読者からの質問


 拙著『“町内会”は義務ですか?』をお読みいただいた読者の方から、同書に掲載されている、ぼくが会長をつとめていた自治会の会計報告をみて「この中にはなぜ電気代がないのか?」という質問をいただきました。


 まさに、それはぼくの本のテーマの一つなんですが(笑)、質問された方は、防犯灯などの電気代負担が「当たり前」だという感覚をお持ちなのだろうと思います。しかし、拙著の中で書いてあるように、防犯灯を町内会・自治会の管理にしていないところも少なくないのです。たとえば東京23区ではもう行政に移管しちゃっているところが多いんじゃないでしょうかね。
 そしていわゆる「団地」には防犯灯にあたるものがありません。
 かわりに共用灯がありますが、共益費で負担されています。共益費は、自主的な町内会・自治会のお金ではなく、準家賃的な強制性を持っています。


 URの場合は、この共益費負担ははっきりと自治会管理からは分けられていて、自治会の連絡協議会にあたる「公団住宅自治会協議会」はその使い道や公開に対して関与を要求しています。
 これに対して、公営住宅市営住宅・県営住宅など)では、自治会が共益費をいっしょに集めて電気代の支払いにまで関与しています。強制的性格を持つもの(共益費)と任意的性格を持つもの(自治会費)がどちらも自治会によって集められています(そうでない自治会もあります)。これが拙著で紹介した2005年最高裁判決にまでいたるトラブルに発展した一つの原因となっています。


東京新聞:自治会脱退トラブル 宇都宮でにらみ合い 市は静観:社会(TOKYO Web) 東京新聞:自治会脱退トラブル 宇都宮でにらみ合い 市は静観:社会(TOKYO Web)


 このケースもそうなんですが、防犯灯費用のような社会インフラ=強制拠出的性格のものと自治会費のような自主的性格のものをまぜるとトラブルになりやすい。そのためにも「自治会は任意・ボランティア」という原則をはっきりさせておけば、「防犯灯をつくるのもボランティア」「それが不公平と思うなら税金で」というふうになると思うのですがね。