PTAに入って活動したいと思える2条件を総会で述べた

 娘が通うことになった公立高校のPTAに、現在ぼくは加入していない。

 にもかかわらず、PTA総会に出かけ、「加入していないですが、1年生の保護者です。参加してもよろしいですか」と受付で声をかけて参加した。

 今年度の事業計画案の審議に入ったので挙手をして発言した。

 私は今PTAに加入していません。

 しかし、次の2点がクリアされれば、加入して積極的に活動したいと思っていますが、検討をお願いできませんか。具体的には、事業計画案を修正して検討することを加えてほしいのです。

 第一は、加入が任意であり、入会と退会の手続きを明記することを検討してほしいのです。もうこれをやらないとコンプライアンス的にまずいと思います。

 第二は、入学して3・4月だけで25万円も現金が必要になりました。過大な負担だと感じました。本会の規約では「目的」の第一に、「教育振興についての調査・研究」とありますので、初期に支払う教育費負担について調査・研究できるような小委員会を設けることを検討してもらえませんか。もしそういうものができれば、私は喜んでPTA活動をしたい。

 大筋、こういう旨の発言である。

 第一の点については、事業計画案の修正ではないが、「5月に検討します」という答弁が会長さんからあった。個別にぼくに連絡をくれるとのこと。大変前向きで素晴らしいと思った。

 第二の点については、学校事務が挙手をした。指定品の入札などで軽減の努力をしているという趣旨の発言だった。「これでご理解いただけますか?」と言われたので、ちょっとびっくりして「はい、今のお話の意味は理解できましたが、それ自体にもお聞きしたいことがありますし、調べてみたいこと、考えてみたいことはもっと多岐にわたっておりますので、今のお話だけで了とするわけにはいきません」と答えた。その上で、PTA(役員会)として特に検討するという答弁もなかった。前述の個別の連絡の際に、そのことについての言及があるかもしれないので、あまり期待をせずに様子を見ておく。

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 ぼくが教育費について調査・研究をしてみたいと思った活動は、こんな感じである。

(1)「県高等学校保健会費」「県体育連盟負担金」「地区高等学校生徒指導協議会費」などをいきなり払わされるが、それがどんな団体なのか、保護者はどういう関わりがあるのか全く不明である。これらの費用について、実際に、「県高等学校保健会」「県体育連盟」「地区高等学校生徒指導協議会」などに出かけて、お話を聞いてみたい。めっちゃ興味ある。インタビュー自体が楽しそう。どんな活動をしているのか、保護者はどう関われるのかなどである。その上で、費用の求め方を研究すればいい。

(2)保護者にアンケートをとってみたい。1年生の3・4月に費用を払ってしまえば、その人たちはもうその費用に関わることはない。来年度新しい保護者が突然その費用負担に驚かされる…この繰り返しである。だから、すでに払い終わってしまって自分には関係がなくなったぼくらが、ここでひと肌ぬいで、後の人たちのために残すのである。

  • 費用負担を高いと思うか。
  • これを指定品として扱うのは妥当だと思うか。
  • 生徒氏名のゴム印を保護者負担にするのは妥当だと思うか。

などである。また、その根拠についても校長・事務・教育委員会・学識者にインタビューなどをしてみたい。これも楽しそうではないか!

(3)教科書や教材については現在私費負担になっているが、他の国や他の地域ではどうなっているか。小中学校はどういう経緯で無償になったか、あるいは教材負担がない自治体があるが、それはどうなっているのか。そうしたことをみんなで学びたいし、調べたい。

 主にこの3点だ。どれもすごくワクワクするぜ! こういうPTA活動ならホント、進んでやりたい。

 

 

 総会が終わってから、役員の方がぼくの連絡先を聞きに来られた。そのついでに役員の方から問いを投げかけてこられた。

  • 役員「PTA会費から生徒の冷暖房代が出ているのでPTAに入らない人がいると不公平になりますから、どうしたいいのかと思っております」
  • ぼく「それは公費で出すべきではないでしょうか。学校教育法〔第5条〕という法律で『学校の設置者は〔、その設置する学校を管理し、法令に特別の定のある場合を除いては、〕その学校の経費を負担する。』とありますからね」
  • 役員「うーん。そういう大きな話になるとPTAではどうにも…」
  • ぼく「それはきちんと『大きな話』をすべきと思いますよ。他にも…」

といったところで別の役員の方が「まあここではなんですし」と引き剥がしにこられた。なんだかぼくが議論をふっかけているみたいな構図になっていたので、ちょっと心外であったが。

 

 PTAに関わって「不公平」論(一種のフリーライダー批判)をリアル現場で聞いたのはひょっとしてこれが初めてかも。

 ぼくが続けようとした議論は3点あった。

 一つ目は、仮にPTAからの自発的な募金でやるにせよ、必要な冷暖房代が100万円として80万円しか集まらないなら80万円でやるしかないわけで、「子どもたちがかわいそうだから保護者が残りの20万円も強制的に出せ」とはならない。

 この学校のPTAは、校長が公式に充て職で役員に入っている団体である。いわば公的に関与している団体なのだ。そういう公的関与が明確な団体が、「子どもたちがかわいそうだから保護者が残りの20万円も強制的に出せ」という挙に及んだら、地方財政法4条の五、

地方公共団体は…住民に対し、直接であると間接であるとを問わず、寄附金(これに相当する物品等を含む。)を割り当てて強制的に徴収(これに相当する行為を含む。)するようなことをしてはならない。

に反してしまうことになる。

 二つ目は、学校の冷暖房が機能しないのは、「学校環境衛生基準」が定める教室の温度「18°C以上、28°C以下であることが望ましい」に反することになり、「校長は、学校環境衛生基準に照らし、学校の環境衛生に関し適正を欠く事項があると認めた場合には、遅滞なく、その改善のために必要な措置を講じ、又は当該措置を講ずることができないときは、当該学校の設置者に対し、その旨を申し出るものとする」という学校保健安全法の規定に反することになる。「サービスが足りない」というレベルではなく、法律違反になってしまいませんか? という指摘をPTAとしてちゃんと校長に教えてあげるのだ。

 三つ目は、PTAはメンバーだけが恩恵を被る互助会・共済会・福利厚生団体ではない。そういう事業もあっていいが、すべての子どもたちの教育振興をめざすことが基本のはずである。交通安全の見守りをするときに「あの子の親はPTAに入っていないから、危険な状況を見かけても声をかけない。車にはねられても自業自得」という人はいないだろう。

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 「もし私から事情を聞きたい場合は呼びつけてください」と申し上げたけど、うーん、望み薄かなあ。でも、5月の連絡に期待しておく。PTAで活動したい意思は示したし、条件も伝えた。

 任意の団体に加入しようと思ったら、条件をつけて交渉をすることは大事なことだ。丸ごと受け入れなければならないわけではないから。