つれあいとケンカしたこと&『マンガで分かる心療内科』6巻


 つれあいとケンカになった。
 なぜなら日曜日。家族3人で昼に回転寿司を食べたときにぼくが酒を飲んで、家に帰ってくるなり寝てしまったのだが、起きると午後4時。


「おれ、床屋行ってくるわ」


というと、つれあいが猛然と批判した。


「あんたが床屋に行くと3時間は帰ってこない。夜ごはん作りや子どもの面倒は私一人に押しつけていくというのと同義ではないか」


まあちゃんのながいかみ(こどものとも絵本) 確かに床屋が混んでいて3時間戻ってこなかった日はあるが、いつもそうではないのに、この言い分はいかがなものか。それに今週時間がとれなければ、1ヶ月は床屋へ行けなくなる。『まあちゃんのながいかみ』みたいに、頭に鳥の巣が作れてしまうではないかと思うが言わなかった。
 職場の昼休みに行けばいいじゃない、というつれあいの言い草が、身勝手なような気がした。床屋でマッサージもふくめてゆっくりやってもらうのがぼくの至福の時間なのに。しかし、それはぼくのプラスアルファの「ぜいたくな」事情だから、子育て・家事の緊急必要性と対置させるには弱い。だからこれも黙っていた。


「とにかく認めないからね」


 なんかすごく理不尽な仕打ちを受けた感じがした。そこで最近5歳になった娘に言った。


「お父さんの髪の毛を好きに切っていいよ」


 事情も知らない娘は、面白がって新聞紙の上で、ハサミを使い、ぼくの頭をジョキジョキやり出した。もちろんデタラメである。
 十数分後、デタラメに刈り込んだ頭になった。


「えっ、まさか、あんた……なにやってんの!」


と驚くつれあい。


「怒ってるの?」
「別に」


 完全に「玄関でクツを履いて出かけるとき母親にどこへ行くのと声をかけられた中学生男子」状態である。
 ぼくは怒ると寡黙になる。それで、相手の言ったことを自分が犠牲になる形で極端にやってみせるという「自罰的」な方向をとってしまう。八つ当たりが自分へ向かうのである。
 つれあいはそれなりに当惑している。
 いい気味だ、と思うが、よく考えるとつれあいは別に困らない。
 相手が少し困った、という不毛な事実だけが残った。紛争になったとき、「自分の気持ちをスッキリさせるために、相手に何か打撃を与えて鬱憤を晴らす」というやり方は、なんにもいいことを生まないな。



 感情のコントロールを体系的に学ぼうとすると、ぼくみたいにマルクス主義にかぶれるような輩は、うまくいかない。体系や整合性を重んじてしまうので、そういうことに気をとられてしまうから。まあ、ホンキでやるならそれもいいんだけど、そんなつもりもない。だからライフハックのような、断片知識として知っておいた方が実際には生かせる。


そこで『マンガで分かる心療内科』ですよ

マンガで分かる心療内科 6 (ヤングキングコミックス) 『マンガで分かる心療内科』6巻をご恵投いただいた。

 まあ、もう有名になったから説明はあまり要らないと思うんだけど、このマンガは実際の心療内科のサイトで連載されている。下記のページをみてほしい。

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 最下段になぜ辰年の6月になってもウサ耳の新年あいさつが載っているのかは謎であるが、それはおいといて。心療内科にかかわるような病気や障害をギャグをまじえて……というかギャグで描いてしまっているマンガである。数年前に商業誌の書評で紹介したことがあるので、ぼくにも送っていただけたのではないか。感謝する次第。


 たいていは病気にかかわるものとしていろんな心理現象が紹介されている。
 セックスレスもそうである。
 自分がブログでエントリを書いた同じ日に、同じように『セックスレスの精神医学』がイジられていてワラタ。


マンガで分かる心療内科・精神科in渋谷 第54回「セックスレスの治療法」 | 渋谷/心療内科/ゆうメンタルクリニック 渋谷駅0分 渋谷駅・精神科・東京・カウンセリング マンガで分かる心療内科・精神科in渋谷 第54回「セックスレスの治療法」 | 渋谷/心療内科/ゆうメンタルクリニック 渋谷駅0分 渋谷駅・精神科・東京・カウンセリング

 セックスレスを治療対象として扱うかどうかは世間の感覚としては微妙なところであるように、医療の対象ではないような心理現象もしばしば扱われている。
 第6巻のなかにある「生理的覚醒による優勢反応の強化」なんかはそれだ。「生理的覚醒による優勢反応の強化」というのは、「スキーに行きたい!」「でも仕事もあるし…」といった二つの相反する気持ちがあるとき、「生理的覚醒」、つまり気合いを入れてしまうと気持ちの強い方(優勢反応)の方をより強くしてしまう効果があるという意味だ。
 マンガではうつの症状にかかわって、気合いを入れて何かをやろうとすると、負の反応が大きくなっちゃうこともあるよ、と警告をしているのだが、これは別にうつのときにだけ問題になることでもないだろう。
 マンガでも紹介しているように、休み明けに「会社に行きたくない」「でもダルいな…」というようなアンビバレントな気持ちがあると、「休み明けだし頑張らないと!」みたいな気合いを入れてしまってかえって行きたくない気持ちがこじれてしまう危険があるとのべている。
 処方としては「とりあえず、会社に行ってみよう」とか「まあ、まずは電車に乗ってみよう」みたいな暫定的な決定の感じを出すといいらしい。


 むちゃくちゃためになった。いやほんと。皮肉とかじゃなくて。
 こういう断片的な「心理コントロール」の話ってホント好きだわー。そして、体系的に学んだもの以上に頭に残り、実践指針になってしまうのである。お前らの「健康知識」とかもそうだろ。
 なので、最近は「生理的覚醒による優勢反応の強化」のことばっかりが頭にあるわけだ。
 しかしここで「会社に行きたくない、という感情的選択をしないために、暫定的に電車に乗るぞー!!!」とかいう気合いがどうしても入ってしまうのが人情というもの。