なのか。 当然「Hii-River」だろうと思っていたが、標示板を見るとそうでもない。 ぼくが日常的に見て気になっていたのは…
タイトルに惹かれて手にしたのが本書である。原題は「LESS IS MORE(少ない方が豊か)」だから粋だとは思うけど、それではぼくのようなコミュニストは手に取らなかっただろうな。 資本主義の次に来る世界 作者:ジェイソン・ヒッケル 東洋経済新報社 Amazon …
『夫ブハーリンの想い出』のブログ記事のところで述べたことを、もう少し詳しく書いておきたい。 無実の罪によって銃殺されるブハーリンは、さぞや自分の裁判で、自分は冤罪であることを力説しているであろう、と思って、その裁判記録である『ブハーリン裁判…
リモート読書会で花輪和一『刑務所の中』を読む。 刑務所の中 作者:花輪和一 講談社 Amazon ぼくがファシリテーターを務めたので、最初に報告した一文を紹介しておく。 なお、ぼくは花輪についてほとんど詳しくはない。なので、最初は、花輪について書かれた…