マンガ

志村貴子『おとなになっても』1-10巻

志村貴子『おとなになっても』が完結した。 おとなになっても(10) (Kissコミックス) 作者:志村貴子 講談社 Amazon 休職に追い込まれて家にいる間よく読んでいた。 たまたま飲みに入ったお店で知り合った平山朱里と大久保綾乃は一夜で恋に落ちてしま…

石井遼介『心理的安全性のつくりかた』

リモート読書会の次のテキスト。ぼくはファシリテーターである。 心理的安全性のつくりかた 「心理的柔軟性」が困難を乗り越えるチームに変える 作者:石井遼介 日本能率協会マネジメントセンター Amazon ハラスメントは、それをやってしまったら人権侵害にな…

『ねじ式 紅い花 漫画アクション版 つげ義春カラー作品集』

奥付には「2024年2月24日」発行とある。 ねじ式 紅い花 漫画アクション版 つげ義春カラー作品集 作者:つげ 義春 双葉社 Amazon 本書は、1969年に刊行された「漫画アクション」誌に加え、「ゲンセンカン主人」(アクションコミックス)「ガロ増刊号・つげ義春…

おづまりこ『ゆるりより道ひとり旅』

40代女性のコミックエッセイである。表題の通りだ。 本作では、京阪神の各所に出かけて食べ歩きをしている。 ゆるり より道ひとり旅 (文春e-book) 作者:おづまりこ 文藝春秋 Amazon この作者については、つれあいの方がよく知っていた。彼女がネットでよく見…

水島みき・あやか『独身アラサーOLあやかのぼっち宿泊記』

昨日の記事を書いた後、粋なホテル・宿じゃなくて、ビジホに泊まるようなマンガはないだろうかと思って探したら、ちゃんとある。 独身アラサーOLあやかのぼっち宿泊記 (コミックエッセイ) 作者:水島 みき KADOKAWA Amazon ただしビジホといっても、本当に超…

マキヒロチ・まろ『おひとりさまホテル』

ホテルに泊まるのは好きだ。 別に旅先でなくてもいい。 家から近くにあるホテル(・旅館)であっても泊まりたい。まだそういうことをやったことはないけど。 我が家(マンション)の中に、快適に寝そべって、しかも独りで静かに(静謐に)いられる空間が、微…

『このマンガがすごい! 2024』でアンケート回答しました

『このマンガがすごい! 2024』の「オンナ編」選者としてアンケートで回答しました。 このマンガがすごい! 2024 宝島社 Amazon ぼくが選ぼうかどうか迷って結局選ばなかった作品の一つを挙げておくと『いつか死ぬなら絵を売ってから』。 これがオンナ編18位…

ストレイチー『ナイティンゲール伝』 茨木保『ナイチンゲール伝』

佐原実波『ガクサン』で予備校講師参考書の面白さが主人公の一人から語られる。 そこで世界史で「ざっくり歴史を要約してくれる」ような面白い講義があるのではないかと本屋でいろいろ立ち読みしてみると、『青木裕司 世界史B講義の実況中継3』が実にぼくの…

埜納タオ『保健師がきた』1

以前、全日本民主医療機関連合会(民医連)にかかわるところで、職員の方にお話をさせてもらったことがある。 そのときに、自分の講演をする前に、職員のみなさんのがグループごとに分かれて、いわゆる困難事例についてディスカッションをしているのを聞かせ…

瀧波ユカリ『わたしたちは無痛恋愛がしたい』4

瀧波ユカリ『わたしたちは無痛恋愛がしたい』はサブタイトルが「鍵垢女子と星屑男子とフェミおじさん」であるように、鍵垢で自分のホンネをつぶやく女性の主人公(鍵垢女子)、その主人公を都合のいいときにヤレる相手としてのみ見て、見栄えや体裁だけを気…

花輪和一『刑務所の中』

リモート読書会で花輪和一『刑務所の中』を読む。 刑務所の中 作者:花輪和一 講談社 Amazon ぼくがファシリテーターを務めたので、最初に報告した一文を紹介しておく。 なお、ぼくは花輪についてほとんど詳しくはない。なので、最初は、花輪について書かれた…

桜田『桜田の××ルポ』

以下は、性的な内容が含まれる記事なのであらかじめ注意して読んでください。 下記のエントリを読んで思ったことを書く。 note.com セックスをしたとき、一方が他方をイカせられず、そのことを気に病む。そうした問題が生じたとき、パートナーが、もしくは第…

堀和恵『評伝 伊藤野枝 〜あらしのように生きて〜』

今年は伊藤野枝が官憲に虐殺されて100年である。そのメモリアルのイベントも福岡市で行われる。 9月15(金)&16(土)「伊藤野枝100年フェスティバル」のチケットは3種類。・2日間通し券(前売¥3,000)・16日午後券(講談、講演、座談会=前売¥2,000、当…

板倉梓『瓜を破る』

ぼくのツイッターのタイムラインにはマンガの広告があふれていて、けっこうクリックしてしまう。 『瓜を破る』はその一つである。Amazonの「おすすめ」にも上がってくるのだが、そのときは手に取る気にならなかった。やはりコマを強制的に読ませるというのが…

双龍『こういうのがいい』

双龍『こういうのがいい』は、形式に拘泥したり、強い束縛をかけてくる彼氏・彼女とのつきあいにうんざりした江口友香(えぐち・ともか)と村田元気(むらた・もとき)がゲームのオフライン飲み会をきっかけにセックスをし、それをきっかけに独特のゆるいつ…

