渡辺輝人『ワタミの初任給はなぜ日銀より高いのか?』

あなたは残業代の計算ができるか

ワタミの初任給はなぜ日銀より高いのか? ナベテル弁護士が教える残業代のカラクリ  この本を読んで一番驚いたことは、自分がまともに残業代の計算方法を知らなかったことである。残業代の計算は、実は複雑なのだ。

この複雑さが労働者による残業代請求が困難になっている事情の一つだと考えられますが、今まで一般向けにきちんと解説した本があまりありませんでした。(p.17)

サラリーマン向けに、残業代の計算方法を丁寧にした本もほとんど見あたらないのです。これは日本の労働者にとって本当に不幸なことだと思います。(p.124)

 えっ、そんなことないだろ、って思うんだけど、どうもそうではないらしい。詳しく調べたわけでもないが、確かにぼくの持っている解説書類にも詳しい計算方法は書いていない。本書によれば労働法のスタンダードな教科書にも、残業代計算の基礎となる時給の割り出し方については詳細が書いていないそうである。
 ぼく自身がいろんな人の問い合わせに答えたりするときは、インターネットで一つひとつ算出に必要な条件を調べていた。


 具体的にみよう。
 たとえば、残業代は、よく賃金の125%だと言われるのだが、その「賃金」って、何か。ぼくの給与明細表には「給与」とあるんだけど、その下に「通勤手当」がある。これを「給料」に入れていいのか? そして、その月に有給休暇を3日とっている場合はどの日数、どの時間で割ればいいんだ? 実労働時間? それとも……などなどである。


 著者である弁護士の渡辺輝人は、「月給制の基礎時給計算は複雑です」(p.124)と述べているように、たしかに複雑である。

現在、わが国において会社の月給制サラリーマンに対する“賃金泥棒”〔いわゆる「サービス残業」のこと――引用者〕が横行している背景には、月給制の残業代の計算方法が複雑すぎることもあると思っています。(p.124)

 本書の6章はこの計算の解説に当てられている。「もういい加減、嫌になりますよね」(p.125)とあるように、難しくはないが「面倒くさい」という印象をもった。本書の大きな意義の一つは、この計算方法を丁寧に解説することで、残業代とはどういうものかをわかりやすく解説したことにあるだろう。そして、読者である労働者はこの計算方法を会得するという武器を入手することで、「自らの権利を実践する」(p.7)、つまり残業代を請求するようになる、そのことで、「労働者全体の権利が向上し、過労死やブラック企業が一掃されていくことがこの本の究極の目的」(p.7)なのである。


 「労働者全体の権利が向上し、過労死やブラック企業が一掃されていくことがこの本の究極の目的」とはまた大きくでたな。
 しかし、もし労働者が自覚的に残業代を請求するような社会になれば、たしかに「労働時間規制の第一歩」(p.14)になる。
 本書にあるように、これまでは「残業代などを請求したら会社にいられない」「白い目で見られる」という雰囲気だった。しかし、「若者の会社に対する帰属意識が薄くなり、あるいは面従腹背するようになっています。私のところに相談に来る人にも、最初から在職中に自ら作成した手帳やメモを携えて来る人がたくさんいます。若者の意識は『辞められないから請求できない』から『ひどい会社は辞めて請求してやる』に変わりつつあるかもしれません」(p.22)という。

残業代を請求しようとする流れ

 本書のプロローグには、「残業代バブル」という言葉がある。ちょっとわかりにくいのだが、これは、残業代をどんどん請求する人がふえる、そしてそれを儲け口にする弁護士事務所などが増えるかもしれない、という言葉である。
 グレーゾーンの金利が否定され、サラ金の過払いを取り戻す動きが大きく起こった。それにある種の弁護士事務所や司法書士事務所が群がって「過払いバブル」が起きたことと対比して渡辺はこう言っているのである。


 渡辺は「私は“残業代バブル”は起きない」(p.7)とは述べているが、残業代を取り戻す動きは確実に広がっていると、ぼくは思う。そしてそれはよい権利意識の流れではないかと感じている。


