上田惣子『マンガ 自営業の老後』


マンガ 自営業の老後 書店で手にとって買った。
 自営業(イラストレーター)である著者がこのまま仕事が枯れていく不安にかられながら、自営業でどのような老後を過ごしている人たちがいるかを取材したり、どう対策をとったりしたらいいかを専門家に聞いたりしている。


 本書を読んでいいると、あれこれしゃべりたくなる
 へえ、そうなんだ、とか、いやそうじゃないだろ、とか。反論したりサカナにしたりして。
 あれこれ不備があるとか、そこをもっと…という不満があるけども、そういうものは、不思議なことに本書の瑕疵としては現れず、この本を起点に自分の老後や他の人との老後の話題に想像が広がっていった。
 実際、この本を読んだ後に、新聞で大江英樹・井戸美枝『定年男子 定年女子 45歳から始める「金持ち老後」入門』(日経BP社)の紹介記事(読売夕刊2017.4.17)に目が向き、それを買って本書と比較してしまった。


 そういう意味では楽しめる一冊である。
 以下に書く点も、「本書の不十分点」というよりも、ツッコんで楽しむところ、話題にするところ、というほどの意味で考えてもらいたい。

1億円も要るのかよ

 第1章は「老後に備えまくってる30代デザイナー加藤さん」。
 雑誌特集を読んで貧乏老人になるまい、自分より収入の少ない人が60までに1億貯めている、というので老後の資金を貯めようとするのである。
 加藤さんが老後に備えて貯めている資金というのは、個人年金確定拠出年金・小規模共済、投資信託などである。
 えー?……読み間違いでなければ、毎月25万円くらい貯めている(資産運用にブチ込んでいる)ことになるんだけど、25万円……?

 月25万円×12ヶ月×引退までの年月(60-36年)=7200万円

 7200万円ですか!
 月25万円も貯められるなら不安はなかろう
 1億目指しているんだから*1、そりゃ、そういうことなんだろうけど、7200万円も老後資金があったら安泰だわな。
 しかも、加藤さんは結婚していて2児の母。夫はサラリーマンだ。
 夫がサラリーマン、という時点で、自営業夫婦とは違う「見通し感」とでもいうべきものがある。
 例えば毎月25万円貯めているお金は、老後資金だけのようだが、2児の教育資金はどうしているのか。夫の給料からストックしているのか。


 そもそも、「1億円」に根拠があるのだろうか。
 ここが一番肝心なところだ。
 老後不安の最大の根源は、この根拠が不分明であるからだ。
 加藤さんは総務省の「家計調査」を用いて、高齢世帯夫婦の収支差が月6〜7万円になることを指摘する。早い話が、毎月6〜7万円の赤字ってこと。足りないのである。
 これは例えば以下の記事でも同じことが確かめられる。

2017焦点・論点/生活困窮者支援の現場から/NPO法人「ほっとプラス」代表理事 藤田孝典さん/「死ぬ間際まで働かざるを得ない」 持続しない社会は変えよう 2017焦点・論点/生活困窮者支援の現場から/NPO法人「ほっとプラス」代表理事 藤田孝典さん/「死ぬ間際まで働かざるを得ない」 持続しない社会は変えよう

となれば、その不足分が蓄えて備えるぶんだということになる。

 7万円×12ヶ月×(女性平均寿命90歳−60歳)=2520万円

 何かに備えたとしても3000万円と考えるのが妥当ではないか?
 加藤さんは、男性の方が先に死ぬから単身高齢女性になると収入が減るという問題を提起している。ただ、高齢単身世帯になると確かに収入は減り不足は出るが、不足額自体は減るのである。同じ総務省の「家計調査報告」(2016年平均速報結果の概要)のp.43を見ると月3.6万円が不足分である。

 平均寿命の差は7年だが、10年くらいを取っておこう。


 7万円×12ヶ月×(夫婦死別80歳−60歳)=1680万円
 3.6万円×12ヶ月×(女性平均寿命90歳−夫婦死別80歳)=432万円
 1680万円+432万円=2112万円


