三島由紀夫『金閣寺』

リモート読書会で三島由紀夫『金閣寺』を読んだ。 ストーリーは有名だが一応言っておくと、国宝だった金閣を青年僧が放火した実話にもとづく物語であるが、主人公をはじめ登場人物の名前は変えられ、三島が自身の作品世界を構築するために再構成したフィクシ…

ワタナベ・コウ『漫画 伊藤千代子の青春』

戦前、官憲による弾圧で命を落とした共産党の若い活動家たちのことを知ったのは、1990年ごろだったと思う。その一人に伊藤千代子がいた。あの当時、伊藤千代子について書いた「赤旗」の記事やら簡単な伝記的紹介を読んだと思ったのだが、ほとんど忘れていた…

酒井邦秀監修・佐藤まりあ著『大人のための英語多読入門』

英語を勉強していると書いたためであろうか、人から英語の勉強法を勧められることもある。ある人から勧められた勉強法もあるのだが、まだ読み終えていない。なので、ここでは引き続き「自己流」のものを書いていく。 英文の記事を読んでわからない単語を単語…

何か書かないと人生が変わらない

「はてなブログ10周年特設サイト」で、なんと自分のブログが取り上げられておりました。 hatenablog.com ありがとうございます。 2箇所で取り上げられました。 一つは、「II 10年間で話題になった記事」のところで。 ぼくが書いたこの記事ですね。 kamiyake…

「日本とコリア」(2021年11月1日号)にインタビューが載りました

日本コリア協会・福岡が発行している「日本とコリア」2021年11月1日(253)号の巻頭で「この人に聞く」というインタビューを載せていただきました。 ぼくは同誌で時々コラムを書かせてもらっているのですが、同誌の編集をされている方が、ぼくが上西充子教授…

寺澤芳雄編著『名句で読む英語聖書 聖書と英語文化』

『名句で読む英語聖書』を読んでいるとき、 Yea, though I walk through the valley of the shadow of death, Iwill fear no evil. たといわれ死の蔭の谷を歩むとも禍害(わざわい)をおそれじ (旧約聖書「詩篇」) という有名な句が出てきた。 古い英語Yea…

野党共闘は「見直す」べきだ(4年ぶり2回目)

夏に都議選を手伝った。そのとき立憲民主党は議席を伸ばして8→15、共産党は野党第二党という高い水準ではあったがほぼ議席を維持した(18→19)。 しかし、その一方で都民ファーストが立憲民主党の倍の議席を残した(45→31)。 けっこう取ったなあ、と思った…

共産党はマンガ・アニメの規制にカジを切ったのか

日本共産党がアニメやマンガの表現規制に「方向転換」したのではないかと、ネットの一部で話題になっている。 togetter.com 共産党は今回の総選挙政策で 「児童ポルノ規制」を名目にしたマンガ・アニメなどへの法的規制の動きに反対します。 と明確に言って…

マイケル・サンデル『実力も運のうち 能力主義は正義か?』

才能も努力もガチャだと思う 親ガチャが話題であるが、才能はガチャだと思う。 本人が努力して得たものもあるだろうけど、努力できるのも才能の一つだ。ロールズの次の意見は正しい。 努力しよう、やってみよう、そして通常の意味で称賛に値する存在になろう…

鈴木望『青に、ふれる。』4

鈴木望『青に、ふれる。』は顔に大きなアザがある女子生徒(高校生)・瑠璃子と、相貌失認という表情の識別や個人の識別に障害を抱える男性教師・神田とのラブストーリー…のようなそうでないような話である。 青に、ふれる。 : 1 (アクションコミックス) 作…

井上圭壯・藤原正範『日本社会福祉史』

「○○主義について話してほしい」という珍しい依頼を若い人たちから受けた。 資本主義とか社会主義とか科学的社会主義とか新自由主義とか、「主義」ばっかりいっぱい出てきてよくわからない、というわけである。 ただ、よく意図を聞いてみると、基本的には資…

「やってる」感だけの空手形

…っていうタイトルのエッセイを「日本とコリア」第252号(2021年10月1日号、日本コリア協会・福岡発行)に掲載していただきました(「これでいいのかニッポン!」というコーナーです)。 日本政府は2050年までに温室効果ガス排出実質ゼロを打ち出しています…

松田舞『ひかるイン・ザ・ライト!』1

「漫画アクション」で真っ先に読む作品の一つ。 ひかるイン・ザ・ライト! : 1 (アクションコミックス) 作者:松田舞 双葉社 Amazon 「歌がうまい」という中学3年生がアイドルをめざす話。 絵柄 この作品に惹きつけられた第一の理由は、やっぱり絵柄。シン…

消費税減税政権だ

これはすごい、と素直に思う。 歴史的な合意だ。 www.jiji.com 衆院選後に立民中心の政権が樹立された場合の共産との関わり方について、枝野氏は「消費税減税」や「安全保障法制の違憲部分の廃止」など、民間団体「市民連合」と合意した政策の実現に限定した…

英語の授業が変わった?