 実は先日、安倍首相の肝いりである国家戦略特区で開催されている「雇用労働相談セミナー」に行ってきた。そこで使用者側の弁護士が語っていたのだが、「過払いの報酬が簡単にとれるというので、そこに群がった弁護士事務所があるが、もう過払いはどんどんなくなっていくので、その次のターゲットとしてこういう弁護士事務所がねらっているのが残業代だ」と言っていた。だから、どんなふうな対策が必要なのかを弁護士はいろいろしゃべったのだが、相手側、つまり使用者側から見ても、こういう動きは着実に広がっているわけである。だって、数百万円とれるもんね。
 同じセミナーで、別の使用者側の弁護士は「残業代とかを請求するのはたいがい会社を辞めた後です」と言っていた。つまり、働いているうちは請求しないけど、縁が切れたらきっちり記録を残して会社にどーんと請求するのだという。
 使用者側の弁護士が話していた事例では、「労働者側のメモを同僚に見せたら『こいつは絶対にこんな残業をしていない』という。しかし会社側には記録がない。だから何とか対抗できないかということで、そのビルの守衛がつけていた最後の退出者の時間記録があった。それで労働者のメモと矛盾する日は裁判で認められなかった」という話を披露していた。


 まあ、そんなふうに、お互いが知識を高め合っていくのは悪くないことだと思う。労働者はさらに厳密な時間記録をしていく。その相互作用で、労働時間にセンシティブな職場ができるのはいいことではないだろうか。


 「辞める時に請求する」というのは、労働運動を知る人間たちからするともの足りない。なぜ在職中に堂々と団結して闘わないのかと。ただ、今の若い人たちの権利意識をリアルに見た時に、こういう闘い方は現実的であり、なかなか優れているとも思う。
 だいいち、不気味ではないか。
 犬のように従っていると思っていた労働者が辞める間際に数百万一気に請求してくるのだから、「こいつがそうかもしれない」「いやあいつかもしれない」と会社の方も「見えない敵」にピリピリすることになる。
 まずはどういう形でもいいから請求するようになってほしい。

 実は本書p.142で明らかにされているが、6章で書かれた残業代計算は著者の所属する法律事務所(京都第一法律)のホームページで、計算用エクセルブック「給与第一」をダウンロードできるという(無料)。


 

「固定残業代」とたたかう

 また、本書のもう一つの重要な点は、タイトルの「ワタミの初任給はなぜ日銀より高いのか?」と関係しているが、これを読めば求人票などの「月収の高さ」のカラクリがわかるということである。
 別に著者もこの答を書いたらネタバレになるとは思っていなさそうなので、答を書くけど、残業代や深夜早朝に働く分の割増があらかじめ折り込まれているということなのだ。日銀の方にはそれが折り込まれていない、ということである。
 いわゆる「固定残業代」だ。
 初めから残業させることを前提としている。
 これによって、求人票上であたかも給料が高いかのような「釣り」をすることができるし、現場ではもっと多くの時間を働かせていてもこの固定された時間以上の残業代は払わないシステムになってしまう(後者は違法であるが)。また、残業代計算の基礎となる本当の給料(渡辺の言葉では「基礎時給」)が実は低いのだから、×1.25をやってもあんまり割増されないというカラクリが見えにくくなる「利点」もある。
 加えて、労働者が超過した残業代を請求しようとすると「もう払っているよ」「ウチはコミだから」と言われて黙ってしまう(これもウソなわけだが)という「利点」もある。これらは本書のp.74で触れられている。


