酒を飲みにいける健康はまだある。
なので、気の合う人たちと飲みにいく。
だいたい1軒目はいいんだけど、2軒目以降のバーとかにいくと、自分が飲んでいる蒸留酒系の酒について何を飲んでいるのか全然知識がない。
昨日も飲みにいったところで、よく飲む…もう数十年飲んでいる「ソルティ・ドッグ」や「キューバ・リバー」「モスコミュール」がどういう酒なのかほとんど考えることなしに飲んでいる。
そこで本書である。
出版社からご恵投いただいた。
「ウイスキー」「ブランデー」「スピリッツ」「日本酒」「焼酎」「ビール」「ワイン」といった基本的な酒がどういうものかが書かれている。
例えば、ぼくは「ウイスキー」「スコッチ」「バーボン」「コニャック」「ブランデー」「ジン」「ウォッカ」「テキーラ」「ラム」が何がどう違うのかさっぱりわからない。カテゴリーの上下も知らないのである。
そういうシロート中のシロートを導いてくれるのが本書だ。
まじめに全部読んではない。まずはそういう違いだけを知りたいと思って読んだ。
しかもさらに恥ずかしいことをさらしておけば、蒸留酒と醸造酒の違いもよくわからない。いや、前に調べた気がするが、説明しろと言われるとゴニョゴニョとなってしまう。さらに言おう。ウイスキーを「ストレート」で飲む、ということと、「ロック」で飲むということの違いがよくわからない。ダブル、シングルはそこにどう絡む話なのかもよくわからないのである。
実は、この「蒸留酒/醸造酒」「ストレート/ロック」という話は、本書では説明されていない。それはあまりに初歩的な話だからであるが、そのあたりも書いてくれるとありがたかった。まあ、そんなレベルの人はそもそも本書を手に取らないのだろう。
白ワインと赤ワイン。あっ、これなら知っている。昔少し本を読んでワインに詳しくなろうとしたからである。アメリカでワイナリーまで行った。挫折したが。
まあ、でも、ふだんのんでいる酒というものが、例えば何を原料にしているのかも本書で分かった。
本書には、いろいろ小ネタの蘊蓄もある。酒好きには常識なのかもしれないが、例えば「バーボン」とは「ブルボン」が語源であり、アメリカが独立革命で勝利して味方をしたフランスの王朝名を地域につけたことが始まりだという。その地名での生産が起点なのだ。
あるいは、ぼくがよく飲むカクテル「キューバ・リブレ(キューバ・リバー)」は、キューバがスペインから独立した際に支援してくれたアメリカ軍が自国のコーラとキューバのラムで割って祝杯をあげたことがきっかけだという。そのアメリカは今やキューバと強烈な敵対関係にある。
…とまあ、ぼくが酒場で偉そうに何か蘊蓄を垂れたら本書をアンチョコにしていると思ってほしい。
本書に編集者の添え状がついていて「酒に関する知識を網羅した教科書的な本です。実用書を作ったのは初めての経験だったので勉強になりました」と正直に書いてあったのが好感が持てた。というのも、今自分は本作りに関わっていて、他人事ではないからである。
本書とともに、古谷三敏『BARレモンハート40周年 世界の名酒セレクション』というコミックのセレクト本が同封されていた。
古谷三敏『BARレモンハート』は連載開始から40周年を迎える名作である。作者・古谷の死によって新作はもはや掲載されていないが、過去作がときどき「アクション」に載っている。
ただ、40巻近くもあり、酒自身にはそれほど深く興味を持っているわけではないので、そもそもどういう設定なのかとか、どんな世界観なのかということがわからないままなんとなく読んでいる。
しかし、本書『BARレモンハート40周年 世界の名酒セレクション』を読むと、だいたい舞台設定がわかるし、40巻近くあるコミックの中でまずどれを読んだらいいかがわかるようになっている。あ、サングラスをかけた「メガネ」と、髭を生やした「松ちゃん」はこういうキャラだったのかと。こういう企画は実は新しい読者層を開拓する上でありがたい。
セレクト作品の中では、「ブランデー編」にある「カルヴァドス ライオンハート」が「ネットのない時代の編集者の調査」を描いていて、興味をそそった。