 逆に、備えるべきお金、減ってるやん
 『定年男子 定年女子』で批判されることになる、「老後の備え3000万円」説の根拠はここにあると思うのだが、とりあえず「3000万円」説に準拠すればいいのではないか。これ以上備えることは、きりがない。
 そりゃあどんなものだって「不測」のことはある。
 つうか、そもそもそんなに備えられねえ。
 倍の余裕を考えたとしても6000万円で十分だろう。1億円もいらない。
 ちなみに、「1億円」説の元になっているのは、生命保険文化センターの試算ではないか。「ゆとりある老後生活に必要な生活費」は夫婦で月35万円だとされているので、夫婦ともに90歳まで生きるとすれば25年をかけて1億円強……しかしこれ、「収支差」ではないから、備えるべき額そのものではない。収入がどれだけあるかで備えの額はかわってくる。
 加藤さんはなぜあんなにも貯めようと思っているのだろうか?


 大江・井戸『定年男子 定年女子』では、その人がどれくらい老後で使おうとしているのか、どれくらい収入があるかを見極めることが大事だとする。

「豊かな老後には1億円必要」という言葉に漠然と不安になるよりも、自分はいくらかかるか? を計算してみたらどうでしょう。(大江・井戸kindle209/1602)

具体的に年金(+労働収入)ではいくら足りないのか把握する

 そこで本書、『自営業の老後』でも2章は「90歳までの生涯収支を計算してみる」である。編集者は大江・井戸と同じことをアドバイスする。

「不安」っていくらお金が足りないのか
具体的にわかると消えるらしいですよ
「生涯収支」を出してみましょう!
(上田p.42)

 そして、なるほど、現在の収入・支出を明らかにして、老後の収入・支出を明らかにしてみよう……とあるのだが、ここの具体性がイマイチなのである。
 この本を一緒に読んだ某氏は「上田の生涯収支らしいもんがp.49に出てくるけど、肝心のところが消してあるんだよね。そのあたり、丸裸になる覚悟でやらんかい!」と言っていた。まあナマの数字を出さず、操作した数字でいいんだけど、具体的な計算を載せてほしいんだよなあ。


定年男子 定年女子 45歳から始める「金持ち老後」入門! この点、大江・井戸『定年男子 定年女子』でも、資産までは公開していない。しかし、大江の毎月の収支は、具体的な数字で出されている。
 (上田の本で書かれているような)「ストックとフロー込みの収支差」という考え(生涯収支)では、問題が分析的に提起されない。*2
 (大江・井戸本にあるように)毎月の収入がいくらで、支出が大体どれくらいか、をまず見極めることが必要で、その不足分を資産(貯めたもの)で補う、と考えれば問題はクリアになる
 上田の本ではp.45〜49までに生涯収支の出し方が書いてあるけども、この思想がクリアではなく、しかも「家をもう1軒買いたい」という、けっこう「ぜいたく」な欲望が入り込んでいるので、わかりにくくなっている(汎用性が低い)。


 大江・井戸本では、家計簿を3ヶ月くらいつけて見るか、年間収入から大きな支出・貯蓄を引いて12で割って1ヶ月の平均生活費をだすカンタン方法をすすめている。
 こうして現役の現状の支出(生活費、生活レベル)を見極めた上でどうダウンサイジングしたいかを盛り込めと指南する。大江の「思想」がそこに書いてあって色々興味深いのだか、そこはそれ、実際に読んでくれ。

重要なのは収入の金額の多寡より収支です。(大江・井戸292/1602)

