世界の地震の震源分布と原発立地


 資料としてメモっておくためのもの。

 「しんぶん赤旗」日曜版2011年5月22日号に載っていた「世界の地震源分布と原発立地」の図。「米地質調査所と世界原発事業者協会の資料から作成」とある。赤いのが「大地震が起きた地点」、黄色いのが「原発立地」である。*1

 これは、共産党の吉井英勝議員が国会で追及し、


地震大国の原発集中異常/吉井議員 政策の転換求める - しんぶん赤旗

吉井氏は、アメリカ地質調査所(USGS)の世界の地震地図で、日本列島から北回りに南北アメリカ大陸の西岸部にかけてが一つの地震の多発地帯だと示した上で、世界原子力発電事業者協会(WANO)の原発地図をみると、その中で原発の集中地帯になっているのは日本列島だけだと指摘しました。


 104基の原発が運転中の世界一の原発大国・アメリカでも、原発地震のない中・東部に集中しており、西部の地震地帯にはほとんど立地していません。第2位のフランスは地震のない国です。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-05-14/2011051407_02_1.html


先日(2011年5月16日)の自由報道協会主催の記者会見で同議員が紹介(20分30秒ごろ)したものだ。


 まあ、見るとわかるけど、真っ赤な場所と黄色いところが重なっているのは日本くらいしかないな。

原発立地に基準/中国  “過去1000年M4地震ない所” - しんぶん赤旗

 中国が実際にどうやっているかは別として、この中国の基準でいえば、日本でM4越えなんて日常茶飯事だから、原発なんて日本のどこにも立てられないことになる。


 福岡市議会の議事録をみていて、震災対策特別委員会で「発電用の原子炉施設等の原子力施設及びダムについては、活断層の存在を考慮して設計し、特に原子力施設は、活断層の上には建設しないという指針があると聞いている」(2006.02.03)という市側の答弁があった。

 しかし実際には、高速増殖炉もんじゅ」、敦賀原発美浜原発という3つの原発で直近に活断層があるということに驚いた。
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2008-04-01/2008040101_02_0.html




 地震対策は、今日というかもう昨日だけど、朝日新聞2011年5月25日付に

asahi.com(朝日新聞社):3号機の冷却配管、地震で破損か 津波前に - 東日本大震災 asahi.com(朝日新聞社):3号機の冷却配管、地震で破損か 津波前に - 東日本大震災

という記事が1面に掲載された。

高圧注水系の作動時には、それまで75気圧ほどだった原子炉圧力容器内の圧力が、6時間程度で10気圧程度まで下がった。通常なら、ここまで急速な圧力低下は考えにくいため、東電は水蒸気を送る配管のどこかに損傷があり圧力が下がったと仮定して解析。結果は圧力変化が実際の測定値とほぼ一致し、配管からの水蒸気漏れが起きた可能性が出てきたという。

東電は津波対策の不備は認めたが、地震対策に問題はないとしてきた。


 そして2面の記事には、

津波だけでなく、揺れにも万全でなかったら、他原発の安全対策や指針の見直しにつながり影響は大きい。

と出ていた。この流れでいけば、たとえば佐賀の玄海原発なんかは、「津波対策したからおk」ということになっているはずだが、原子炉本体関連(重要機器)の地震対策そのものが求められることになる。


 吉井が国会でくり返し追及してきたものの一つは「外部電源の喪失」で、鉄塔の倒壊という意外なところでそれが起きちゃうという想定だった。
 先日(2011年5月19日)の吉井の国会追及でも、原子力安全保安院側の答弁で受電鉄塔の耐震審査については、「一応おこなうが原子炉に比べると重要度が相対的に低い内容の審査だった」と認めた。

 崩壊熱と戦うための冷却システムが思わぬところで足をすくわれるというトラップが原発には無数に用意されてしまっている印象をぼくは持った。電力会社が「地震でも大丈夫な設計」という場合は、原子炉本体に関してのみで、しかも、その本体部分も、老朽炉(「高経年炉」ね)や「もんじゅ」のようなものは実機実験していない、紙の上での試算だという怖さがある。

*1:「大地震が起きた地点」で「1900年以降に浅い場所で起きたもの」という注釈が気になるが……。