日経新聞2021年9月28日付の「受験考」の欄に「ついていけず悩む生徒」という題名で次のような記事があった。 中学の英語についていけなくなった中2のA子が塾で中1段階の文法の基礎から丁寧にやり直してどうにか持ち直してきた矢先、中3になって再び状況…

アーロン・バスターニ『ラグジュアリーコミュニズム』

ぼくらが将来について話をするとき(ぼくら自身の将来でなくても子どもや孫たちの将来について話をするときでもいい)、たいていは「暗い」未来予想図で話す。 あろうことか、革命(選挙による政権獲得)をめざしているぼくの周りの左翼でさえ、「はあ…20年…

『ペリリュー 楽園のゲルニカ』完結を受けて

戦争に参加した兵士を主人公にした物語がフィクションだというのはいくらでもあることだ。 にもかかわらず、『ペリリュー 楽園のゲルニカ』がフィクションだという前提には、やはり驚かされてしまう。 ペリリュー ─楽園のゲルニカ─ 1 (ヤングアニマルコミッ…

「暴力革命」宣伝のスジの悪さ

“日本共産党は現在も暴力革命を方針とする政党である”という宣伝は、現代では珍しいほどかけらも真実がない純然たるデマである。なんの根も葉もない。大昔は共産党はどうだったとか、何があったとか、そういうことを百歩譲って認めるとしても、今現在共産党…

加藤聖文「日本にとって満洲支配とは何だったのか」

「前衛」2021年10月号に載った加藤聖文へのインタビュー「日本にとって満洲*1支配とは何だったのか」が実に分かりやすかった。 前衛 2021年 10 月号 [雑誌] 日本共産党中央委員会 Amazon ぼくは、満洲に日本から次々移民が送り出されたことは知っていたが、…

かあいそうだたほれたってことよ

英語の勉強のつもりで読んでいた一文に I believe that if Japan indeed had a few more infections in April to May, we could have seen widespread deaths, akin to what happened to our European friends. というものがあった。 前後の文章でだいたい「…

藤のよう『せんせいのお人形』についての続き

昨日書いたことのうちの、二番目のこと。 kamiyakenkyujo.hatenablog.com 二つ目は、恋愛対象として。もっと言えば性的な対象として。 ぼくが昭明の視点でスミカを性的に見るという視点について書いたわけだけど、この作品の4巻には、スミカの先輩で「天羽…

藤のよう『せんせいのお人形』

この作品をどんな気持ちで読むべきなのか。 せんせいのお人形 1【フルカラー】 (comico) 作者:藤のよう comico Amazon 本当に正直なところを言えば、とても欲望的な気持ちで読んでいる。 まともな保護者がおらず、あちこちの家を転々とさせられ、ネグレクト…

「千島列島」はどこまでを指すのか

中学生である娘の夏休みの宿題を見ていて、社会(地理)では、やはり領土問題が出てくるんだなと改めて読む。 しかしそこでは「千島列島」は択捉よりも北の部分を指していた。 帝国書院『中学生の地理』p.126 百科事典(『日本大百科全書』)では千島列島は…

意味が正反対のように思えてしまう単語

この記事にある、 The #Taliban have captured Maraz-e-Sharif and are chilling at the {luxurious} house of a top commander of Afghan National Army Abdul Rashid Dostum.Dostum had returned back to #Afghanistan from #Turkey a few days ago but is…

平野啓一郎『本心』

リモート読書会は平野啓一郎の小説『本心』であった。 本心 作者:平野啓一郎 コルク Amazon この作品のテーマの一つが「自由死」である。 ある時期が来たら自分の意思で死を選ぶということである。この小説の世界では、それが強制ではなくあくまで権利として…

山本健太郎『政界再編』

立憲民主党・本多平直議員(辞職)の件についてぼくが書いたことに、松竹伸幸が批判的激励?を書いていた。 kamiyakenkyujo.hatenablog.com ameblo.jp 自民党の異論の吸収方式 ぼくが政党の内部議論は非公開とした上で自由な発言が保障されるべきだとしたこ…

谷口菜津子『教室の片隅で青春がはじまる』

つくりごとの、そらぞらしい、窮屈で不自由な、我々の日常を取り巻く人間関係を壊してみる、その第一歩を踏み出せば、世界は変わる。人間解放の革命である。 谷口菜津子『教室の片隅で青春がはじまる』は『教室の片隅で革命がはじまる』としたほうがいい。 …

「常任委員会」をどう訳すか

地方自治法第109条には 普通地方公共団体の議会は、条例で、常任委員会、議会運営委員会及び特別委員会を置くことができる。 とある。この「常任委員会」というのは例えば「経済振興委員会」とか「総務財政委員会」などと呼ばれていて、福岡市では5つに分か…

小山田圭吾の件について考える

小山田圭吾の件を今さら書く。 ぼくは、フリッパーズ・ギターを友人の影響で聴き始め、中毒になり、デートで車に乗ればいつもかけて、自分としてはそれ以外に買ったことのないクリップビデオまで買い、自分の結婚式(会費制の「結婚を祝う会」)で入場と退場…

党内の自由な議論を根拠に処分されるべきではない

立憲民主党の本多平直議員の問題。 https://digital.asahi.com/articles/ASP7F3JHWP7FUTFK008.html 本多氏は5月、刑法で性行為が一律禁止される年齢(性交同意年齢)を現行の「13歳未満」から引き上げることを議論する党の「性犯罪刑法改正に関するワーキン…