 本書では、いくつかの企業について、求人票などでどんなふうに書かれていて、実際にはどう読むのかを解説している。これが実践的にはかなり役立つだろう。

 「クローズアップ現代」でも「固定残業代」はブラック企業の一つの手法として紹介されていた。

拡大する“ブラック企業” - NHK クローズアップ現代 拡大する“ブラック企業” - NHK クローズアップ現代

 本書のタイトルにされているように、残業のあり方の中でも「固定残業代」は、日本の残業のあり方の太い部分をなしている。


 2014年11月14日付「西日本新聞」に、「『固定残業代』固定にあらず 働かせ放題ノー 超過分は支払い義務」という記事が載った。中見出しに「厚労省 適正化へ本腰」とあった。
 「厚労省は求人票の適正化指導と、労基署による監督強化を徹底する方針だ」(同記事)。同記事ではPOSSEの川村遼平事務局長が、経営者側に誤った認識があるのと、悪用を指南する社会保険労務士の存在を指摘している。


 「固定残業代」について、厚労省ハローワークのインターネットサービスで公開中の求人票をチェックし1000件のうち145件が不適切だったとして「求人票における固定残業代の適切な記入の徹底について」という事務連絡文書を出している。

 共産党の吉良よし子が国会で質問していたが、社会運動や国会論戦がかみあって、こうした厚労省の動きになったのだろう。この記事の終わりに吉良の参院での追及を載せておくので興味のある人は読んでみてほしい。
 ここには固定残業代をめぐる求人票の問題記載の調査要求と記載改善要求の一部しか載せられないのだが、過労死基準をはるかに超える1か月百時間の残業を六か月間もやらせるという三六協定まで締結されていた大庄日本海庄やにおける従業員の過労死事件についてのくだりも、なかなか聞かせるものがあるので、興味のある人はぜひ国会会議録検索で読んでみるといいだろう。


 「固定残業代」を同議事録で10年くらいさかのぼって検索すると、吉良の質問が最初に出てくるから、おそらく日本で最初に国会質問で取り上げたケースになるんじゃないだろうか。

社会運動にしようぜ

 こういう告発をもっと現場で、とくに地方都市で調査してどんどんやったらいいのではないか。つうか、地方都市に住んでいるぼくとしてはやりたいと思った。
 社会問題化しつつあるわけだから、マスコミもとりあげやすいはずである。
 本書では、

固定残業代の適法要件については、まだ「管理監督者」のような体系的な判断手法が確立しているわけではありませんが、現在進行形で確立しつつあります。(p.75)

と書いている。その要件とは、簡単に言えば、ホンマに残業代の実態を反映しているかどうかということ、ただ一つ。そして渡辺は、それを判断するための4つのポイントを書いている。そのあたりは本書を読んで確かめてほしいのだが、重要なことは、

固定残業代が違法となる場合、そもそも残業代は一円も払ってないこととなり、会社は固定残業代とされた賃金も基礎賃金にしたうえ、一から残業代を払いなおす必要があります。〔中略〕会社にとっても非常にリスクの高い制度だと言えます。(p.75)

ということだ。
 運動によってそれを顕在化させ、実際に「リスクの高い制度」であることを認識させてしまうところまで追いつめる必要がある。

 他方で、

ワタミのように一応記載したところで、労働時間に関する法律知識を持たない労働者がその意味を理解することはほとんど不可能です。(p.168)

という現状もある。だから本書が必要なのだが、労働者がみんな本書を買って読むわけではない。だから社会運動としては、その先にすすむ必要がある。

企業が労働者にそんなに残業をさせたいなら、残業時間全体をカバーできないような中途半端な固定残業代の記載をさせるのではなく、平均的な残業時間とそれに対する基礎時給、割増率を記載させればよいのです。また、このような規制は新たな法律がなくても、現行の職業安定行政のなかでできます。行政への働きかけを強めるなかで法制化すべきでしょう。(p.169)

 つまりだ。
 このような「固定残業代」の不当な使い方をやめさせ、実質的な残業代支払いの一大運動を起こしていくこと、当面求人票などの記載を改めさせること、その先にさらなる法制度の抜本改正が展望されるのである。


 「権利意識が社会全体のものとなって行くことで、はじめて法律を改善する機運が生まれるのです」(p.171)とはまさにそのとおりであり、それゆえに「残業代バブル」などと揶揄されようとも、若い人たちが残業代を請求しようとする動きを見せているのは実に頼もしい社会進歩の方向だと言わねばならない。