 そして、この収入を見極めるさいに、非常に役立つのが「ねんきん定期便」を送ってくる「ねんきんネット」(日本年金機構が運営)なのだ。ベースとなるのはやはり公的年金収入。それがいくらもらえるのかは、これでざっくりとわかる。
 大江・井戸本ではこの活用を勧めている。
 ぼくも今回自分の年金額(今後同じ収入が職場からもらえるとして)が初めてわかった。予想していたよりも少し低かった。
 つれあいはぼくよりも倍も収入が多いので、夫婦でならわりと余裕を持って暮らせると思うが、もしつれあいが先に死んだり、離婚したりして単身で生きていく場合を「悪いケース」として想定しなければならない。
 年金額がわかって本当によかった。


 公的年金の額が、老後資金を考える最も重要な情報ではないか。
 そこから、老後資金をどれくらい備えるかの根拠が出てくるのだから。


 大江・井戸本は、こうした計算思想が明確なのだが、上田本ははっきりしない。そこがクリアに対比できる点では両書の比較は愉快であった。


 大江・井戸本では、次の言葉が至言であると思う。

長年、証券会社で働き、人に運用をすすめてきた人間がこんなことをいうのはなんですが、〔資産――引用者注〕運用は苦手ならしなくていいんです。というより、定年間際になっていきなり運用を始めることは絶対すすめられません。(大江・井戸292/1602、強調は引用者)

稼いで無駄遣いせずに貯めた人の勝ちなんです。実現できるかどうか分からない仮定の3%などという不確実な運用よりも、働いて得るお金は確実です。私は38年間証券会社で営業マンをして、大金持ちの人をいっぱい見てきましたけれど、投資で一財産築いた人はごくまれにしかいません。本業で一生懸命稼いで、無駄な支出を避けて貯めた人が資産をつくっているんです。お金がある程度のかたまりになったら運用を始めるのは合理的だと思いますが、老後の不安を運用だけで解決しようと考えるのはおすすめできません。(同306/1602、強調は引用者)

 まったくその通りである
 どうすると運用の利回りがトクなのか、などということは、庶民にはどうでもいいことではないか。別の記事でも表明したが、ほとんど利息がつかない銀行の普通預金に突っ込んでおいても、老後の不足分を補う額だけたまっていればそれでいいではないか。


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 第1章で加藤さんが叫んでいる、

情報を知ってるだけで収入や借金に数十万〜数百万円の違いが出ることもある!!(上田p.30)

ということはよく言われることで、焦燥感を生むもとになるんだが、そもそもローンや資産運用をしなければいいとぼくは思う。

最低生計費付近で生活する佐竹さん

 さて、どちらかといえば本書(上田本)に厳しいツッコミをしてきたが、本書のタイトルから予想されるような「自営業の老後のルポ」として一番面白いと思ったのは、3章の佐竹さんのケース紹介である。
 佐竹さんは、フリーライター。65歳。
 学生運動をして就職がうまくいかず、親のコネで労働金庫に入り、結婚・失職・離婚でフリーランスに。
 単身のフリーライターの男性。
 これだよ、これ。
 こういうケースの具体的な収支、生活を聞きたかったんだ!


 そしてそれが公開されている!
 「自分の生涯収支は公開しないのに、佐竹さんのは公開するんだ。ゲスいな」とは先ほどぼくと一緒に本書を読んでいた某氏。


 佐竹さんの収入の基盤は年金とアルバイト(配膳)の収入である。「月々の年金5万円+少々のバイト」(p.56)。ただしアルバイト収入が太い。繁忙期にかなり稼ぐが、安定分だけ見ると、生活保護的な最低生計費ギリギリだろうか。
 フリーライターとしての収入は変動が大きくて書いてない。
 つまり、経常的には最低生計費程度を稼ぎ、プラスアルファとしてライターとしての収入や繁忙期のプラス分がある、というようなイメージ。具体的な額は本書を実際に読んでほしい。
 支出は、変動がいろいろあるようだけど、だいたいその収入を少し下回る程度である。


 佐竹さんの1日も書いてあるが、午前中はジムで泳ぎ、午後は映画・DVD、原稿書き、そして夕食後に「仕事」(アルバイトなどだろう)か、読書。12時に寝ている。「ほぼ毎日このスケジュール」(p.62)。


