『このマンガがすごい!2025』「オンナ編」にアンケートで参加しました

 『このマンガがすごい!2025』の「オンナ編」にアンケートで参加しました。151ページにぼくのランキングが載っています。

konomanga.jp

 

枡野浩一南Q太作品の高評価

 個人的には枡野浩一がやはりアンケートに参加していて、第1・2位に元パートナーである南Q太作品を推していたのが興味深かったです。「怖くて読めなかった」が、吉田豪のコメントに背中を押されたとのこと。南の作品が成熟した、ということも意味するのではないかと思いました。

 南の『地下鉄の風に吹かれて』の頃には、おそらく作家本人は全く意図しない「面白さ」が生まれてしまっていたことを、ぼくは20年前にブログに書きました。

kamiyakenkyujo.hatenablog.com

 しかし、『ぼくの家族』で新境地…というか、本人はある種の安定に達したのだなあと思いました。

kamiyakenkyujo.hatenablog.com

 そして、最近の『私の彼女』から『ボールアンドチェイン』『南Q太傑作短編集 ぼくの友だち』へと至る流れで、飛躍的な変化を感じました。

kamiyakenkyujo.hatenablog.com

 枡野にも作品が持つそのような成熟が素直に伝わったのではないかと思います。

 

「オトコ編」と「オンナ編」

 なお、ぼくが選んだ2位は「オトコ編」で上位を獲得してしまい、「オンナ編」ではかすりもしませんでした。掲載媒体の性格からそうなる可能性は十分にあったのですが、編集部の基準としてはこれを「オンナ編で選んでもらってもオッケー」ということだったので、選びました。

 ある作品を「オンナ編」にするか「オトコ編」にするか、編集部はかなり融通を利かせてくれていて、どちらかに限定されてしまう作品はそれほど多くはありません。両者に分けることの意義と限界の間で揺れる昨今、この方針は現状ではベストなものだろうとぼくも支持していますので、まあ、そういうこともあるよなと思って受け止めました。

 

 でも1位で選んだものが、「オンナ編」でも「オトコ編」でもほとんど誰にも選ばれなかったのは納得いきません! どうしてみんなこの作品の良さをわかってくれないんだ…。

 

『恋とか夢とかてんてんてん』

 ぼくが最終的に選ばなかったけど、全体では高位に選ばれた注目すべき作品は世良田波波『恋とか夢とかてんてんてん』ですね。

 

29歳のフリーター、カイちゃんは東京に暮らして10年。好きだった絵を描くこともしなくなり、夢も希望もない。そんななか、猛烈に好きだった人を追いかけて大阪に移住。なんとか友人枠になるも、彼には婚約者が…。(『このマンガがすごい!2025』p.58)

 20代や30代の独身生活をしていた頃なら面白そうに読めただろうと思ってしまいがちですが、50代になって結婚・子持ちの自分が共感とかそういうのは全然抜きに、引き込まれながら読んでしまいました。

 このレビューは粟生こずえが書いていますが、

勢いある感情表現が一直線に胸を貫く!

と評していて、まさにそうだろうなと思いました。主人公の後先を顧みない無謀さが、グラフィックの「勢い」と一体化しているのです。

 ここまで勢いにまかせて人生を駆け抜ける様は、今の自分とは遠い気もするのですが、他方で、職を失って裁判なんか始めちゃった自分にも、ひょっとしたらどこかで重なるのかもしれないと、やはりそういう共感がどこかに入っていたかもしれないと思いましたけどね。