 本書を手がかりにした一大社会運動を起こそうではないか。

弁護士に頼むことのメリットとデメリット

 最後に、本書の「面白さ」について。
 第7章で、残業代の未払いの請求についてどこに相談したらいいかを比較して書いてあるところがある。これが読み物としてはけっこう面白い。
 たとえばこんな一節。

この本を読んだ後、社会保険労務士に事件を依頼しようと思った人は、社会保険労務士が残業代請求について書いた松本健一『弁護士に頼らず一人でできる 未払い残業代を取り返す方法』(ダイヤモンド社)を読んで本書と比べてみてください。タイトルとはうらはらに、社会保険労務士に相談するようにすすめる点も仰天する本ですが、やはり、弁護士と社会保険労務士では、資格を取得する過程で、憲法の人権の理念(残業代請求権は憲法が定める勤労権の一部です)、民法の契約理論(労働基準法民法を基礎とする特別法の側面があります)を基礎から学んでいるか否かの違いがあると考えます。(p.156)

とかね!
 弁護士は他の専門家のことを比較してどうこう言うのは言いにくいかもしれない。けれども本書ではそのあたりのメリットやデメリットが弁護士の立場から忌憚なく書いてある。

 そのあたりも楽しんでほしい。

参考:吉良よし子参院議員(共産党)の固定残業代追及

2014年3月11日参院予算委員会。以下は興味のある人だけどうぞ。

吉良よし子君 紹介された内訳でも分かるように、異常な長時間労働の強制と賃金の不払、とりわけ残業代の不払がブラック企業に共通する手口です。
 そして、労働者にこうしたひどい労働を押し付けるからくりの一つに、固定残業代制というものがあります。私のところにも、固定残業代制により安い賃金で働かされている、こんなやり方はやめさせてほしいという声がたくさん寄せられていますが、この固定残業代制に関わった違反事例はどの程度あったのか、平成二十四年度の件数をお示しください。


政府参考人中野雅之君) お答え申し上げます。
 固定残業代制度は、それ自体が労働基準法に違反しているわけでありませんことから、これまで固定残業代制度を主眼として調査を行ったことはございません。したがいまして、当該制度を導入しています事業所数について承知はしておりませんが、平成二十四年に東京労働局におきまして、固定残業代制度に関し労働基準法第三十七条第一項違反として是正勧告を行った件数は二百五十件でございます。


吉良よし子君 東京都だけでも、この固定残業代制に関わって是正勧告された事例が二百五十件にも上っているのは大きな問題だと思っています。
 この固定残業代制とは、労働者を募集する際、いかにもまともな賃金水準のように見せかけながら、実際には基本給を極めて低く設定しており、超長時間の残業をしなければ募集時に公表していた額には達しないというものです。例えば、募集広告では月給二十万円支払われるように見せかけて、実際には基本給は最低賃金すれすれの十二万円程度、残りの八万円はあらかじめ組み込まれた八十時間とか百時間という超長時間の残業をして初めて支払われる。一月の残業時間がこのあらかじめ組み込まれた残業時間に足りなければどんどん給料が減らされるという仕組みです。労働者は、低賃金で我慢を強いられるか、何とか生活できる給料をもらうために、どんな無理をしてもその規定された残業をやって過労死やメンタルの失調などに追い込まれるという仕掛けになっています。
 このように、見せかけの給与額は高く見せて労働者をだましながら、支払う賃金はできるだけ低く抑えて、できるだけ長時間働かせたいというブラック企業に都合よく使われているのがこの固定残業代制。基本給をより低く設定すれば割増し賃金額も低くなり、企業側はどれだけ長く働かせても全然腹は痛みません。中には、規定の残業時間を超えた場合でも追加の残業代を支払わないという更に悪質な企業まで出ていると聞いています。
 厚労大臣、厚労省ではこの固定残業代制の問題についてどのように認識されていますか。