 佐竹さんの考えと生活は、ぼくが想定する老後に一番近い。
 なにこの「佐竹さんは俺だ」感。
 どこが「俺」なのか。
 生活のレベルが、1人暮らしになった時に、(現行の生活保護基準での)最低生計費水準でよいだろうとする発想が一番親近感がわく。一般的にこれでは「健康で文化的な最低限度の生活」はできないだろうとされるし、ぼくもそう思うのだが、ぼく自身の生活に関わっていえば何とかイケるのではないかと思っている。

ジムで朝シャワーをすませるから水道・ガス料金安いの
ジムってシャンプーもあるしいいよね(p.63)

 これこれ。
 これですわ。
 ぼくも結婚同居前、東京に住んでいた頃は、フロなしアパートに住んでいて、ジムに通っていた。東京の銭湯は1回400円を超えるから毎日入ると月1万2000円もかかってしまう。ところが、ジムに行くと、まずシャワーがあってボディーソープやシャンプーがある。その上、体をあたためるジャグジーがある。深夜なら月5000-7000円で(当時は)可能だった。ぼくは家にガス引いてなかったんだよね(うむ、全然「健康で文化的な最低限度の生活」じゃねえな)。

家賃の問題さえなんとかなれば…

 佐竹さんの場合、住居費がかかっていないというアドバンテージがある。
 友人の家を無償(固定資産税だけ払っている)で借りている。
 ぼくも東京の独身時代は、23区内であるにもかかわらず月3万円のぼろ木造アパートだったが、家賃という固定費を低く抑えることでかなりの選択肢が広がる。住居費を除く生活費は工夫次第で何とかなると思うからだ。


 家賃の問題は、老後の資金を考える上でのネックにもなる。
 持ち家を準備すれば住居費は低くなるけども、その前に住宅資金を準備しなければならなくなるからだ。
 佐竹さんのように賃貸や借家を前提にしてみる。
 佐竹さんのような「原稿書き」という生活をする場合、どこでも場所を選ばないように思える。
 ただ、原稿を書く仕事について、いつも声がかけられるのは、やはり首都圏、できれば都内、さらにいえば23区だろう。
 配膳のアルバイトというのも、おそらく地理的条件があるはずで、佐竹さんのような「仕事をしながらの年金生活」は、「仕事がある首都圏」という制約が出てくるのかもしれない。
 場所さえ選ばなければ、公営住宅の、空いている古い・不便なところ(随時募集)を狙える。佐竹さんのようなケースでは、原稿がネットで遅れて、いつでも編集者から声がかかるという条件があるなら、また、アルバイト先に交通費の範囲内で行けるなら、選択肢はかなり広がるだろう。
 賃貸アパートは今後ダブつくようだから、自治体などが家賃補助制度を設けてくれれば、かなり助かる。
 家賃=住宅費用を社会保障に移転することは、切実で、しかも実行可能な政策課題である。


 というわけで、佐竹さん。
 上田が、会うなり、毛玉のついたレモン色のセーターを見て、「このユルさ! 他人とは思えない!」(p.56)と叫んだように、ぼくも他人とは思えなかった。

公的年金に掛け金を払わず民間保険に加入する愚

 第5章「年金の専門家 田中先生に会いに行く」、6章「年金、払いに行ったよ!」、10章「保険のおはなし」は、公的年金と民間保険の話である。
 「田中先生」とは社会保険労務士であり「年金研究家」として活動する田中章二である。
 この部分は、何がびっくりするって、上田が、国民年金の掛け金もはらいもせずに、民間保険にあれこれ入っているという点であった。
 これはフリーランサーや自営業者にけっこうあるらしくて、「どうせ(公的)年金はもらえない」「年金は破綻する」「掛け損」だと思っている人が少なくない。

