文学フリマ福岡に参加します


 2016年10月30日(日)都久志会館(福岡市・天神)で開催される文学フリマ福岡に参加します。
http://bunfree.net/?fukuoka_bun02


 以下はぼくが出す本の目次(およびその回に言及したマンガ作品や参照にした本など)と、その本の「はじめに」で書いたことです。
 「人間と教育」誌で連載しているマンガ評論をまとめたコピー本です。
 ぼく自身、福岡でだけでなく、同人誌を出すこと自体初めてです。なので、どういうクォリティの本を売ればいいのか、どれくらい売れるものか、見当もつきません。
 ネットとか本を見ると、最初は10冊売れれば御の字だということなので、献本分を除いて10冊だけ作っていくことにします。


1 大人と幼児が同時に楽しめるマンガはあるか?

2 いわさきちひろはどう批判されたか

3「ダメ人間マンガ」はなぜ増えているのか

4 「スポ根」マンガは死んだのか?

5 ヤンキーマンガと「an・an」の接点は?

6 「気持ち悪い」「グロイ」という『はだしのゲン』の読みの強さ

7 『ONE PIECE』はなぜつまらないか

  • 『ONE PIECE』
  • 平居謙『「ワンピース」に生きる力を学ぼう!』

8 エロマンガは規制されるべきか?

9 少女マンガはエロマンガよりも「有害」か

10 なぜ女性向けエロマンガで強姦シーンがあるのか?

11 『このマンガがすごい! 2015』第1位のマンガを読む

12 「漫画家になりたい」という子どもを待ち受けているもの

  • オズボーン、フライ『雇用の未来―コンピューター化によって仕事は失われるのか』
  • 『ナナのリテラシー
  • 竹宮恵子内田樹『竹と樹のマンガ文化論』
  • 『私の血はインクでできているのよ』
  • 竹熊健太郎『マンガ原稿料はなぜ安いのか?』
  • 樋渡直哉『普通の学級でいいじゃないか』

13 戦争を楽しむマンガと戦争の悲惨さを描くマンガはどこが違うのか(上)

14 戦争を楽しむマンガと戦争の悲惨さを描くマンガはどこが違うのか(下)

  • 『あとかたの街』
  • 『凍りの掌』
  • 『夕凪の街 桜の国』
  • 竹田茂夫『ゲーム理論を読みとく』

15 鶴見俊輔は『サザエさん』をどう論じたか

16 その美少女の中身はおっさん、もしくはオタク男子である

  • shirakaba「初音家の食卓」
  • 苺ましまろ
  • 『自分がツインテールのかわいい女の子だと思い込んで、 今日の出来事を4コマにする。』

17 『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』は「道徳教材」たるか


はじめに  絵本とマンガはどう違うの?
 ぼくは、「紙屋研究所」というマンガ批評のブログをやっています。ブログ形式になる前と合わせると、もう13年間、ネット上でそうした批評の活動を続けています。ときどき雑誌のような紙媒体でもレビューや評論を書かせてもらっていますし、マンガ以外の本の書評や、政治や社会について感じたことを書いたりもしています。
 この本は、学校の先生など教育関係者が主に読む雑誌である『人間と教育』(民主教育研究所編集、旬報社)に2012年から書いている「マンガばっかり読んでちゃいけません!」という連載17回分をまとめたものです。連載は今も続いています。転載にあたり、同編集部の許可を得ました。快く応じていただいた編集部の皆さんにこの場を借りてお礼を申し上げます。
 学校の先生たちに向けて書いたものですから、一般の読者の皆さんには少し違和感があるかもしれません。しかし、それが逆に面白いんじゃないかなと思い、本にしました。
 マンガというものに、子ども・若い人の考え・価値観がどう反映しているのか――そんなことを学校の先生たちに議論してもらいたいと思って書いた文章です。だから、わざと論争(問題提起)的に書いてあるし、教育のネタが多いのはそのせいです。
 ポリティカル・コレクトネス(政治的な正しさ)について書かれたものも目立つと思いますが、それは教育が正しい価値を伝える営為だという側面があるからです。昔は、マンガが学校や教育の現場では「俗悪なもの」とされ、ひどいところでは「焚書」の対象となって校庭で燃やされたこともありました。
 今ではさすがにそこまでの話はあまり聞かなくなりました。しかし、現在でもマンガのセックスや暴力の描写をめぐり、自治体の条例や国の法律で規制しようという動きがあります。
 早い話、依然として絵本を子どもに与えるのとは違う感覚、「不安」がオトナにはあるのです。
 でも、そこがマンガのいいところではないでしょうか。
 学校関係者でもないあなたに、この論集をどういう気持ちで読んでほしいかといえば、そうですね、例えば「絵本とマンガはどこが違いますか?」という問いを念頭において読んでいってもらうと、本書は一つのまとまったテーマを持った本として読んでいただけるかもしれません。
 まあ、そんなに堅苦しく考えず、気に入った見出しやコマのところから、拾い読みしていただいても、十分楽しめると思います。
 なお、本書に掲載されているマンガなどのコマは、著作権法の引用の原則(出典・区分・分量・必然性)にのっとったものですが、お気付きの点があれば、ご指摘いただければ幸いです。また、文中の年代や表現は掲載時そのままにしてあります。

2016年10月1日 紙屋高雪