それほどイケてない男子高校生(松浦)に、からんでくる女子(厳木・きゅうらぎ)の言動の一つひとつが、実は自分に対する好意ではないかということを確信させられていくマンガが本作である。
類書はいろいろある。
距離がだんだん縮まってくる、というのがセオリーだと思うのだが、本作で厳木が縮めてくる距離は本当に「一気」であって、もうそれは「好き」って言ってないだけだろというほどに近い。
1巻では
- 一緒に帰ろうと言って一緒に帰る
- 抱き合っているラインスタンプで「友だち」になる
- 1時間40分夜に電話する
- マフラーを巻き合う
という具合。
「は? あなたのことそんなふうに全然思ってないんだけど?」と言われないようにするための心の防御線を明らかに踏み越えている好意の寄せ方をされ、これはもう93〜97%(当社比)の確率で好きだろ、と言わざるを得ない、まさに「やめろ好きになってしまう」アクションの連続をされる。
ふつうそのような好意を向けられる理由を作者は描きたがるものであるが、少なくとも現時点でそうした必然性は一切展開されない。クラスの陽キャ女子がなぜか自分に好意を向けてくれているのであるが、不思議なのは読者たるぼくらはその理由開示を求めようともせず、このような物語を唯々諾々と受け入れているということである。
こんなに一気に距離を縮めて物語にしても大丈夫なんだ…と我ながら読者としてびっくりする。
そして、今のところ、少女マンガの展開によくある、ライバルや困難イベントはほとんど発生していない。読者のツッコミにあるように、むしろ作者や編集がそういう障害を持ち込もうとするのを極力警戒しているほどである。
この作品の良さは、一つは画力。画力はご覧の通りで「洗練」されていない。

そしてもう一つはイベント。二人の間に起こるイベントは、ありきたりでイモくさい。
だけどその「洗練されない画力」と「ありきたりでイモくさいイベント」の雰囲気が高校生(というかどちらかといえば中学生)時代を思い起こさせる。作り込んでいないのだ。高校・中学時代の感覚のまま物語を見せられているような気になるのである。
…って五十超えたおっさんが夜中に必死でブログに書いてるのはたいがいヤベーな。

