「週刊アスキー」で「私のハマった3冊」を書きました


 「週刊アスキー」2011年6月21日号で「私のハマった3冊」を書きました。Webの「週アスPLUS」にも載ってますのでご笑覧ください。
http://weekly.ascii.jp/elem/000/000/045/45373/

 震災・原発事故を経た後で、ディストピア、絶望郷、パニック、大災害の漫画を読んでみる、というものです。

 自然災害としての津波の凄絶さは、パニックの虚構表現を一気に陳腐なものにしてしまいました。もちろん、ぼくは津波を体験したわけではなく映像でそれを観たにすぎないので、体験者からはまた別の反応があるとは思いますが。それを経てもなお読むに耐えうる作品というものがあると思います。

 また逆に「災害ユートピア」の出現は、パニックや絶望のなかでの共同や相互扶助というもののリアリティを別の形であぶりだします。こうなると漫画のなかでしばしば描かれがちな「ドライでギリギリな共同」というもののほうが嘘くさくなったりします。現実はもっとあたたかくウェットだったのではないかと。そういう現実からの反論に耐えうる虚構表現というものがあるわけです。

 原発については、ぼくが紹介した『まんが 原発列島』では、実際に大気中に大量に放射性物質が放出される事故が起きた時のパニック表現があるのですが、やや類型的ではありますが基本的には現実に対する恐ろしいまでの「予言」になってしまっています。