2025-01-01から1年間の記事一覧

不破哲三の死

不破哲三が亡くなった。 ぼくの家の本棚は不破の著作が一角を占めている。 不破はぼくがコミュニストの人生を送る上で多大な影響を与えた人物である。マルクスよりもはるかに大きいといってもいい。 斎藤美奈子さんとの対談でも述べたが、先ごろ上梓した拙著…

 『このマンガがすごい! 2026』&『隙間』&日本共産党の「一つの中国」論の転換(?)

『このマンガがすごい! 2026』(宝島社)で「オンナ編」のアンケート選者をつとめた。 このマンガがすごい! 2026 宝島社 Amazon 自分が選んだ5本のうち、1本は「オトコ編」で4位に入り、もう一つは「オンナ編」で29位に入った。他は圏外であったが、1本…

古賀文健『集団浅慮——「優秀だった男たち」はなぜ道を誤るのか?』

優秀な人もたくさんいただろうに、どうしてこんな愚かしい判断を組織としてやってしまうのだろう…という事実によく出遭う。 歴史書でも、メディアでも、身近でも。 特定の組織、例えば利潤追求に必死な資本主義企業体とか、軍国主義的な国家とか、社会進歩を…

値上げを提案された家賃の交渉とその結果

ぼくは賃貸マンションに住んでいるが、大家(企業A)から7月に家賃値上げの提案をされ、ずっと交渉をしてきて、このたび家賃を据え置きのまま契約更新することになった。 企業Aからの提案は、今の家賃を30%値上げするというものだった。 弁護士にも相談した…

紙屋高雪×斎藤美奈子トークイベントの内容の一部を「じんぶん堂」で公開

先日のぼくと斎藤美奈子さんのトークイベントの一部が、朝日新聞「好書好日」の特設サイト「じんぶん堂」で公開された。 book.asahi.com 当日の様子は、ぼくのブログでも別の角度で紹介している。 kamiyakenkyujo.hatenablog.com 正典で殴る読書術 作者:紙屋…

高市首相の「働いて働いて…」の流行語大賞受賞に思うこと

今年の流行語大賞は高市首相の「働いて働いて働いて働いて働いてまいります」に決まった。 www.youtube.com 「なぜこれが?」という思いがよぎるが、選定側は、まず「高市政権ができ、高支持率が続いている」ことが日本の「流行」をそのまま表しているという…

原夏見『彼女たちの式典』

先に紹介した『友達だった人』は、「友達」と呼ぶのがためらわれるようなSNS上だけのつながりを「友達」と呼ぶ話だった。 kamiyakenkyujo.hatenablog.com それに対してこの原夏見の作品『彼女たちの式典』は、冒頭に 何年も会ってない 会う必要もない だから…

『友達だった人 絹田みや作品集』

がんで身近な人が亡くなるという経験をこれまでいくつもしてきた。 活動家仲間が早くに亡くなる、というのもそうだし、身内では義姉がそうであった。そのことはもう十数年以上も前にブログに書いたことがある。 kamiyakenkyujo.hatenablog.com 今も身近には…

稲葉そーへー・本橋隆司『そばギャルとおじさん』1

立ち食いそばをはじめとして、「早めに食べて出る」という前提のそばが苦手である。ぼくの食事信条に反するからである。 したがって「味わう」という見方が全くできなかった食事の一つだ。 時間がなくてやむを得ないなら入るけど、そうでもなければまず避け…

台湾有事答弁の「撤回」?

共産党の地方議員からの「抗議」 数年前の話だが、ぼくが日本共産党を応援する演説例をつくったとき、対米従属の危険性を暴くくだりで、台湾をめぐりアメリカと中国が戦争になったら、日本がまきこまれる、という趣旨のことを書いたら、共産党の地方議員から…

有田光雄『未来に生きる 「老コミュニスト」の残し文』

11月14日の東京堂書店における、ぼくと斎藤美奈子さんとのトーク&サイン会には、参議院議員衆議院議員*1の有田芳生さんも来てくれていた。 有田さんはもともと斎藤さんのファンでもある。同時に、最近読んだ拙著『正典で殴る読書術 「日本共産党独習指定文…

批評という行為

11月14日に東京堂書店で開かれたぼくと斎藤美奈子さんとのトーク&サイン会に、いっぱいお運びいただきましてありがとうございます。 斎藤さんとの「かけあい」はジャズのセッションのようだと思った。 前にもそういう比喩で書いたことがある。それは全然別…

『小学館版 学習まんが 日本の歴史12 開国と幕末の動乱 江戸時代Ⅳ』

『小学館版 学習まんが 日本の歴史12 開国と幕末の動乱 江戸時代Ⅳ』を読む。 慣習が高埜利彦・学習院大学名誉教授、マンガが新井淳也である。 小学館版学習まんが 日本の歴史 12 開国と幕末の動乱: 江戸時代IV (小学館学習まんがシリーズ) 作者:日笠 由紀 小…

不破哲三『科学的社会主義と執権問題』

私こと・紙屋高雪と斎藤美奈子さんとのトーク&サイン会は本日(2025年11月14日金曜日)午後6時からです。拙著『正典(カノン)で殴る読書術』と斎藤さんの『絶望はしてません』のことだけでなく、幅広く政治・社会・文学について語り合います。 オンライン…

斎藤美奈子さんとトーク(&サイン)イベントをします

私こと紙屋高雪が、文芸評論家・書評家の斎藤美奈子さんと"現場は本の中にある"と題して、トーク&サイン会やります! 『正典(カノン)で殴る読書術——「日本共産党独習指定文献」再読のすすめ』(かもがわ出版)&『絶望はしてません——ポスト安倍時代を読む…