映画「君たちはどう生きるか」を評価する

2回見た。1回目は一人で。2回目は家族で。 これは間違いなく、宮崎駿の最後の作品であろう。と予感した。 「まーた、これで最後最後詐欺だろ」という声も聞こえてきて、実際にそうかもしれないけど、そこが問題なのではない。 現在82歳となった宮崎駿。彼…

地方や民間の取り組みは国の政治を変える上でどんな役割を果たすのか

地方議会、地方自治体、あるいは民間の一つひとつの取り組みは、国の政治を変える上で、どんな役割を果たすのか。 そんなことを考える上で、同性婚をめぐる判決について、6月14日付「しんぶん赤旗」に掲載された鈴木賢・明治大学法学部教授インタビューは興…

「ボクらはみんな生きてゆく!」第一章が完結

「ビッグコミックスペリオール」に連載されていたアキヤマヒデキ「ボクらはみんな生きてゆく!」が今号(2023年6月23日号)で最終話になってしまった。悲しい。 同作は都会から田舎に戻ってきた作者がまず狩猟をはじめ自然を相手にする様々な「ビジネス」で…

木村きこり「その恋は、嘘。」

「スペリオール」6月23日号掲載の木村きこり「その恋は、嘘。」を興味深く読む。 ビッグコミックスペリオール 2023年13号(2023年6月9日発売) [雑誌] 作者:ビッグコミックスペリオール編集部,押見修造,久部緑郎,河合単,浅野いにお,乃木坂太郎,金城宗幸,平本…

オノ・ナツメ『僕らが恋をしたのは』

「大将」「キザ」「教授」「ドク」というあだ名の、それぞれに背景のある4人の「じじい」。人里離れた山奥の一角の土地の、独立した家屋とキャンピングカーにポツリポツリと集まってきて暮らしている。4人が顔を全て揃わせるのは週2回程度。それぞれ独立…

我妻ひかり『パコちゃん』1

30歳。カフェでバイトをしている独身女性・「パコ」が主人公である。 パコは妻子持ちのおっさんと不倫をしている。そして捨てられる。 寂しさのあまり、行きつけのコンビニでバイトしている10近く下の男にナンパされ、セックスをし、付き合うようになる。 パ…

幹部たちの“知的水準の衰弱”

休みで、いろんな本を読んでいるが、読み返すものもある。 不破哲三『スターリン秘史』もその一つである。 スターリン秘史―巨悪の成立と展開〈5〉大戦下の覇権主義(下) 作者:不破 哲三 新日本出版社 Amazon 不破はこの著作の中で、スターリンの問題点の根源…

桑野隆『生きることととしてのダイアローグ バフチン対話思想のエッセンス』

村西てんが『教え子がAV女優、監督はボク。』を読んでいたら、冒頭にバフチンが出てきた。 村西てんが『教え子がAV女優、監督はボク。』1、小学館、p.11 この作品は、タイトルの「教え子がAV女優、監督はボク」という最も反倫理的と思われる状況に向かって…

御徒町鳩『男友達が激甘カレシになりました』

御徒町鳩『男友達が激甘カレシになりました』がいつまでたっても電子にならないもんだから、とうとう書籍で買っちゃったぜ。 男友達が激甘カレシになりました (Only Lips comicsめちゃコミックオリジナル) 作者:御徒町鳩 大誠社 Amazon 内容はタイトルが語っ…

映画「BLUE GIANT」について

映画「BLUE GIANT」について。 www.youtube.com 単行本が出るのがもっとも待ち遠しい作品の一つである。 仙台の男子高校生・宮本大が独学でジャズ——サックスを始めて、上京し、仲間と組み、やがて世界に向かって挑戦していく姿を描いた物語である。 この作品…

監督に必要なことは「めちゃくちゃ気を遣えること」?

NHK番組「ドキュメント『シン・仮面ライダー』~ヒーローアクション挑戦の舞台裏~」を視る。 togetter.com ——殺陣=段取りじゃなくて、殺し合いをやってほしい。 ——意外性を見せてほしい。 …という庵野秀明の注文。まあ、そういう注文もわかる。 わかるんだ…

近藤ようこ『高丘親王航海記』

「今こういうものが読みたい」と体が欲していたのだろう。染み透るように読めた。もちろん、発売当初に買って読み、楽しんで読んだのだが、この時期に再読して面白さが格別だった。 近藤ようこ『高丘親王航海記』は、澁澤龍彦の同名小説を原作にしたマンガで…

娘が中学校を卒業し、新しい進路に向かうけども

娘が中学校を卒業し、新しい進路に向かう。 中1が終わったときに次のような記事を書いたが、そこからここまでこられたこと自体が奇跡のようだ。2022年の1年間で自殺をした小中高生は512人と過去最悪になったという。 kamiyakenkyujo.hatenablog.com それに…

ぽんとごたんだ『桐谷さん ちょっそれ食うんすか!? 』3巻

まだ年賀状をやめていないのだが、おそらく受け取る方はすでに「年賀状仕舞い」をしているだろう人が多く、こちらが出した後に、ポツンと返ってくることがある。そういう場合、今年出した年賀状への“反応”などが書いてあって、それはそれで楽しみではある(…

たらちねジョン『海が走るエンドロール』4

村上春樹『女のいない男たち』も結局メモをアップしただけになったんだけど、マンガの感想も何かまとまらない。まとまらないうちに、熱量が下がっていって、アップする機会を失ってしまう。そういうのってもったいないと思う。 断片でもいいから上げておこう…