はてな匿名ダイアリーにあった、この記事。
ぼくは「政治」に関する知識が全く無い。どうやって勉強すればいいんだろうか。
この人がどういう動機でこんなことを言っているのかわからんのだが、いっせい地方選前後にこのエントリがあることから察すると、選挙で騒がしくなってきてまわりの友人や同僚と選挙や政治の話になったが、あまり実のある話ができなくてコンプレックスを感じた……というあたりだろうか。
何も具体的なテーマに関心を持っている様子がなくて、
今になって、政治について自分の意見のひとつも言えないといかん、とやる気を出した。
と書くあたりのそんな臭いを感じる。
こういう人はどうしたらいいのか。
たぶん「赤旗」、それも日曜版を読むといいんじゃないかと思う。
共感する必要はまったくない。もちろん共感してもいいが、「何言ってんだこいつ」という反感でもまったく構わない。
要は、煽られるといいからだ。自分の中に切実な感情を生じさせるのである。
一般の新聞を読んでそうなることもあるので、それでも構わないが、関心がなくてスルーしているというのだから、「わかりやすく、特定の立場で煽る」ということに徹しているメディアのほうがよい。
右派系のメディアや公明新聞は「特定の立場で煽る」のはいいけど、「わかりやすく」ない。池上彰は「わかりやすい」けども「特定の立場で煽る」ことをしない。だから切実な感情が生まれにくい。
べつに「赤旗」でなくても、こういう機能を果たせれば、どんなメディアでも本でもいい。
たとえば、いま「赤旗」の日曜版でよく特集しているのは安保法制の議論であるが「戦争立法」だと煽っている。
今回のいっせい地方選において、ある地域の町内会連合体が主催した「市議選候補者討論会」に参加したら、会場からの質問時間にモロに共産党支持者という人が「いまの戦争立法や憲法9条についてどう思うか聞かせてください」と質問した。威圧的な風貌と言動をしていた司会者は自分がいかに地道な防災のとりくみをしてきたかという自慢話を、候補者を差し置いて延々としてきたにもかかわらず、この質問にいちゃもんをつけた。
「そんなもん、市議選と関係ないやないですか。みんな戦争なんかしたくないに決まっとるんですよ!」
と怒鳴り上げた。そして候補者には答えさせず、議事を進行させた。完全スルー。
そんなふうにステキな反感をおむき出しになるのが「戦争立法」という言葉ではないか。他方で、共産党の車には「戦争は絶対にイカン! 安倍を絶対に食い止めてくれ!」みたいな激励が確かに寄せられていた。
全国どこの自治体でも大きな問題になっているはずなのは、国民健康保険料*1のバカ高さだ。
年所得200万円の人なら、だいたい所得の2割くらい保険料で持って行かれる。病気にもならないのに所得の2割が抜き去られるのだ。それで病気になったときタダで医者にかかれるならまだしも、イザ病気になり病院にいくと窓口では医療費の3割を払わされる。くそっ、「保険」なのかよ、これは……と思う人がいても不思議ではない。
非正規の若い人なんかはここに入るわけだけど、若いから病気にもなりにくい。なのに所得の2割も持って行かれるのだ。払えん、払いたくねえと思う人がいても無理はない。滞納となり、保険証が取り上げられ、病院に行けなくなる。
「国民健康保険料引き下げ」は地方選における共産党の最大級の共通公約といってもいい。
しかし、一般新聞を読んでいてもこの話題はほとんど出てこない。少なくとも「赤旗」の頻度に比べると格段に少ない。
今回の選挙でも大争点にしていた。ぼくが仕事で行った、ある地方の都市では「1人1万円の国保料引き下げは8億円可能です。市が自由に使える貯金74億円を活用すべきです」と共産党が訴えていた。
「そんなもん、使ったらなくなるだろう」という人もいるだろう。
とりあえず、それでいいのである。
まずは煽られてほしい。
煽られたら、そのテーマにだけ詳しくなればいい。
新書を読んでもいいし、池上彰を読んでもいい。一般の新聞でもかなり勉強できる。
だけど、この人はその前の段階。
この人にとって重要なことは、自分の中に切実なものがないことだ。
教養主義的に政治への知識をひけらかしたい、という切実さもなさそうである。本当にそういう人なら、こういう悩みの持ち出し方をせずに、こっそり勉強するんじゃないかな。池上彰でもまずは読めばいいと思う。