生活保護の不正受給と相続税の非違件数


 福岡市が5月くらいから「生活保護ホットライン」っていうのをはじめるそうだが、「市民からの保護を要する人に関する情報」っていうのはいいんだけど、「生活保護に関する不正行為等の情報」「その他の生活保護の情報(アルコールやギャンブルなどによる生活の乱れ等)」っていうのはひどい。
 市議会で共産党議員が質問している。
https://www.youtube.com/watch?v=ntfuyjOlgFI#t=55m15s


 「生活保護世帯は酒飲んだらダメなの?」「ぜいたくな食事をしてたり、立派な服を着てるのも通報対象になるの?」「そもそも誰が生活保護受けてるか、市民は知らないはずでしょ。守秘義務があんのに。いい加減な情報集めるのに公金使うわけ?」とか聞いている。


 「ええっと、電話で正しい知識も普及できますんで」とか、答弁してるけど、相当苦しい言い訳だな。市民監視で、生活保護世帯を「二級市民」扱いして、スティグマを与えようとする気満々である。


 まあ運動をしている人なんかのところではすでに知られていることだけど、生活保護の不正受給は全体の0.5%程度である。

生活保護 「水際作戦」許されない/参院決算委 辰巳議員が調査要求 生活保護 「水際作戦」許されない/参院決算委 辰巳議員が調査要求


 この辰巳議員の質問で具体的数字を知ったのだが、

辰巳氏は、大阪府枚方市で2011年に明らかになった不正受給184件のうち収入の無申告・過少申告が103件あり、そのうち高校生のアルバイトの無申告が4分の1にあたる27件だったことを紹介。「高校生自身がアルバイトをしていることを親に黙っており、世帯主が知らなかったということや、そもそも高校生のアルバイト収入を申告しなければならないことを知らなかったという人も少なくない」と指摘し、ケースワーカーの人員を増やし、個々の実態に即して柔軟に対応するよう求めました。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-04-08/2014040801_04_1.html


ということだそうである。

 他方、相続税はどうなのか。


 年間に日本中で120万人くらいが死ぬんだけど、そのうち、相続税を実際に払うのは5万人前後しかいない。*1 基礎控除が5千万円。プラス相続人1人につき1千万が控除される。6〜7千万の課税財産をもっている家はそうそうないってことだ。
http://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2013/sozoku_shinkoku/sozoku_shinkoku.pdf


 んで、そのうち、「申告漏れなどの非違(違法行為)」がどれくらいあるのか見てみると、1万件くらいなんだよね。*2
https://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2013/sozoku_chosa/index.htm


 非違件数1万÷相続税申告件数5万=20%


ということになる。
 前に、「国税庁が発表した相続税の申告漏れ等の非違件数割合は8割」という情報がよく流れていたけど、あれは調査に入った件数のうち8割ってこと。つまり「あそこはあやしい」といって踏み込んだケースのうちの割合なので、8割とか9割になるのはある意味で当たり前なのである。これを不正受給の割合と比較するのは正しくない。


 よって、申告件数を母数にすれば正しい比較になる。
 この比較でいえば、相続税生活保護2540倍もの「不正」があるということになる。
 だからといって「相続税ホットラインをつくれ!」とかは言いませんよ。


 そういえば、都知事が5千万円を受け取って辞任し、不記載という「違法」で罰金払ったんだけど、あれも知事数を分母にしたら、1÷47=2%で、生活保護不正受給の4倍ある。「首長政治資金ホットライン」とかどう?

*1:相続税の申告書 (相続税額があるもの) の提出に係る被相続人数。

*2:事務年度と年度は時期がずれているが、たいだいの対応期間だと思ってくれたらよい。