この記事が少々話題になってたんで買って読んでみた。
「子どもなし別居希望? それ結婚する意味あるの?」に対する答え、逆風に立ち向かうということ マンガ『合理的な婚活』著者インタビュー(3) - ねとらぼ
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1711/15/news001.html
- 「子どもは持たない」
- 「家計は別々」
- 「できれば同居もしたくない」。
「合理的」というのは、マッチングアプリを使ってこの条件に合う人を合理的に探していこうという意味。
本人のスペックは、「1987年生まれ。雑誌の広告営業をしながら趣味の同人漫画を描いている。三度の飯よりBLが好き」。
「『子どもなし別居希望? それ結婚する意味あるの?』に対する答え」については、「はてな」のブコメがカラい。
http://b.hatena.ne.jp/entry/nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1711/15/news001.html
別にどういう結婚をしても自由だし生殖しないのは大いに結構なことだけど「なぜ結婚したいの?」という疑問は結局最後まで読んでも解消されなかった
http://b.hatena.ne.jp/Haaaa_N/20171115#bookmark-348979391
この人は家族が欲しいんだろうな、というのは解ったけど「結婚」に際して美味しい所だけをゲットしたいという都合のよさを感じる。どこかで濃厚な関係の段階を経ることなく(家族の)絆を維持するのは難しいのでは?
http://b.hatena.ne.jp/nanashino/20171115#bookmark-348979391
ホンマ、この条件なら結婚にこだわる必要なくない?同棲もないなら彼氏彼女でいいような。
http://b.hatena.ne.jp/mcgomez/20171115#bookmark-348979391
こういうパートナーが欲しい、ということはわかったが、結婚したい理由が相変わらずわからなかった。/また読んでみたけどパートナーが同性でも単なる交際でも良さそうだし楽そう。”男との結婚”になぜかこだわる。
http://b.hatena.ne.jp/mamiske/20171115#bookmark-348979391
この問いに対する横嶋なりの答えは、本書の第3話(Step.3)に登場する(上記のURLでも読める)。なお、横嶋は女性だが、本書では一人称は「僕」である。
僕にとっての結婚とは「大好きで尊敬できる1人の人をパートナーだと決めること」です
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1711/15/news001.html
横嶋は次の3コマでその具体的なありようを書いているんだけども、まあ、ぼくなりにそれをまとめると、この世という戦場を渡り歩いて危険を警告したり、励ましあったり、応援しあったりする戦友がほしい……みたいな感じだろうか。
第1話(Step.1)で横嶋がなぜ婚活を始めたかというきっかけを書いているが、それは実母の寿命を意識することがあり、
僕はいずれ天涯孤独になるのかという実感がわいて深い穴を覗き込んでいるような気持ちになったわけです
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1711/03/news005.html
とも書いている。
さらにまとめる。
- 現役時代はいろんな交友があるだろうけど、老後の孤独はイヤだ!
- 現役時代もできれば「バディ」のようにいっしょに組める人=戦友が欲しい!
- ただし、距離が近すぎるとダメなので、共同生活せずに、程よい距離を置きたい!
横嶋の言いたいことは、こういうことでは?
いやー、すっごくわかるよ。
これで十分じゃん。
十分じゅうぶん。
これで「結婚したい」っていう立派な説明になってるよ。
つうか、この理由自体、シンプルで合理的で、すばらしいんじゃない?
「女の友人でいいじゃん」「男でないとダメなの?」って問い詰めている向きもあるけど、それまでいくと、絶対に同性の友人じゃダメっていう理屈は無理に出せないがね。
ただその点もあくまで推測すると、「同性の友人」は家族としての一体感=永続性がこの人(横嶋)の中で薄いんだろうね。推測だけど。
民法752条に
夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。
ってあって、単身赴任の強要とかは「民法違反じゃねーの」とか思うけど、まあ同居を唯一のスタイルと定めるのも、もうどうかと思うよ。同居したいと思っている人の同居要求を叶えるだけの条文に変えてあげて*1、そういう単一のスタイルを押しつけるのはもうやめたほうがいい。ぼくも結婚して7年間は別居していたし。*2
横嶋の希望は、前半の「同居」の方は満たしてないけど、後半の「互いに協力し扶助しなければならない」は満たしている。協力し、扶助する、一つのスタイル。
ちなみに、日本国憲法(第24条)にも夫婦の規定はあり、
婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
こちらは「同居」規定はなく、同権と相互協力のみ。
憲法違反の夫婦ではないw
つまり、憲法に規定されているほどの夫婦像であって、それを結婚の根拠とすることは十分に根拠のあるものだということ。
横嶋のいうとおり、別に論理的に整合していようが、辻褄があっていなかろうが、夫婦の形は夫婦次第なので、そういう理屈はなくてもいい・勝手にやればいいんだけど、論理があるとそれが歴史になるので、最初の基盤になりやすい。
始まってしまえば、生活の実態が夫婦を形成していくから、最初の基盤を離脱したっていい。
全然別の論理で夫婦として発展していくことだってあるだろう。
子どもができて、それだけがつながりになることもあるし、子どもはいないけどもう絶対に離れがたいという理屈を超えた感情になることもあるだろうし。
そうなんだよ。
夫婦や結婚生活というのは、実際に始まって既成事実が積み重なっていくこと自体が実体的な基盤をつくるので、もし結婚をしたいと思っているなら、とにかく始めろ、というアドバイスはありうるのだ。
横嶋のような理屈っぽい人は、最初の理屈をむしろガチガチに固めて、納得してスタートするようにアドバイスしたほうがいい。理屈で納得できないのだろう。だから、横嶋を上回る理屈好きのような存在が身近にいれば、その人に理屈づけをしてもらうと「始まる」んじゃなかろうかと思う。
本書を読む限り、出会っている男性はかなりの数がいて、しかもはたから見て「こんなによさげな男性がいっぱいいるのに、なんで『保留』し続けるの…」と思わざるを得ない。出会いが悪いということはないので、背中を押す仕組みをよく考えることが必要だろうと思う。
あくまで横嶋が本当に結婚したいなら、ね。