2025-01-01から1年間の記事一覧
はてなブックマークで誰かが紹介していて、ぼくは知らなかったので読んでみたのだが、面白くてあっという間に引き込まれてしまった。 パリ・ロンドン放浪記 (岩波文庫) 作者:ジョージ・オーウェル,小野寺 健 岩波書店 Amazon 1933年に書かれたジョージ・オー…
白石正明『ケアと編集』を読んでいるときにこの本が紹介されていて、それで知った。 斎藤環・水谷緑『まんが やってみたくなるオープンダイアローグ』は精神医療の方法の一つだが、本書にはそういう断り書きが全くない。 まんが やってみたくなるオープンダ…
あなたは以前のように共産党や左翼、社会主義についての未来を信じられるんですか、と聞かれることがある。 うんそうだね、以前のようにはもはやいかないね、と答えざるを得ない。 以前ももちろん自分なりに距離はとってきたつもりではいる。 批判的に見るべ…
「ユリイカ」2025年6月号の「特集=カレー沢薫」でぼくも執筆させていただきました。 ユリイカ 2025年6月号 特集=カレー沢薫 ―『クレムリン』『負ける技術』『ひとりでしにたい』…メシアの華麗なる人生譚― 作者:カレー沢薫,春田武彦,田川亞希,武田砂鉄,冬野…
日本共産党の志位和夫議長による『資本論』ゼミ(「いま『資本論』がおもしろい」)が行われた。3時間半もあるが、聴講させてもらった。 www.youtube.com ぼくは若い人たちと長年地道に学んでいた『資本論』ゼミを組織側の弾圧により解散させられた側である…
(以下の記事に性的な記述があります) ヨネマイ『幸せになりたいマサムネ君』の主人公は26歳・男のマサムネ。大学時代にブログをもとにした小説が爆売れしてそれで食いつないでいる作家…というかフリーターだ。10年付き合っている彼女がいて、マサムネ自身…
フーゾクをどういう温度感で描くのか、というのはなかなか難しいところである。 エロの角度から描く…というマンガもそれなりにあるが、人によってはフーゾクに行くことがエロという目的を達するものだからそれを客観視したってしょうがあるまいという冷めた…
太田啓子弁護士が2019年に『宇崎ちゃんは遊びたい!』の「献血ポスター」に「環境型セクハラしてるようなもの」と批判したツイートについて、ぼくはその当時その批判を検証し、太田弁護士を(ある程度の範囲においてですが)批判し、それを本にまとめたこと…
お酒は好きな方だと思う。 仕事をすべて取り上げられて自宅に閉じ込められるという嫌がらせを受けたとき、そして不当解雇をされて新たな職場が見つからない今のようなとき、「規則正しい生活」をすることが奪われがちで、飲酒へのハードルも低くなることへの…
高校生の娘から提起があり、映画「機動戦士Gundam GQuuuuuuX Beginning」を観た後、ファーストガンダムを観たいという同氏の要望にもとづき、1話ずつ一緒に観ることにした。 つれあいは、全く関心なし。始まると呆れて立ち去る。 ぼくは小学生の頃、テレビ…
富裕層の定義は何だろうか。そう言われてみるとあまり考えたことはなかったのだが、本書を読むと「現金や投資資産を1億円以上持っている人のこと」(p.3)だそうである。野村総研の定義っぽいな…。*1 ふつうの会社員が投資の勉強をしてみたら資産が2億円に…
ただ帰宅しているだけで、特にすごいイベントなんかないのに、なんでこんなに読んでいてキュンキュンするんだ!?(当方無職の50代男性で妻子がおります) 放課後帰宅びより : 1 (アクションコミックス) 作者:松田舞 双葉社 Amazon サッカーがケガでできなく…
「自立」とか「ボランティア」とか「食育」とか「持続可能」とか「安全」とか「主権者教育」とか——その言葉だけ聞くと「いいこと」だとしか思えないよな。 だから、左翼であってもそのまんま使っちゃうことがある。まあ、ぼくもそうだ。 だけどそこには「込…
