新語・流行語大賞トップテン「ご飯論法」受賞でのスピーチ

 『現代用語の基礎知識』選、ユーキャン 新語・流行語大賞トップテンに「ご飯論法」が選ばれ、ぼくは、上西充子教授と共同受賞させていただきました。

 その時のぼくのスピーチを下記の記事から転載しています。書き起こしありがとうございました。

note.mu

 ぼくは、今年の重大なニュースの一つが、森友問題に関わる公文書改ざんの発覚だったと思っています。民主政治の危機です。そのことに関わる言葉としてスピーチできたのは意義のあったことだったなと思っています。

 なんども言ってますけど、この論法についての発見は上西さんによるものでした。論法として問題を提起することで、相手がすり替えようとしているものが見えてきました。

紙屋高雪のスピーチ(書き起こし)

 ブロガーの紙屋と申します。今日、選んでいただきまして、どうもありがとうございます。


 今日、話を聞くと、他の国語辞典(大辞泉)でも(「新語大賞」の「次点」として)この「ご飯論法」を選ばれたっていう話を聞いてて、ちょっと私自身もびっくりしています。

 といっても私自身は、上西さんの話をツイッターで「ご飯論法」と名前を付けただけなんですけども、ただ聞いた時にですね、初めて「あ、これ森友の問題でも、加計の問題でも、すごくよく見る論法だよね」と。政権全体にこれが広まってるんじゃないかと、すごくビックリした記憶があります。

 例えば、森友問題で佐川さんっていう財務省の局長だった人がいますね。あの方が「文書は、捨てたことは確認しました」という答弁をしたんです。その時に、その後文書が出てきちゃって、「あなた、確認したって言ったよね」と証人喚問で追及されちゃったんです。その時に佐川さんが「いや、確認したっていうのは、文書を1年で捨てるという、そういうルールを確認した、そういう意味なんですよ」っていう言い訳をされたわけですよ。つまり「私、一般的なルールを確認しただけであって、実際に文書を捨てるところを目で現認したわけじゃありませんよ」という、そういう開き直りをやったわけです。

 これ、典型的な「ご飯論法」だなというふうに思いました。「ご飯」という言葉をすり替えてやるのと同じように、「確認する」という言葉をすり替えてやるっていうやり方ですから。調べてみると官房長官もやっているし、首相秘書官も、さっきもありましたけれどもやってるし、政権全体に広がっているわけですよ。

 昨日、ちょうど M1グランプリがありましたけれども、その言葉のすり替えでコントやってるみたいなもんなんですね、これ。政権全体がコントやってるみたいな。だから、もともと昔から官僚っていうのは、あいまいな答弁とか、ちょっと小難しい答弁をするっていうのはやってたんですけれども、そういう「わかりにくい答弁」じゃなくて、言葉をすり替えて「嘘を言う」、「フェイクを言う」、そういうやり方だと思うんです。

 だから国会の答弁というのは、民主政治の基礎になっているので、それが、フェイクが積み重ねられていっちゃうとですね、政治全体がフェイクになっちゃう、そういうふうに思います。なので、そういうところの危機感が、「ご飯論法」と聞いたとき、最初笑われる方もいらっしゃると思うんですけども、「実はそれは笑い事じゃないんだな。恐ろしいことなんだな」という、そういう危機感が今回、こういう形で選ばれたり、受賞につながったのかなというふうに思っています。

 どうもありがとうございました。