「常任委員会」をどう訳すか

  地方自治法第109条には

普通地方公共団体の議会は、条例で、常任委員会、議会運営委員会及び特別委員会を置くことができる。

とある。この「常任委員会」というのは例えば「経済振興委員会」とか「総務財政委員会」などと呼ばれていて、福岡市では5つに分かれて、全市議会議員がどこかの常任委員会に所属している。

 この「常任委員会」を英語でなんというかといえば、standing committeeである。

 つまり「常設の委員会」という意味だ。

 これは、常設でない委員会=特別委員会(special committee)と対置的に使われている。特定の事件を審査・調査するもので、必要がある場合に限り設けられる。

 

 ところで、団体の中で「常任委員会」というものを置いているところがある。

 うらみつらみはございやせんが、渡世の義理で紹介いたしますと、浜松市立北浜東部中学校PTAには「常任委員会」という機構がある。同会の規約第10条には

常任委員は、常任委員会を組織し、本会の企画運営に当たる

とあるように、この「常任委員会」は、いわば執行機関の幹部集団である。

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 日本共産党にも都道府県委員会や地区委員会には「常任委員会」がある。

 役員は数多く選出されているが、日常的にその人たちが全員、会の実務をさばけるわけではないので、役員のうちそれができる人を「常任委員」にし、その人たちが集団を構成しているのである。

 経団連には幹事会があって常任幹事会があるが、まさにその「常任幹事会」と同じものだろう。経団連の「常任幹事会」はexecutive boardである(常任幹事会会議はexecutive board meeting)。

 

 議会ではなく、このような、団体の特別な幹部集団である「常任委員会」を「standing committee」と訳していいのだろうか?