落語の語り口。いいですね。ぼくは好きです。 小さい頃から落語は聞いている。 と言っても本物の寄席に行ったのは20代の終わりになってから。 ずっとテープとレコードで繰り返し聞いてきた。 初めてラジオで聞いて(小学3年生くらいだっただろうか)そいつ…
20日付「しんぶん赤旗」の「奈良市 鼓阪小学校統廃合計画 児童が市議会に反対の請願」という見出しが目を引いた。 東大寺や正倉院のある奈良市の小学校の統廃合計画に対して、子ども自身が3人、市議会に請願をしたというのである。3人のうち1人は「親が代…
ぼくは今50代であるが無職である。 組織から仕事を取り上げられるというパワハラを受けている最中に、よく海に行った。泳ぐわけではない。昼間とか夕暮れ時、これからどうなるんだろうという不安な気持ちで海を眺めていたのである。 そして、今よく図書館に…
ぼくは高校のとき模試で第一志望の国立大学についてE判定をもらったことがある。自分でも「うわー」と思ったが、なぜかそのままあきらめずに受験し、合格した。まあ、その大学のその文科系学部にはなぜかその年だけ受験科目に数学がたまたまなかったというめ…
「学芸員」と聞くと「え? 美術館の端っこで座っている人?」という聞き返しは定番だと聞く。 note.com 学芸員あるある過ぎて、今さら言うのもなんなのですが、「仕事は学芸員です」と言った時に十中八九聞かれるのが 「え、あの美術館の端っこに座ってる人…
実家に帰ると父母の昔話をつとめて聞くようにしている…ということは前にも書いた。知っている人の意外な面が現れたり、今とは違った価値観や社会のありようが描かれて、面白いからである。 商売の成功話のようなものは定番の講談を聞くようなものだ。 夕食や…
この本を作るにあたって、少しだけお手伝いをした。 小泉悠が護憲派と語り合う安全保障 作者:小泉悠 かもがわ出版 Amazon サブタイトルが「『日本国憲法体制』を守りたい」。 日本国憲法第9条そのものについては改憲すべきではないかという意見を持ちながら…
いやあ、面白い本だった。 スターリンの図書室:独裁者または読書家の横顔 作者:ジェフリー・ロバーツ 白水社 Amazon スターリンの印象が覆る 率直に言ってスターリンの印象が覆った。 オビに「血まみれの暴君は『本の虫』でもあった」とあるんだけど、すっご…
光州事件を自分が小説にするとしたらどうする? …という不遜きわまることを考えてみた。 たぶん事件の全体像を先に書いてしまう気がする。または、無意識にそのことを考えて時系列で書いてしまうんじゃないだろうか。 つまりどうしても鳥瞰——巨視的なものか…
なんでそんなものを捨てずに持っておくねん、というものを持ってしまっていることがある。 ぼくの場合、棚を組み立てるネジとかがそうだ。 いやもう明らかにその棚ないでしょ、というやつのネジも捨てずにとっておいてしまっている。どの棚のネジかわからな…
マルクス主義は社会民主主義をどう位置づけるか、位置づけ直すのか。 いわく「第一次世界大戦で自国の帝国主義戦争を支持したのが社会民主主義だ」「資本主義の改良で終わるのが社会民主主義だ」「軍事ブロックを肯定しているのが社会民主主義だ」…などが古…
一読して双龍『こういうのがいい』を想起する。 kamiyakenkyujo.hatenablog.com が、『こういうのがいい』は一種のユートピアのように作られているのに対して、本作『恋人以上のことを、彼女じゃない君と。』の1巻は、少なくとももっとディストピア感が漂っ…
裁判に関わるようになったので、身近に弁護士の方と接する機会が多い。 つい弁護士もののマンガなんかを読んでしまう。 しょせん他人事ですから ~とある弁護士の本音の仕事~ 1 (黒蜜コミックス) 作者:左藤真通,富士屋カツヒト,清水陽平 白泉社 Amazon 本作…