国務大臣田村憲久君) 今委員からお話ございました固定残業代制度でありますけれども、今局長から話がありましたとおり、これ自体が労働基準法に違反するものではないわけでありまして、一定の時間外労働、これに対してその分だけ固定制でこれを支払うと。でありますから、この中で時間外労働が収まっておればこれは問題ないわけでありますが、当然のごとく、これを超えた分に関しましてはその差額を割増し賃金として払わなければならないわけであります。
 そのような意味で、確かに二百五十件、これ東京管内でありますけれども、これだけの違反があったと。これ全体で見ますと、固定残業代に関しての違反ではなくて全体の違反の中の一一・二%ということでございます。
 そういう意味からいたしますと、我々としては、それぞれの案件に関していろんな情報がある中において、そういうものが見られればこれは適切に対応させていただいて監督指導をさせていただいておるわけでございまして、そういうような御指摘もございますので、これからも我々といたしましてはこのような案件がございますれば厳しく対応してまいりたい、このように考えております。


吉良よし子君 全体の一一・二%というお話でしたけれども、それだけ一定程度違反の事例があるということが問題だと思うんです。なおかつ、厚労省の労働基準局監督課の担当者が東京新聞にコメントしておりまして、サービス残業が発生しやすいシステムだと認識しているというコメントも寄せられていると。そういうふうな問題のある制度であることは間違いないわけであり、そうした場合、東京にとどまらず全国的な実態調査というものを行って全体像をつかむということが必要なのではないでしょうか。大臣、お願いします。


国務大臣田村憲久君) 賃金の不払等々の案件というのは本当にかなり多いわけでありまして、これ全体として、我々としては何としてもこれを是正していかなきゃならぬと、こう思っております。その中においての一つのパターンといいますか、そういう中において今固定残業代制度というものがあるわけでございまして、これにフォーカスをするというよりかは、全体として賃金の未払、残業代の未払、こういうものを含めて我々としてはしっかりと監督指導してまいりたい、このように考えております。

〔中略〕


吉良よし子君 集計調査ぐらいはすぐにでもできることだと思うので是非やっていただきたいんですけれども、先ほど来、固定残業代制自体は問題ないとおっしゃっていますが、この固定残業代制の大きな問題として募集広告の問題があります。月給総額だけが記載された募集要項を見るだけでは固定残業代制になっていることが求職者にすぐに分からないということが、今被害を拡大しています。
 大臣、労働者の募集や求人の際には少なくとも基本給と残業代を分けて明示する、固定残業代の場合、規定の残業時間が幾らか、その手当が幾らなのか明示することを、ハローワークでも、そして民間による大手求人サイトや求職情報誌等でも義務付けるべきではないでしょうか。


国務大臣田村憲久君) 前段の話でございますが、先ほど東京局の中で残業代の未払に関して一一・二%が固定残業代制度の違反、そういう形態の違反であったという話をさせていただきました。全国的に、この残業代の未払の中において固定残業代制度、これがどれぐらいあるかというのは調べれば割合は分かるというふうに思いますので、そちらの方はまた調べて御報告させていただきたいと思います。
 その上で、今、労働者の募集時の中においてお話がございました。職業安定法に、臨時に支払われる賃金、賞与等を除いた賃金の額を明示しなければならないと、このように規定があるわけでありまして、指針において、例えば虚偽でありますとか、それから誇大な内容にしてはならないということ、それから求職者に具体的に理解されるようなものとなるように、労働条件の水準でありますとか範囲、これは限定的に示すというふうになっておること、更に申し上げれば、基本給それから手当ですね、これは定額的に支払われる手当、こういうものに関しましては表示をしなければならないことというふうに指針でなっておりますので、そのような形で対応をさせていただいております。
 なお、やっぱり求職者に誤解を与えるようなそういう表現というのはよろしくないので、これはしっかり指導をしてまいりたいというふうに思っておりますし、ハローワークの方の求人票におきましてはこの部分は基本給と手当というふうになっておりまして、その中でも、ちゃんと今言われました固定残業に関する手当という項目を作っておりますので、そういうところで周知徹底を図らさせていただいておるわけであります。