村上研一『日本経済「没落」の真相』

リモートの読書会のテキストになったもので、ぼくはこの著作を全然知らなかった。 日本経済「没落」の真相: 貧困化と産業衰退からどう脱却するか 作者:村上 研一 旬報社 Amazon 読後「これはとてもいい本だ」と思った。 一言で言えば、ぼくにとっては「共産…

志位和夫・斎藤幸平「対談」動画を見る

共産党議長の志位和夫が斎藤幸平と対談をしている。 www.youtube.com www.youtube.com ぼくは、このブログでも志位は斎藤と議論すべきだと言ってきた。 近年論点となっている「脱成長」との異同や概念上の整理もない。 そこに踏み込めないのか、踏み込まない…

藤原ハル『元気でいてね』

それから 幼少期に親から言われたこと すべて忘れた方が いいですよ 何の役にも立たない 「すべて」ですか。 「何の役にも立たない」ですか。 すごくシンプルな方針だけど、それくらいシンプルにすると、逆に実践できてしまうかもしれない。 作中で、エレベ…

山内聖子『BARレモンハート 意外に知らない酒の基本知識』(古谷陸監修)

酒を飲みにいける健康はまだある。 なので、気の合う人たちと飲みにいく。 だいたい1軒目はいいんだけど、2軒目以降のバーとかにいくと、自分が飲んでいる蒸留酒系の酒について何を飲んでいるのか全然知識がない。 昨日も飲みにいったところで、よく飲む……

社会はそんなふうに変わるのか?

日本共産党が『資本論』の…というか志位和夫の『Q&Aいま『資本論』がおもしろい』(赤本)の一大学習運動を始めている。 www.jcp.or.jp どんな本であっても読むこと自体でその人の幅は広がる うん、『資本論』の学習運動をすること、そのために志位の解説本…

Sanho著・古川綾子訳『幽冥パティスリー 煉獄堂』1

ファンタジーを読むとき、その世界に連れて行かれるまでがなかなか難しかったりする。凝った設定の説明が長々と始まり、最初でいきなりやめてしまうこともある。かと思えば、印象的なエピソードをぶつけようとして、なんとなく白けてしまい、うまく連れて行…

ヤチナツ『真・女性に風俗って必要ですか?』

(以下、性的な話題がありますので、苦手な方はあらかじめ注意してください) 『このマンガがすごい! 2023』でこの前作に当たる『女性に風俗って必要ですか?』を選ばせてもらった。 本作は同じ題材(女性風俗)で似た設定なのだが、違う話としてイチから作…

後房雄『日・伊共産党の「民主集中制」格闘史』

「みんなで話し合あってみんなで決める」が民主集中制なのか 民主集中制を議論する際に日本共産党はどのようにこの組織原則を説明するだろうか。例えば2024年の入党の呼びかけではこう説明している。 暮らしでも平和でも、希望がみえる新しい政治へ あなたの…

サン=テグジュペリ『夜間飛行』

この小説は航空輸送会社の話である。 飛行機が世界に登場してしばらくして輸送にも使われるようになった時代の話だ。スピードを考えれば、船や鉄道よりも速く貨物を届けることができるという利点がある。しかし、夜間飛べないということがその利点を帳消しに…

『正典(カノン)で殴る読書術 「日本共産党独習指定文献」再読のすすめ』を出します

このたび、『正典(カノン)で殴る読書術 「日本共産党独習指定文献」再読のすすめ』(かもがわ出版)という本を出します。 10月上旬に刊行予定です。 正典で殴る読書術: 「日本共産党独習指定文献」再読のすすめ 作者:紙屋 高雪 かもがわ出版 Amazon 日本共…

おかーちゃーん

祖父が亡くなったときに、荼毘に付す直前に叔父が「おやじー!」と号泣していたのを見て驚いたことがある。叔父はぼくの前では祖父のことを「おじいさん、さっきもらった菓子だけどね…」というように「おじいさん」と呼んでいたからである。叔父の子ども(ぼ…

松代大本営と『スターリン秘史』と終末期の戦争指導

知り合いの招きで長野を訪れ、その人の案内で松代大本営跡に行く機会があった。 松代大本営跡(象山地下壕、イ地区) 市民グループが資料館までつくって計画の全容を示す地図を張り出していた。 その中に「賢所」という記述があった。 松代大本営追悼碑を守…

辺見じゅん・河井克夫『ラーゲリ〈収容所から来た遺書〉』

テレビで映画「ラーゲリより愛を込めて」をやっていたので、ごく一部分だけ観た。 www.youtube.com 「一部分」っていってもホントに一部分だけで、収容所で野球をやるシーンだけである。 実は、原作のマンガ化作品である辺見じゅん・河井克夫『ラーゲリ〈収…

小川雄『徳川権力と海上軍事』&「今川氏発祥の地」

なぜか愛知の西尾出身だというと「小笠原水軍を知っているか」と言われ、「知らない」と言ったので、小川雄『徳川海上権力史論』(講談社選書メチエ)を読めと友人から命じられた。 全く知らなかったので、ググってみると幡豆(旧幡豆郡幡豆町)の在地勢力だ…

藤川よつ葉・山本亜季・林みどり『Dressing 美容外科医 森野まりあ』

マンガを「一目惚れ」で買う、ということがある。 『Dressing 美容外科医 森野まりあ』を買う気になったのは、Xのぼくのタイムラインに流れてくる宣伝広告で、次のコマに描かれた主人公の医者・森野まりあの佇まいを見たからだった。 藤川よつ葉・山本亜季・…