「ザ・スニーカー」に『百日紅』のレビューを書きました

百日紅 (上) (ちくま文庫)
 ライトノベル誌「ザ・スニーカー」2011年4月号に杉浦日向子の『百日紅』のレビューを書きました。


 すでに報道されているのでご存知とは思いますが、「ザ・スニーカー」が休刊となります。というわけで、ぼくの連載も最後となります。
 最後なので、「新作」にはこだわらず、ぼくの「オールタイムベスト」である同作をとりあげさせてもらいましたし、ついでに、角川の「反・都青少年条例改定」の態度に敬意を表して、そのことについても書かせてもらいました。ただ、単純な反対ではなく、虚構を扱うことのリスクということに触れました。

 「スニーカー」でのレビューは、5年になりました。
 よくも書きたい放題書かせてくれたものです。編集部に感謝いたします。また、根気よくつきあっていただいた3人の担当の方にもこの場を借りてお礼を申し上げます。

the Sneaker (ザ・スニーカー) 2011年 04月号 [雑誌] この連載のなかで、Aという作品を、他の有名漫画家のマンガBと比較して論じるというのをやったことがあります。関連すると思われる作品をいろいろ読んでレビューをしたのです。ぼくのレビューをみたAの作品の漫画家が、「実はBを意識して描いた。しかしそのことを指摘した人は初めて」と言ったことがあります。

 この話を担当編集者の人が嬉しそうに伝えてくれて、ぼくも心底うれしくなったものです。読者に新しい「読み」を提供できたからです。「これから、今回のレビューを越えるものを意識して書いて下さい」と注文をうけ、よしがんばろう、とか素直に思いました。

 ただ、なかなかそういう努力はその後うまくできませんでした。

 しかし、今思い返しても、そういう努力は実に大事だったなあと思いましたし、編集者がそういう激励をしてくれたことがいつまでも心に残りました。