萩原あさ美『娘の友達』1巻

 必死に出世街道を走っていたサラリーマンであると同時に、不登校になりかけた高校生の娘をもつシングルファーザーでもある主人公・市川晃介が、喫茶店でバイトをしていた娘の友達・如月古都と知り合い、二人きりのカラオケで抱きしめられたり、職場放棄して二人で新幹線で逃避行したりと、あたかも破滅をそそのかされるように、慰め・癒されるという物語である。

 

娘の友達(1) (モーニングコミックス)

娘の友達(1) (モーニングコミックス)

 

 

 「疲れませんか?」などと言って、上司であり父親であるという役割を全部捨てて、ただの「市川晃介」になってみてくださいと一体そんなことをいう女子高生がいるわけないじゃないか。おかしいだろ、これ。これはエロゲーの分岐画面なのか、セクサロイドなのか。

 ……などと賢しらに抗してみてもダメだな。何度でも読んじゃうんだよこの作品。こういうふうに癒されてみたいって思っちゃって、晃介目線で古都の顔とか体とかをじろじろみている自分がいる。

 

 逃避行へ誘われる前に、ここから逃げ出したいという心のつぶやきを口にしてしまう晃介に向ける古都の言葉、「おいで」ってなんだよ。素晴らしすぎるだろ。

 この瞬間、古都が実は女子高生ではないという錯覚を植え付けられてしまう。そう、これは女子高生じゃないんだよ。女子高生の姿をしただけの、すばらしい男性甘やかし機能を備えた別の何かなんだよ。

 

 連載の方がどうなっているのか知らないんだけど、1巻までのところは、キスしかない。しかし、晃介にとって、古都っていう癒しは、性的な存在でしかないんだから、別にこれからの展開においてキスで留めておく必然性はすでに全くないわけで、当然セックスまで進んでほしい。

 そして、晃介については、理性を取り戻して日常に戻るなんているヌルい流れにせず、できれば日常のしがらみを全て放棄して、どこかに流れ着いて、そこで古都と爛れた日常を送ってほしい。そして、破滅せず、漂着先で幸せになってほしい。そうなってこそ、理想的な癒しの妄想として完成する。頼むから、そうして……。