『このマンガがすごい! 2011』のオンナ編のアンケート選者をつとめさせていただきました。
すでにこのランキングのネタバレはいろんなところでされちゃってるけど、一応まあ、かかわらせてもらった信義上、伏せておきます。漫棚通信ブログ版で言われているように、表紙画像見たらモロだけどな。トホホ。
オンナ編の第1位作品は、ぼくが2番目に多い得点をつけた作品となった。仮に作品Aとしておく。
こういうときは、単純にうれしい。
たとえば『ONE PIECE』みたいなマンガをぼく自身が1番高いポイントをつけざるをえなくなって選んだとして、全体の結果でも『ONE PIECE』が1位だったりすると心底がっかりする。変な話だけど。
俗な感情だけど、「世の中ではそんな知られてないよね」みたいな作品を選び出して高得点を与え、他の選者たちも同じ気持ちだったのだと、その秘密共有感が味わえる、というのがたぶん自分の快楽の、拠って来たるところであろう。たぶんこれを選び出した選者はぼくと同じような満足に浸っているはずだ。そうだ、そうに決まった。
「いや別に作品Aってそんな知られてないってことないんだけど」と野暮なことを言う奴もいるだろうが、そういう腐れ外道は相手にしないことにしてますの。
とにかくこのランキングを知ったとき、自分としては嬉しくてたまらなかったわけですよ。
しかも第2位は、まさかの、同じ作者(作者Cとしよう)による作品B。
つまりこの作者Cはランキングの1位と2位を独占したのである。『このマンガがすごい!』はそれほど歴史があるわけではないが、これはかつてないことだ。
2位作品にみる「選出の偏り」は何を意味するのか
ところで、この作品AとBの選出にはちょっとした特徴があって、書店員が選んでいるのは圧倒的に作品Bなのである。作品Aになにがしかの得点を与えた人は1人だけだ。作品Bが2位に躍り出たその力はまさに書店員選出によるところが大きい。
何でなのかなあ。
作品Bのほうは、Twilogあたりでぼくのつぶやきを見てもらえばわかるけど、ぼくの評価は断然低い。作品AとBでぼくの中では天地の差があるのだ。
書店員たちの短い選評を見ても、なぜ作品Bを選んだのかはよくわからない。
これは作者Cがいま旬である、というアンテナ感覚が先に書店員世界(そんな世界があるのか)に共通して生まれ、「作者Cの作品の中から選びたい」という実に狭い枠組みがつくられ、そうして「作品Aは王道すぎるので、変化球をねらって作品Bだ!」というような思考の流れで、大量に作品Bが高得点をたたき出すという構図が生まれたのではないだろうか。
作品Bを書店員たちが自分たちの業界内感覚で選び出したとき、ぼくが作品Aを選び出したときの秘密共有感にも似た、しかしもっとはるかに強烈な連帯感のような高揚が各人に生まれたんじゃないかと思うのだが、如何。
自分が迷ったあげくに外したあの作品
自分が得点を与えようとどうしようか迷ったあげく外してしまった作品として、オンナ編18位に選ばれた作品がある。これもTwitterでつぶやいた作品だけど、かなり好感触だったんだよ。ホントにギリギリまで迷って……。
こういうときは外した自分を心底責める。「お前はなぜこれを選ばなかったんだ、畜生!」てな具合に。