 公的年金だけでは暮らせないだろうが、「死ぬまでもらえる保険は公的年金しかない」(p.95)*3

 田中先生は

保険も大事だけどやっぱり貯蓄も大切!
公的なものに加入して民間のは掛け捨てだけにして残りのお金を金融機関に定期積立して満期になったらそれを定期にして再度積立する……何かあっても基本的には公的年金と健康保険とかの給付でまかなえればいいと思うよ(p.167、強調は原文)

という。

 この本を読む限りで、上田夫婦には、子どもはいなさそうである。
 となれば、生命保険も学資保険も不要だろう。
 上田は思ってしまう。

それってもしかして
貯蓄してたら民間の保険いらないってことかな(p.168)


 上田は、がんで医療保険から給付を受けたこともある。
 しかし、それでもバッサリ見直してしまうのである。


 ぼくもこの立場である。
 民間保険絶対不要論ではなく、必要としている人はいるし、スポットで活用すべき場面はある。
 ただ、基本は、公的なものと貯蓄をできるだけ活用したほうがいいと思っている。
 独身時代には生命保険など入らずにひたすら貯金を増やして、それが子どもの学資分ほどにたまっているのであれば、公的な遺族年金もあるのだし、結婚後も生命保険は入らなくてもいいと言えるほどだ。いやまあ、どれだけ貯めたか次第だけどね。



 本書12章「一生黒字でいられる会計の知識」は、フリーライターが、どうやって老後を食いつないでいくか、という話で、ここも興味深かったが、まあそこはホレ、本書を買って読め。


ツッコんで楽しむ、老後資金を考えるきっかけとして

 もう一度、この本の評価に戻る。
 上田自身のスペックは、注意深く見るとなかなかスゴい。
 40歳くらいまでは年収が1000万円あった時期も一定ある。
 さらに、子どもがいない。つまりその分だけ「コスト」がかからない。
 しかも家を1軒持っていて、さらに老後にもう1軒買おうという野望まで持っているのである。


 タイトルに惹かれた人は、自営業って一体老後どうしてんだ? 国民年金だけで食っていけんのか? ということに興味を持って買ったに違いない(それは俺だが)。つまり「ルポ」を期待しているのである。
 ただ、p.68に

雑誌の「貧困老後」の特集をペラリとめくるだけで、悲惨な自営業のサンプルがたくさん。

とあるように、このテの話はもうけっこう知られているのだろう。
 「『なんとかならなかった自営業者』の例は事欠かない」(p.69)、つまりこうした層は生活保護を受けているのだろう。上田は、そのことを自分が今さら書くこともないだろうとふんだのだ。
 かわりに「備えてなかったのになんとかなかったラッキーな例」を探そうとしたが、「かなり少なかった」(同前)という。その希少な一つが「佐竹さん」なのである。
 そのために、自営業の老後についてのルポの側面と、「こうすればいい」というハウツー本の側面が、混在した本になったようである。そういう事情を知ってみれば、まあこういう作りになるのかなと思わないでもない。


 ある意味、中途半端な本である。


 だけど、それがいい
 いろいろツッコミを入れながら読む本だと思う。
 ツッコミを入れる中で、自分の老後の蓄えについて、あれこれ考えを巡らせる、そういうきっかけにすべき本なのだ。
 最初にも述べたように、ぼくはこの本をきっかけにして、老後資金について書かれたいくつかの本を手にすることになった。広がりの起点になったのである。


 さて、そういう「広がり」を得て、まだ書きたいことがあるんだけど、それはこの書評記事ではやめておこう。
 書きたいこととは、老後に「働く」ということの是非についてだ。
 この問題は、大江英樹・井戸美枝『定年男子 定年女子 45歳から始める「金持ち老後」入門』(日経BP社)について書いた記事を別に作りたいので、そこで書くつもりである。いや、書かないかもしれんけど。

*1:厳密にいうと「めざす」とはどこにも書かれていない。

*2:一応、「短期の収支を出してみる」という手順は書いてあるのだが、この点がキモだということを明示していないのである。

*3:まあ、ざっくりいうとね。例外は公的年金にも、民間の保険にもある。