御徒町鳩『男友達が激甘カレシになりました』

 御徒町鳩『男友達が激甘カレシになりました』がいつまでたっても電子にならないもんだから、とうとう書籍で買っちゃったぜ。

 

 内容はタイトルが語っている通りだけど、主人公である大学生・ちえが、男友達だった豪太から告白されて付き合うようになるという話だけど、主にセックスが描かれる。「いやそうじゃないよ」と言われるかもしれないけど、中心テーマはセックスだよ。

 そんなに難しい物語じゃないんだよ。

 豪太のセックスがとにかくていねいで優しいので、それまで雑に扱われてトラウマになってきたちえのセックス観を、ひっくり返してしまうのである。

 マンガとしては、2回目に描かれる、二人が結ばれるセックスの描写が、読んでいて「あー、すごく気持ち良さそうだな」とか「幸せそう」とかそういう気持ちが素直に起きる。「完全平等」というわけでもなくて、男性側にやや征服感・操作感があるという軽い歪みがある感じが、ぼくの心を捉えて離さないのである。

 個人的に、ちえの白眼がちな表情が好みで、マンガ的には美少女に描かれているちえの親友のみさきに比べると、その「白眼」部分にリアリティを感じてしまう。

 第6話で豪太とちえが最初に出会ったエピソードが描かれるんだけど、そこで最初に出てくる、ちえがハンバーガーとおぼしきものを食べている無防備さのコマで、「あー、ちえ、かわいい」と印象付けられた。

御徒町鳩『男友達が激甘カレシになりました』大誠社

 もともとめちゃコミの宣伝としてぼくのSNSなどにネット広告として流れてきたのだが、無料2話を読んでそれ以上課金できなかったために、読むのをあきらめていた。そこへきて、書籍化の情報に接したためAmazonに行ってみたのだが、電子書籍はない。仕方なく、GWで出かけている最中に出先で買ってしまったのである。

 

 御徒町鳩は、特殊な能力で犯罪者の心を読む少女を描いた『ファンタジー』で魅了された。以後いろんな作品を読んだが、セックスが物語の中で重要なポジションを占めて、しかもわりと気持ちのいいものとして描かれていることに好感を持った。